「エモい」は“ほぼほぼ”「あはれ」の意 三省堂「今年の新語 2016」選考委員の見解がエモい
そう考えると、古語も身近に。
三省堂の「今年の新語 2016」が発表され、「ほぼ」を重ねて強調する「ほぼほぼ」が大賞に選ばれました。その一方で、2位の「エモい」は古語の「あはれ」とほぼほぼ同じとする見解を、選考委員の飯間浩明さん(@IIMA_Hiroaki)がツイートで紹介し注目を集めています。……言われてみれば!
「エモい」は英語の「emotional」から転じた、感情が高まった状態になっていることを示す形容詞。選評によると、遅くとも10年前には一部の音楽シーンでの使用が確認されており、2010年代からは一般での使用も増加していることから、2位に置くのが順当と判断されています。
そして古語での「あはれ(あわれ)」は、「しみじみとした情緒。味わい」「心ひかれること。慕わしいこと。いとしさ」「感動を受けるさま。立派だ。感心だ」の意味(三省堂「スーパー大辞林3.0」より)。多様で複雑な感動の要素を一語で表す点で、「エモい」と「あはれ」は似ているといえます。
こうしたことから、選考委員は「『いとあはれ』と言っていた昔の宮廷人は、今の時代に生まれたら、さしずめ「超エモい」と表現するはずです」とコメント(「いと」は「非常に」を意味する古語)。これにのっとり「枕草子」の「あはれなるもの、孝ある人の子。よき男の若きが御嶽精進したる」を意訳すると、「親孝行な子とかイケメンとかが頑張ってるのエモ~い」と、情緒は損なわれますが身近な感じになりますね。
なお、流行語大賞となった「神ってる」も「今年の新語」として検討されていたそうです。しかし現時点での使われかたは緒方監督の発言を念頭に置いた流行語の性格が強く、同賞のカラーに合わないとされ選外に。それでも選考委員は「今年最も流行した動詞」として言及しています。
(沓澤真二)
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