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ヴィランで人格破綻女子高生 「僕のヒーローアカデミア」のトガヒミコちゃん激推しあのキャラに花束を

仲間からもイカレ野郎呼ばわりされる系女子、カァイイねぇ!

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 アニメ二期も決まっており、盛り上がりが絶えない「僕のヒーローアカデミア」(以下・ヒロアカ)。最近は11巻発売にあわせ、実際にヒーロー・オールマイトが戦っているかのようなニュースPVも制作されました。

一瞬ビクッとなります

 ヒーロー、ヴィラン、共に個性的な面々が増えまくって、楽しさ激増中。どのキャラもイカスのですが、ぼくはヒーローチームなら蛙吹梅雨ちゃんを、ヴィランチームなら、クレイジー女子高生トガヒミコを推したい!

闇に潜んで生きるトガヒミコ(左)と弔(右)。トガヒミコは、愛と、かわいいものに激しく執着する、シリアルキラー女子高生(2016年49号 カラー扉絵)

トガです! 生きにくいです!

 セーラー服にツインぼっさぼさお団子。クマがあるような目で、しゃべりかたがどことなく変。「トガです!」と毎度自己紹介する。そして何より、平気で切りつけてきて、血を見ると喜ぶ。言動が読めなさすぎる女の子。

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 やっぱりね、セーラー服と「物騒」はあまりにも似合うんですよ。セーラー服に刀持たせたり機関銃持たせたりしたいでしょう? トガヒミコならナイフですよ。あとヤバい肩書ですよ。

どこを取っても大丈夫じゃない子(8巻110ページ)

 紹介によると「名も顔もしっかりメディアが守ってくれちゃってるが、連続失血事件の容疑者として追われている」そうです。ああ、笑える要素がない。未成年だから隠されているのか、あるいは何かあるのか。

 彼女が殺しまくっている理由は、本人が語っています。

 「生きにくいです! 生きやすい世の中になってほしいものです! ステ様になりたいです! ステ様を殺したい! だから入れてよ弔くん!」

 ……何を言ってるのかな?

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 ヒロアカのヴィランは、何らかの理念があるか、単に暴れたいかのどっちかが多い。トガヒミコが慕っている「ステ様」こと「ヒーロー殺し」ステインは、ヒーローとは何なのか、人間の本質とは何か分かっているのか、今の時代は英雄気取りが多すぎる、とヒーローを殺し続ける、アンチテーゼ的思想犯。彼の哲学はバットマンに対するジョーカーのごとく強烈な上に、この世界の「ヒーロー」の意味の根源を揺さぶる超重要キャラ。コミックス6巻を読んでみてください。

ステ様を殺したい!

 まあ、ステ様はステキだ。じゃあなんで「殺したい」のかが問題になってきます。

 要するに「好きすぎるがゆえに、本人を殺して本人になりたい」ということらしい(他にもありそうだけど)。

 さすがにこの理論は、ヴィラン連合側も、意味が分からない。見た目はヴィランの中ではそんな派手じゃなく落ち着いた方なのに、思考はトップレベルで意味不明でクレイジー。メンツからも「破綻者」「イカレ野郎」といわれる有様です。それどころか「会話は一応成り立つ」といわれるほど。一応なんだ。確かに会話成立してないシーンあるわ。

 彼女が本当に芯から狂っているかというと、なかなか難しいところ。いや狂ってるんだけど、行動にはちゃんと、彼女なりのロジックがあります。

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彼女の止まらない欲望は人を慄かせる(9巻186ページ)

 ヒーロー側の麗日お茶子に、スッテキーな笑顔で彼女はややこしい話をしだします。

 「好きな人と同じになりたいよね、当然だよね。同じもの身につけちゃったりしちゃうよね。でもだんだん満足できなくなっちゃうよね。その人そのものになりたくなっちゃうよね。しょうがないよね」

 好きな人と同じものを身につける、というのは経験ある人も多いのでは。アイドルとか、アニメキャラも含めて。「その人みたいになりたい」。好きだから。ただ彼女の場合そこにストッパーがきかず、「満足できなくて、自分がその人になりたい」という極地にたどり着いて、実行してしまう。

 これは非常にシンプルな純愛なのではないか。いや、付け回したり殺したりしたら、だめだよ! でも愛で動くのは、他のヴィランにはない部分。「愛」を知っているヒーロー組の方が、彼女の気持ちがちょっと分かって、だからこそ怖いと感じるんだと思う。

だってかわいい女の子だから

 トガヒミコは、ずっと「可愛くありたい」と考え続ける、また相手の「可愛さ」に執着する子です。

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効率よりも、可愛さ(9巻29ページ)

 見た目にこだわるというのも、効率重視な他のヴィランにない考え方。トガヒミコ以外のヴィランの中には、どうしようもないムキムキマッチョやら、全身拘束変態マゾヒストやらいるわけで。

 トガヒミコがつけているのは、裏のデザイナー・開発者が設計した、極めて効率的なグッズ。作戦を遂行するのなら、つけるべきです。でも彼女は「これ嫌、可愛くないです」とばっさり否定。

 彼女のこの思考、実はヒーロー側に近い。ヒーロー側はそれぞれ、好みの「ヒーローらしい衣装」を発注しています。実用的で、かつ見た目も重視。ちゃんと形から入っている。トガヒミコもまた、「女子高生」であろうと意識し、記号であるセーラー服を常に着ている。

 以前梅雨ちゃんとバトルした際、彼女の言動や容姿を気に入ったことがあります。「カァイイねぇ」とちょっと舌っ足らずに言います。

 女子高生特有の、意味合いがものすごく広い「かわいい」。トガヒミコの場合、手に入れてしまいたい、という「かわいい」の意味も含んでいます。……このへんはネタバレに関わる可能性があるので、あとはナイショ。

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無邪気で純粋で破綻した紅一点

 ヴィランは、女の子がいない。ヴィラン連合の中でもこんな可愛い子いたら、みんなに愛されちゃうじゃん、やばいね! ……と思いきや、彼女別にヴィランのマスコットでもなんでもないどころか、「厄介者」扱いされています。「ガキは一緒にいてほしくない」くらいに言われているほど。

テンション高いトガヒミコかわいい(10巻21ページ)

 個性あふれるこの世界では、トガヒミコは純戦闘力は現時点では皆無に近いです。あえていえば「ネジがぶっ壊れているので躊躇(ちゅうちょ)なくナイフぶん回す」のが戦闘力かもしれません。それよりも思想を持って戦うヴィランにしてみたら、作戦から離れてなにしでかすか分からん殺人鬼は、面倒なことこの上ない。下手したら邪魔。

 トガヒミコ最大の魅力はそんなこと全然気にしていないことです。めちゃくちゃマイペースで、この子悩んだ顔見せたことない。そんなんだから、すいすい人殺しちゃうのかもしれない。

 彼女どんな顔で今まで人を殺してきたんだろう? 殺人自体に快楽性を求めているのではないけれども、血まみれは好きなあたり「カァイイ」理論に基いているのかどうか。それとも脳裏にはずっとステ様のことだけ考えているのか(ちなみに実際に殺しているシーンは描かれていません)。

 普段からニヤニヤして、好きな人ステインを追いかけて、殺したいとサイコな発言繰り返し、人を刺すことに躊躇なく、かわいいものをひたすら愛でる。

 ああ、これは子どもだ。自分と他人に境界線がなく、善悪の区別を持っていない幼子だ。

彼女はやっぱり、闇の住人(9巻45ページ)

 闇の中で、ニヤニヤ見つめてくるトガヒミコ。一度彼女の血塗られた魅力に取り憑かれたら、もう戻れないよ。アニメでの登場楽しみにしています。

(C)堀越耕平/集英社

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