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国民生活センターが「水素水」を調査 水素が表記より少ない例や、まったく入っていない製品が明るみに

事業者対象のアンケートでは、「期待できる効果は『水分補給』」との回答が最多に。

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 国民生活センターが、水素水およびその生成器の調査を実施した。水素がパッケージの表記よりも少ない、あるいはまったく入っていないといった結果が明かされている(以下、同センターの資料より引用)。

公式発表

 「開封時に水素が抜けているのでは」「生成器で本当に水素水が作れるのか」といった相談が、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)へ2011年度以来2260件も寄せられているという。これを受けて同センターは、大手の量販店や通販サイトなどで「売れている」とされる容器入り水素水10銘柄、生成器9銘柄を対象に試験を行った。

年々増加している、水素水関連の相談件数
対象となった容器入り水素水。アルミパウチ、アルミボトル、ペットボトルと、容器の異なる10銘柄を調査
生成器は形態の異なる9銘柄を調査

 容器入り水素水10銘柄中7銘柄には、「高濃度」「水素たっぷり」など水素濃度の高さをうたう表記や、濃度の数値を表記。しかし開封時の濃度を調査した結果、表記通りに水素が検出されたものは3銘柄のみ。パッケージに濃度表記のない3銘柄のうち、ペットボトル入りの2銘柄からは、まったく水素が検出されなかったという。

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2種類の方式で水素濃度を測定。製品の表記(色つきの帯)の範囲内に、検出濃度(◇と□)が完全に収まる製品は3銘柄のみ

 開封時に水素が検出された8銘柄を未開封のまま20度で1カ月保管し、あらためて調査したところ、全銘柄で濃度がやや低下したとの結果も。開封後にフタを閉めて放置した場合、濃度が5時間後には30~60%、24時間後には10%程度に低下することも判明した。

1カ月間の保管による水素濃度の変化
開封後の水素濃度の変化。24時間が経過すると、水素はほぼ失われる。アルミパウチ容器の6銘柄の場合、空気を抜いてフタを閉めれば水素の減少は抑えられている

 生成器の試験では、各銘柄のマニュアルに従って水素水を3回生成し水素濃度を調査。濃度表示のあった5銘柄のうち3銘柄は、濃度が表記を下回る結果となった。また、生成器から水をコップに移し、約20度の室温で放置すると、1時間後には濃度が元の50~60%程度に低下した。

生成器で作った水素水も、同様に2種類の方式で測定。表示通りに水素を生成できる製品はわずかといえる。なお、蛇口に直結して水道水を連続で流しつつ生成するタイプでは、およそ目安通りの数値が出ている
生成器で作った水素水も、生成直後から1時間で水素がほぼ半減する

 同センターは販売元のサイトも調査し、水素や水素水に期待されている効能・効果に関する記載を多くの銘柄で確認。なかには「さまざまな病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化」「アトピーに 痒い部分に水素水をつけてください」など、健康保持増進効果と受け取れるものもあり、医薬品医療機器等法や健康増進法に抵触するおそれありと指摘している。

 販売事業者を対象にしたアンケートも実施し、水素水の製法などを確認した。引用時の注意点については、開封後や生成後はすみやかに飲むとの回答が多数。飲用により期待できる効果としては、「ダイエット」「疲労回復」「美容」を挙げる事業者もあったが、「水分補給」とする回答が最多となっている。

水素水に期待できる効果に関する回答の集計。具体的な効果を挙げるものは少なく、当然といえば当然である「水分補給」との回答が最多に

 国民生活センターは総括として、水素水には公的な定義がなく、特定保健用食品や機能性表示食品として許可・届出された製品もないことを強調。消費者にはパッケージ表記通りの水素が得られないケースや、時間経過により水素が抜けることを挙げアドバイスとした。事業者に対しては、水素濃度の表記や違法のおそれのある広告について、改善を求めている。

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(沓澤真二)

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