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脳内の“やる気をつかさどる部分”、慶応などの研究チームが発見 意欲障害の治療法探索が可能に

認知症や脳血管障害、脳外傷などがもたらす意欲障害の治療法につながる発見。

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 脳内にある、やる気をつかさどるスイッチのような部分が特定されました。慶應義塾大学・北海道大学・防衛医科大学校・大学共同利用機関法人自然科学研究機構からなる共同研究グループによる成果。認知症や脳血管障害、脳外傷などがもたらす意欲障害、つまり「やる気がない状態」を治療する足がかりとして期待されます。

慶応大学からの発表

 脳の損傷による意欲障害は、これまでどのようなメカニズムで発生するかまったく分かっていませんでした。研究グループは過去の臨床結果を参考のうえ、脳の特定部位「線条体」を構成する「D2-MSN」なる細胞集団が重要ではないかと着目。これを任意のタイミングで除去できる遺伝子改変マウスを作り出し、意欲評価の実験を行いました。

 実験では、事前にエサを報酬に用いた行動実験を行い、マウスの意欲の度合いを調査。その後D2-MSNに神経毒を発現させ、徐々に細胞死させました。そのうえでもう一度行動実験を実行。もし仮説が正しければD2-MSNの破壊によりマウスの意欲は下がり、また、意欲の低下がどの程度の損傷で起こるのか分かるはずです。

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D2-MSNに毒を発現させたマウスは、やる気が下がり続けた

 その結果、線条体の腹外側が、わずか17%細胞死するだけで意欲障害が起こることが判明。研究グループは、神経毒以外の方法でもD2-MSNの機能抑制や破壊を行い、やはり腹外側線条体のD2-MSNが意欲行動に必須であることを見出したとのことです。

 同研究により、初めてやる気を維持する脳部位および細胞種が明確に示されました。研究チームは樹立されたモデル動物を用いることで、今後は意欲障害を改善する薬剤を探索できるとしています。

やる気が失われたマウスを作ることで、治療薬の探索が可能に

(沓澤真二)

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