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ドラマ「バイプレイヤーズ」第6話 役者であるあなたを愛しているから、あなたの台本を書きたいねとらぼレビュー

見たら大杉漣さんのことが、きっと愛しくなる。

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 テレビ東京のドラマ24「バイプレイヤーズ ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」。第6話は「バイプレイヤーとパクリ疑惑」。嗚呼「パクリ」って単語、怖い怖い。

今までのおさらい

 名脇役で知られる俳優6人。個性をデフォルメしながら、本人が本人を演じる形式のドラマです。3ヶ月のシェアハウス生活をすることになった、遠藤憲一さん、大杉漣さん、田口トモロヲさん、寺島進さん、松重豊さん、光石研さん。

 そこそこ仲良くやっていましたが、10年前の自主制作映画「バイプレイヤーズ」のフィルムを誰かが盗んだはずだと、大杉さんは疑いを5人にかけて続けていました。5話ラストでは「バイプレイヤーズ」の企画・脚本がパクられていたことが発覚。誰が? 一体どうやって? なぜ?

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そこまで深刻ではなかった「バイプレイヤーズ」問題

今回の事件の大きな鍵を握る、そして6人の絆を再認識させてくれた、竹中直人さん。ガウンとスイーツはジャスミンの差し入れ

 先にネタバレ。犯人は……

 ※編注:未見の人はこの先ご注意を!

 酔っ払った大杉さんでした

慌てて土下座する大杉さん。ああーやっちまった

 大杉さんは1年前に、もうこのメンツではできないんだ、とヤケクソになり、たまたま飲んでいた時に見つけた竹中直人さんに、「バイプレイヤーズ」の台本を押し付けました。

大杉「好きにしていいんだよ、この「バイプレイヤーズ」を竹中なりに好きに変えて見せてよ」

 へべれけ大杉さん、無理難題。竹中さんは「書かなきゃ」と責任を感じて「バイプレイヤーズ」の脚本を手がけていたところを、大杉さんはそれを忘れていて「パクった」と勘違いした……というオチ。

 気づいていなかった大杉さんは怒り狂い、シェアハウスでは仲間にも八つ当たり。隠しカメラなど、他の仲間を裏切る・嘘をつくようなこともしてしまった。竹中さんを見つけたら、締め上げて土下座させたりする勢い。それだけ、大切だった。

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寒い中なにやってるのかと思ったら、焼き芋パーティー。なお焼いているのは大杉さん。「バイプレイヤーズ」のことで怒っているんだけど、なんだかんだで親切大杉さん
怒りを発散させるべくフラフープを首で回す習性のある大杉さん。豆まきの時もしていました。なぜだ

 1話から「裏切り者」として問題視されていた一連の事件。真相が分かったものの、他の5人は意外とそこまで焦ったり怒ったりしていません。

 大杉さんに言われて、テレ東に話を聞きに言った遠藤さんと松重さん。もちろん緊張はしていましたが、遠藤さんが一番気にしていたのは雨が降るのに洗濯物干してしまったことでした。

 みんなでイモ食べていた時に大杉さんがブチキレて周囲に怒鳴り散らした時。険悪なムードになるかと思いきや。

光石「「バイプレイヤーズ」のことよりさ「七人の侍」のこと考えてほしいよね」

 大杉さんに疑われたのは困りものだし、「バイプレイヤーズ」が盗まれた真相は確かに気になる。でも彼らはベテランです、感情だけで動いてはいない。前には「七人の侍」という大きな仕事がある。別に犯人がいようがいまいが、割とどうでもよくなりつつある。

 大杉さんと5人の間には、温度差がありました。

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バイプレイヤーズと当て書き

遠藤「ぶっちゃけさ、俺前のバイプレイヤーズの脚本、全然のれなかったんだよね」
寺島「あー。おれも」
田口「正直、パクるほどの本じゃなかったよね」

 実は誰一人として、いいストーリーだと思っていなかった、大杉さんの「バイプレイヤーズ」脚本。

光石「別にいいけどね、竹中さんがパクっとっても。実は俺なんかのれんかったんよねーあの台本。寺さんなんかと一緒で。なんか役の設定も俺ん似せとっときさ」
松重「漣さんの脚本、人物をリアルにすることばっかり考えよったですもんね」

 2人は博多弁です。どうやら物語的には破綻が多く、どうもしっくりこない内容らしい。粗が多い。別に他の人が書いてもいいよね、という程度のストーリーだった。

 ところが、周囲の人は「それは絶対にない」とものすごく強く言います。

古舘寛治「バイプレイヤーズの大杉さんが書かれた元の脚本を読ませてもらったんです。最高に面白かったです。後輩だからとかじゃなく、いつかあんな作品に出てみたいって思いました」

竹中「この脚本って、物語的にはどうしようもなくって破綻してるなって思ったんだけど、大杉さんの役者に対する愛を感じる脚本だったんです。愛しかない脚本だったんです。この脚本のまま『バイプレイヤーズ』は、この6人でやらなければいけない! 絶対そういう脚本です!」

竹中さんは、大杉さんの脚本は絶対この6人じゃなきゃいけない、と考え続けていました。ところで同じガウン羽織ってる6人かわいすぎますよね

 「出てみたい」と思う作品であり「この6人でやらなければいけない」脚本だと、周りの人は感じていました。

 これは、代わりのきかないガッチガチな当て書きだから。「当て書き」とは、役を演じる俳優をあらかじめ決めた状態で、そこから脚本を書くこと。通常は脚本に「役」があり、その「役」になるのが俳優。当て書き台本の場合、俳優に脚本を寄せていく。脚本家の俳優へのイメージが、キャラクターにもろに出てくる。古舘さんが「出てみたい」と言ったのは、そのくらい信頼されてみたいということなんだと思う。

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遠藤「やっぱあてがきされるとうれしいもんね」

 大杉さんは、今一緒にいる5人の俳優に、心の底から惹かれていた。今思えば第1話で書いていた5人の俳優への自分の思い、あれはまんまラブレターじゃないか。台本だってそうだ。だからどうしても、パクリや盗難は許せなかった。

 確かにこのアクの強い面々をそのまま物語にだそうと当て書きすれば、破綻するのもわからんではない。破綻しようがなんだろうが、大杉さんがそこまでこだわるのならば、最後におじさんたちの愛に着地することで、いい絵が絶対撮れるはず。

 大杉さん脚本の「バイプレイヤーズ」、役者さんへの熱い思い、ちゃんと見たい。

怪優・竹中直人

 今回のゲストの竹中直人さんは、どこからどう見ても本当に竹中直人さんでした。存在感がでかい。

目を引く強度がはんぱじゃない竹中直人さん

 このドラマは基本的に、「大杉漣さんが大杉漣を演じる」のように、自分を演じるフィクション。その点「竹中直人さんが演じる竹中直人」は、大げさなくらいに竹中直人さんでした。

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 竹中さんはいろいろな舞台や映画やドラマやCMに出ていますが、どれもこれも竹中度合いがものすごく高い。主役でも脇役でも、確実に目を奪うポジションを演じます。

 「竹中直人さん」のキャラクターは、今回のドラマでも存分に出ていました。緊張したシェアハウスで、なぜ屁をこいた。

 大杉さんが罪悪感で泣き崩れて走り去るシーンでも、なぜか「うわあすげえ! うわあ! うわ!」と絶叫プラス驚愕の顔。何がすごいんだか全然わからない。場の空気はすっかり珍妙な竹中時空に。

 竹中さんの「唯一無二の自分」を演じるパワーは、さまざまな役を演じる職人バイプレイヤー(名脇役)の仕事と、ベクトルが別。どちらもすごい。

 このへんを気にしてみると、なぜ大杉さんが当て書きメインの「バイプレイヤーズ」にこだわるか、なぜ竹中さんが大杉さんの脚本を絶賛するかが見えてきそうです。

 ちなみに、今回出た「新バイプレイヤーズ案」の面々はこんなかんじ。

大杉漣=古舘寛治
遠藤憲一=荒川良々
田口トモロヲ=野間口徹
寺島進=眞島秀和
松重豊=森下能幸
光石研=滝藤賢一

 これはこれで見てみたい。新バイプレイヤーズもアクが強すぎて、役置き換えるのは難しそうかなー? 森下能幸さん(54)が松重さん(54)と差し替わるのは……なんで?

 おそらく今回で「バイプレイヤーズ」台本問題は一段落し(フィルムは謎のまま)、物語も折り返しになりそう。

 次回は寺島進さんのヤクザ映画回。イクメンとしても知られている寺島さんが見たいなー。

次回は2児のパパであり、作中でも子どもに電話をかけていた寺島進さんのお話になりそう
(C)「バイプレイヤーズ」製作委員会

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