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名作「YU-NO」リメイク版をサターン版と比較し徹底レビュー!インターネットを守る翼竜

新鋭・にゃるらの連載。第2回は名作美少女ゲームのレビューです。

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あの名作美少女ゲームがリメイク

 先月「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」のリメイクが、5pb.より発売されました。どうやらエルフが実質倒産したのを機に版権を買い取ったようですね。「同級生」シリーズなどもDMMでオンラインゲームとして元気にやっています。気になる方は是非今風の絵柄にデザインが一新された「鳴沢唯」の姿をご覧ください。

 さてYU-NOといえばPC版が通信販売含め10万本以上、サターン版は20万本以上のセールスを記録し、もはやその影響力は美少女ゲームの枠を超え、現代のオタクコンテンツ全般に及ぶほどの作品である訳でして、まずは何よりそんな超がつく程の名作を、僕のようなゴミオタクがこんな公の場でレビューさせてもらえる機会を与えられたことに、心より感謝申し上げます。

 例えばYU-NOの影響を大きく受けた具体例として、「神のみぞ知るセカイ」などがあります。今回のリメイクの際、初回限定特典として付属された「20周年記念本」では、作者である若木民喜先生もイラストとYU-NOへの熱い想いを寄稿しています。

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 この20周年記念本の執筆陣がまたとてつもない豪華メンバーでして、美少女ゲーム関係者の名前だけでも、田中ロミオ、ぽよよんろっく、桜井光、麻枝准、丸戸史明など、そうそうたる顔ぶれ。特にTo Heartで原画を務めた水無月徹先生の描いたユーノのイラストは、美少女ゲームを愛したファンなら目頭が熱くなるでしょう。竜騎士07先生が「自分は未プレイだがプレイしていたらきっと影響を受けたはずだ」と曖昧なコメントを残しているのもポイントです。せめてプレイした人を呼んだ方が良かったのでは。

革新的なシステム

Auto Diverge Mapping System(オート分岐マッピング・システム)

 取りあえず、YU-NOに興味を持ったものの何がすごいのか知らない方々のために、まずはそちらの説明を入れていきます。

 なぜYU-NOが美少女ゲームにして異例の大ヒットをしたのかですが、ひとえにその革新的なシステム「A.D.M.S(アダムス)」にあります。A.D.M.Sは上記の画像のように、いわゆるギャルゲー特有の「ルート分岐」を可視化し自由に移動させる事でプレイヤーに神の視点を与え、幾つも分岐した世界線を何度も行き来する本作のシナリオと操作をシンクロさせます。

 つまり、従来のギャルゲーのシステムでもあったセーブ&ロードや、別ヒロインのシナリオに入る際のルート分岐に、シナリオ的な意味を与えた訳です。今ではすっかりおなじみになったループゲーシナリオの祖ですね。

 このA.D.M.Sと同じシステムを利用した作品「蒼色輪廻」では、不細工で自殺寸前のキモオタ主人公の人生と、別の世界線で異世界を旅するふたなり美少女の生涯をリンクさせる大胆なシナリオが展開されました。字面だけではかなりバカゲーっぽいですが、この作品もマイナーながら名作です。僕はかなり好きでした。先述した神のみぞ知るセカイの終盤は、このシステムを漫画で表現した内容となっております。

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 これは完全に個人的な意見ですが、YU-NOの魅力は革新的なシステム以上に、あの夜の怪しい街をヒロインを連れ回して冒険するワクワク感が強いと思っています。

 夜の喫茶店で学校の教師やクラスメイトと裏社会の話を繰り広げる……学生のころに妄想したカッコいいシチュそのものですよね。このあたりのハードボイルドっぽさを突き詰めたのがYU-NOと同じく菅野ひろゆき氏が手掛けた「EVE burst erorr」であるというのが持論。

リメイク版との比較

 これ以上のYU-NOのシステムの説明は各自で調べてもらうとして、今回はリメイク版を旧作と較べてレビューしていきます。今回の記事を書くにあたり、新作と旧作(サターン版)を並行して進め、1文字もテキストの違いを見逃さないよう心掛けました。

並行プレイの様子

 こうしてプレイすると、わりとテキストに変更がないことが分かります。5pb.とて、このような名作を時代に合わせて弄ることは本意ではないのでしょう。擬音の追加などはありましたが、旧作のファンでも通常にプレイすればまず気にならないと思われます。

 びっくりしたのが、発売前に最も懸念された「近親相姦」や「カニバリズム」表現もマイルドになって(修正されて)いません。ヒロインたちの全裸や下着が映ったCGも、絵柄こそ違えどサターン版と同じ露出度を再現! セガサターンといえば何と言ってもエロですので、ここを修正されては堪りませんからね。

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 ただ所々に細かい変更点はあり、例えば画面の見栄えを考慮したのか、旧作と構図が左右逆だったり、ヒロインの部屋のゴミ箱がリメイク版だとダンボールがゴミ箱代わりになっていたりと、謎の変更も発見したのですが、あの5pb.がわざわざ手を加えたのですから、きっと深い深い意味があるのでしょう。僕には全く分かりませんでしたが……。

構図が左右逆

 システム周りもA.D.M.Sなどに変更はなく(角度が違いますが旧作と同じにできます)、旧版は画面の端から端までクリックしなければならなかった要素も、どこをクリックすればいいか表示され快適になっています。あの面倒さもまた魅力ではありますが、さすがに快適になったことへ文句をつけるのは無粋でしょう。

ヒロイン:波多乃神奈 リメイク版(左)、サターン版(右)

 最も変化したのはキャラデザでしょう。個人的に神奈の髪形が外ハネになったことにより、彼女の神秘性が薄れたのはネックでした。まだツンデレという概念のなかったころからツンデレキャラだった澪は正統進化な気もします。ちなみに澪の声優は釘宮理恵さんが担当しているのですが、ちゆ12歳にて「ツンデレの元祖のようなキャラの声優に釘宮理恵さんを選ぶ安直さが云々」とツッこまれていて笑いました。演技としてはもちろん満点です。

 リメイクの際にキャラデザへの文句はつきもの。旧作ファンという頑固なオタクたちは、どうしても時代の変化を受け入れないモノです。そこで5pb.がとった対策が、旧作丸ごと初回限定特典でつけるという方法。

 「旧作ファンは文句言うなら一生旧作やっていろ!」というパワー系の解決方法かつ合理的な手段です。旧作(PC98版)は起動時の挙動まで完全再現という気合の入りよう。ただエルフのメーカーロゴまで消されていたのは残念。たしかPC98版だとどこかに下級生の宣伝CGが紛れ込んでいましたが、アレも消されてしまったのでしょうか。

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終わりに

 というわけで、いつまでも旧作に魂を惹かれたままのファンへの対策も完璧ですし、リメイク具合も旧作の雰囲気を壊さぬようできる限り努められており、個人的にはかなり好きです。これから「DESIRE」や「慟哭そして…」のリマスター版も発売されます。往年の名作が今の若者たちでも気軽に手が届くようになるのはうれしいですね。両方大好きなゲームです。そちらの話はまた別の機会に、自分のブログででもやりましょうかね。

 では、皆さんもYU-NOと共に物語という名の迷宮をたのしみましょう。

にゃるら

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