北朝鮮ミサイル発射での一時運転見合わせ対応に賛否両論 鉄道各社に緊急時の対応を聞いた
ネットでは「慎重な対応」「過剰反応」と賛否両論。
4月29日、北朝鮮がミサイルを発射したとの報道を受けて、東京メトロなどの交通機関が安全確認のために一時運転を見合わせました。鉄道各社にミサイル発射時の対応を取材しました。
「北朝鮮が弾道ミサイル発射」という緊張のニュースが流れたのは4月29日午前6時6分ごろのこと。NHKをはじめ複数のテレビ局で速報のテロップが流れました。これを受けて東京メトロと北陸新幹線などが一部で運転を見合わせましたが、その後10分程度で運転を再開しました。
後にミサイルは5時30分ごろに発射されていたと判明。一部鉄道が列車を一時停止させるより以前にミサイル自体が空中分解していた可能性があることなども報じられ、今回は大事に至りませんでした。
万が一ミサイルが発射された場合に鉄道各社はどのような対応を行うのか、東京メトロ・JR東日本・JR西日本金沢支社・都営交通にお話を聞きました。
Twitterの反応
東京メトロ
今回いち早く全線の運転見合わせを決定した東京メトロによると、列車が停車していたのは、6時7分から6時17分までの10分間。
東京メトロでは4月の中旬ごろにミサイル発射時の対応を協議し、基本的には国が住民などに瞬時に緊急情報を伝達するためのシステム「全国瞬時警報システム(Jアラート)」が発動された場合に、安全確認のために列車を停車させることを決めたといいます。その際にミサイル発射に関するニュース速報が出たときの対応についても検討されていたとのことで、今回はテレビのニュース速報を受けて運転見合わせを決定したといいます。
なお各列車は安全確認が取れるまで駅で待機しましたが、列車の扉は開いた状態だったため乗降車は自由に行える状態でした。
今回の対応については、これまでに「お客さまセンター」へ複数件の問い合わせが寄せられている他、一部報道などで「過剰反応」と評されていることについても把握しているといい、「今後は『Jアラートの発動時のみ運転見合わせ』を原則としていく予定」とのことでした。
万が一ミサイルが飛来した際には、「近くのできるだけ頑丈な建物や地下街などに避難する」と内閣官房・国民保護ポータルサイトなどが推奨しており、Twitterでは「ミサイル警報で地下鉄止めるのって、避難者がホームから転落したときの措置」という説も流れています。今回の安全確認がこうした理由から行われたのかと聞いてみたところ、「地下鉄構内に逃げ込む方のために停車したとは明言できないが、万が一の場合はそういうことも考えられると思う」とのことでした、
JR西日本・金沢支社
東京メトロと同じく安全確認を行った北陸新幹線は、6時8分ごろにミサイル発射という臨時ニュースをNHKが報じたことを受けて、新幹線の運転を管理している指令所が運転見合わせを指示したとのこと。基本的にはJアラートの発動が安全確認の基準ですが、「今回はお客さまの安全優先で停止を決定した」と回答しました。
JR東日本
JR東日本は今回のミサイル発射について「東京支社管内では運転見合わせを行っていない」と回答。Jアラートを知り得た場合は、駅に停車中の電車はその場でとどまり、走行中の電車はただちに停止して待機することとなっているとのことでした。
都営交通
都営交通はJアラートが発動されたと確認した時点で、指令所から「次の駅で止まるように」という指示が入るとのことで、今回は列車を停車させるなどの措置を取っていません。また、万が一地上から通行人などが避難してくるということを想定して、各駅には「(有事の際には)パニックにならぬよう、正確な情報を伝達することに努める」といった通達が行われているとのことでした。
この様に対応が分かれている各社ですが、地下鉄サリン事件などの教訓から、東京メトロなどが行った安全確認を英断だったとする声も少なくありません。依然として緊張状態が続く北朝鮮情勢に注視し、万が一のための避難経路の確認や連絡手段などについても確認しておいたほうが安心です。
(Kikka)
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