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スポンサー「あともっと面白くしてください」 どん兵衛×ベルばらコラボ企画の舞台裏が涙なしでは読めない

スポンサーの要望に応えているうちに、オスカルが謎の進化を遂げていく……。

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 日清・どん兵衛が、「ベルサイユのばら(ベルばら)」とのコラボレーション企画第2弾を公開(関連記事)。今回は「なぜこうなった? どん兵衛ベルばらコラボ奮闘記」と題し、企画が完成するまでの紆余曲折“そのもの”をブログ風コンテンツに仕上げています。スポンサーの指示に右往左往させられる広告プランナーの奮戦ぶりに、涙を禁じ得ない。

開幕からして不穏な空気がプンプン

 企画ページは「僕」(広告代理店プランナー)の視点で進行。どん兵衛側のPR担当者から「どん兵衛のすばらしさを、ベルばらで表現してください」「企画はインパクト重視で、適当にバズらせてください(※)」との依頼を受けた営業から「ちゃちゃっと頼むわ」と言われ、フワッとした指示に困惑しつつも企画に臨みます。

※「めっちゃ話題になる感じに仕上げてください」的な意味。あまり適当に実現できるものでもない
仕事の構造のざっくりした図解。下のほうにいる「僕」が、一番大変な立場の主人公です
困惑する「僕」に対し、「わかるわかる」の一辺倒で企画立案を促す営業

 「僕」もさすがプロと言うべきか、「オスカルの髪型をストレートにして、どん兵衛のストレート麺を表現」「ベルばらの世界をどん兵衛の(緑を基調とした)色で染める」といったアイデアをどんどん出していきます。けっこうな原作改変にもかかわらず、権利元の池田理代子プロダクションも普通に許可。しかしどん兵衛サイドからは「もっと面白くしてください」と、これまたフワッとした要望が来てしまいます。権利元のおおらかさと、スポンサーの無茶振りがどっちもすごい。

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元のオスカル
デザイナーの手により、ストレートヘアー&どん兵衛カラーに改変されたオスカル。あれ、普通にかっこいい

 「どん兵衛のだしのおいしさを伝えてほしい」先方のオーダーに対し、頭をひねる「僕」。今度は和風だしのほっこりしたおいしさを伝えようと、オスカルを浮世絵風にしてしまいます。この暴挙にはさすがに池田理代子プロダクションも難色を……示すこともなく普通にOK。懐が深すぎる!

誰だこれ。もはやベルばらコラボである意味が分からなくなってきた

 だいぶ先方の求める「インパクト重視かつ、どん兵衛の良さが伝わる」形ができあがりましたが、どん兵衛サイドからは「これだとどん兵衛のシズル(※)が伝わりません。あともっと面白くしてください」と非情な返事。さらに社長からも、「東西どん兵衛のだしの違いを表現したいです。あともっと面白くしてください」と追加オーダーが来てしまいます。途中で偉い人から新たな注文がつくとか、広告業界に限らずよくあるやつだーっ!

※「おいしそうな様子」を示す業界用語。「魅力」といったニュアンスでも使うそうです
「鶴の一声」って怖いですよね

 難題に直面した「僕」ですが、どうにか「おいしそうなどん兵衛のだしに、キャラクターがお風呂のように浸かっている」構図を発案。関東の濃いつゆに浸かっているものと関西の薄いつゆに浸かっているもの、2バージョン作れば社長の追加オーダーにも応えられるナイスアイデアです。例によって池田理代子プロダクションも許可……するばかりか、頭に乗せたてぬぐいを“おあげ”にしてみてはと、神提案で企画をブラッシュアップ。なんか感動した!

苦心の末に完成した、薄い関西版と濃い関東版のイラスト。モチーフがお風呂になった都合で、人物はオスカルからアンドレ(らしきもの)に変更されたことになっています

 これには「最高! おいしそう!」とどん兵衛サイドも満足し、約3カ月に渡る「僕」の苦労は報われることに。企画は「社会人は大変ながらも楽しい」ことと、「池田理代子プロダクションの優しさ」が伝わるこのPRにまとまりました。なお社長の感想は、「思ったより普通だけど、これで進めて」だったとのこと。やっぱ社会って厳しいわあ。

(C)池田理代子プロダクション

(沓澤真二)

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