「無期懲役」なのに刑務所から出られる場合がある?
終身刑には2つある。
こんにちは、QuizKnockです。
テレビのニュースや新聞などで、重大な犯罪を犯した加害者が無期懲役に処されたという報道を目にすることがあります。
重い罪なので相応の刑に服すことは当然と思う一方で、「無期懲役囚が社会復帰した」「無期懲役囚でも15年で社会に戻れる」なんて話を聞いたことがありませんか?
そこで本記事では「無期懲役とは何か?」「無期なのに刑務所から出られるのか?」といった疑問について調べてみました。
2つの終身刑
「生涯刑務所から出られない刑罰」を一般的に終身刑と言います。終身刑には下記2種類の分類があります。
- 刑務所からまったく出られないもの=絶対的終身刑
- 途中で仮釈放が認められるもの=相対的終身刑
日本では後者の「相対的終身刑」が採用されており、「無期刑=刑務所に収監される期限(満期)がない刑罰」として、無期懲役(刑務所内での労働を行うもの)と無期禁錮(労働はしないもの)の2種が存在します。
次に無期刑に認められている「仮釈放」とは何かを簡単に確認します。法務省によると「仮釈放」とは、
- 刑務所等の収容期間が満了する前に仮に釈放すること
- 釈放後は保護観察官や保護司から生活指導等を受ける
- 自らの犯罪や非行について反省を深め,更生に努める
- 仮釈放期間中に違法行為等があった場合には,仮釈放等を取り消され,再び矯正施設に戻されることがある
刑法では、仮釈放が認められる可能性のある条件として、
刑法第二十八条 懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放できる。
とあり、改悛の情(=自らの悪事を認め、それを悔やむ気持ち)がある受刑者は、無期刑の場合最短10年で社会に復帰できる場合があります。
死刑に次ぐ重い刑罰である無期懲役の受刑者が最短10年で社会復帰できる点には驚きと憤りを感じる方もいると思います。
では、無期懲役囚はどのくらい仮釈放されているのかを調べてみると、2015年時点での法務省による開示情報では、
・無期懲役囚の総数は1835人(こんなに!)
・新たに仮釈放が認められた受刑者は9人
・仮釈放が認められるまでにかかる平均在所期間は約31年
つまり、現実には仮釈放される無期懲役囚は極めて少なく、かつ30年以上刑務所に在所しており、(当たり前のことですが)簡単に社会復帰できないことが分かります。
このことから、無期懲役は「事実上の絶対的終身刑である」(ほとんどの受刑者は仮釈放されない=一生刑務所から出られない)といった声もあり、あらためて無期懲役の刑の重さを知ることができます。
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