日本人初インディ500優勝の佐藤琢磨、アメリカ人記者が「不快」とツイート 謝罪するもネットでは「全然謝ってない」とさらに批判
記者はすでに解雇されたとのこと。
5月28日(現地時間)に米インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われた世界3大レースの1つ「インディ500」で、日本人として初の優勝を成し遂げた佐藤琢磨選手。これに対して米Denver Post紙の記者であるテリー・フライがTwittter上で「不快」と発言し人種差別であると批判を受けています。
フライは「個人的な恨みはないが、メモリアル・デー(※5月最終月曜日の戦没将兵追悼記念日)の週末に日本人がインディ500で優勝したというのはすごく不快」とツイートし、「あなたの人種差別にこっちのほうが不快」「ジャーナリストとも人間とも思えない」などと猛批判を受けました(現在は当該ツイートを削除)。
米Denver Post紙は29日(現地時間)に声明を発表。「私たちの記者の1人が無礼かつ容認できないツイートをしたことを謝罪いたします。テリー・フライはもうDenver Postの従業員ではありません。人事については、これ以上のことは申し上げられません。ツイートは私たちの価値観を代弁してはいません。私たちの心からの謝罪を受け入れてくださることを願います」とフライをすでに解雇し、ツイート内容が同紙の方針とそぐわないものであることを表明しました。
それと前後してフライはひとこと「すみませんでした」とツイート(※現在は削除)。「何について謝ってるんだ? もっと具体的に」などとリプライでも批判は絶えませんでしたが「このあとのツイートを見てくれ」とだけ答え、長い謝罪文の画像を投稿しました。
謝罪文の冒頭でフライは、「へまをしてしまった。言うべきではなかった」と後悔を示し、自分の発言は米Denver Post紙の意図とは関係ないとして同紙に謝罪しています。そして「日曜日に、花を供えるため国立墓地へ眠る父へ会いに行ったのです」と、第2次世界大戦中にパイロットとして空軍に所属していた父親が多くの戦闘に参加し、3回のエア・メダルをもらい、日本人とも戦ったこと、そして沖縄での戦闘で亡くなった父親の仲間について調べ書き記したこと、亡くなったときに彼らの財布に入っていた家族や恋人の写真を所持していることなどを、今回の件に関する「自分の視点の一部」としてドラマチックにつづりました。
さらに「申し訳ない。私も終戦から72年が経ったことは分かっている」「佐藤琢磨へ謝罪をします。この感情的になってしまう週末に、第2次世界大戦で戦った国の1つに愚かしい言及をしてしまった」と佐藤選手へ謝罪をしています。
これに対して、「全然謝ってもいないし、何て下品なんだ」「人種差別を正当化するためにお父さんの話を使うなんて、お父さんに対しても失礼なことだと思う」「イタリア人やドイツ人が優勝しても同じようにいうわけ?」などと批判は増加。中には「ちゃんと謝ってるじゃないか」とフライの擁護にまわる人も見られましたが、「どこが? 冒頭に謝罪の言葉もないのに」と多くの人は謝罪文に対しさらに強い不快感を示しているようです。
アメリカでは多くのメディアでトップニュースとなった佐藤選手の歴史的偉業。フライのツイートによる一連の出来事も報道され、米USA TODAY紙のFor The Winでは「彼(フライ)のいうように戦争は72年前に終わっており、40歳の佐藤琢磨はご両親も戦後生まれの可能性だってある。世界中すべての国は醜い過去を共有しているもので、2017年に1人のレーサーとそのことを結びつけるなどばからしい」と記しています。
また、佐藤選手は29日に「ありがとう」のタイトルでブログを更新。ずっと追いかけてきた夢をかなえた喜びと、応援してくれた人への感謝を表しています。
6月3日:タイトルを一部修正しました。
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