コラム

財布をなくしたらまず何をすればいい? 警察からカード会社まで、不正利用を防ぐためにすべきこと

自分だけは大丈夫と思わず、がんばって手続きしよう。

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 ――財布をどこかに落としてきた!

 現金をなくしたこともショックですが、その財布に、運転免許証、健康保険証、クレジットカード、銀行のキャッシュカードが入っていたら、悪用されないかさらに心配になります。ネットを調べると、勝手に携帯電話を契約されていた、銀行口座を作られていたなどの体験談も出てくるので、不安になってしまいます。

 そんなとき、トラブルから身を守るために何ができるのか。関係各所に取材しました。

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財布をなくしたら大変!

なくしたときにやることリスト

 細かい話は後述するとして、「やることリスト」を先にまとめておきます。

 クレジットカード、銀行キャッシュカード、運転免許証、健康保険証をなくした場合の対処法です。

  • まずはとにかく警察に届けを出す
  • クレジットカードはクレジット会社に連絡
  • 銀行キャッシュカードは銀行に連絡
  • 本人確認書類に使えるもの(運転免許証、健康保険証など)は、指定信用情報機関に連絡する

 連絡する先がたくさんあって大変ですが、がんばりましょう。

警察に届け出をしましょう

 警察に「遺失届出書」を出します。この届け出のメリットは大きく2つあります。

  • 拾った人が警察に届けたときに教えてくれる
  • 「紛失した」ことの証明に使える

 もちろん、落とした財布を見つける手段としては、落とした場所が思い当たるのであれば、そこに問い合わせることも有効でしょう。駅なら鉄道会社、タクシーならタクシー会社、バスならバス会社になります。

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警察では、落とし物をどう扱っているのか

 警察に届けておくと、拾った人が警察に届けてくれた場合に、落とし物が手元に戻ってくる仕組みがあります。

警察での落とし物の取り扱い(警視庁より)

 警察への届け出は、全国どこの警察署、交番でも大丈夫です。ただし、「落としたと思われる場所」の管轄に届け出た方が、落とした物が見つかる可能性が高くなります。

 警察では、「落とし物をした」という情報と、「落とし物を拾いました」という情報を照合して、一致する物があれば落とし主に連絡しています。

 例えば、東京都内で「なくしました」と届け出たとすると、まずは警視庁のデータベースにその情報が記録されます。一方、東京都内で拾ったと届け出られた落とし物も、警視庁が管理することになります。そのため、拾われた実物を持っている警察と届け出がされた警察が一致していた方が見つけやすいということだそうです。

 ちなみに、落とし物がカードや携帯電話だった場合は、警察からカード会社や携帯電話会社に照会され、落とし主にはカード会社や携帯電話会社が連絡をするそうです。

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携帯電話は、携帯電話会社連絡が来ます(警視庁より)

クレジットカードをなくしたら

 落としたクレジットカードを不正利用されてしまったら大変です。日本クレジット協会に対策を聞いたところ、「とにかく早くクレジットカード会社に連絡して、警察に届け出てほしい」とのことでした。

すぐにクレジットカードの発行会社と警察に届け出て(日本クレジット協会より)

 紛失に気がついてすぐに届け出をしていて、落とし主に特段の落ち度がない場合、不正利用がされたとしても請求されることはほぼないそうです。不正利用に対する対応は、各カード会社のカード規約によるので、細かい条件は会社ごとに異なっていますが、おおむね保障制度があるようです。

 しかし、こういった保障制度を悪用する人もいますので、適用される前に調査はされるそうです。その調査の際に「警察に届け出がされている」というのは大事な要件となります。クレジットカード会社でも紛失の連絡があれば、警察へも届け出るようにと誘導しているそうです。

 何よりもクレジットカードは、システムで止めてしまえば、ある程度使えないようにできますので、早く連絡すればするほど、不正利用被害を食い止めることができます。

 クレジットカードを紛失した際のポイントは、「すぐに届ける」「利用明細は必ず確認」この2つをお願いしたいとのことでした。

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銀行キャッシュカードをなくしたら

 銀行キャッシュカードも勝手にお金を引き出されたらと不安になるものです。全国銀行協会に対策を聞いたところ、「すぐに銀行と警察に届け出てください」とのことでした。

 盗難キャッシュカードで不正に引き出された場合、不正に引き出された分は銀行が負担する「預金者保護法」による制度があります。預金者に過失がない限り、盗まれたお金の100%が保護されます。

 何が過失かの基準は銀行ごとの判断であり、各銀行のWebサイトに書いてあります。ざっと調べたところ、多くの銀行が似た基準を使っているようでした。例えば、「キャッシュカードに暗証番号を書いていた」ケースは1円も補償してもらえない、生年月日や電話番号など財布に入っていたものから類推できる暗証番号を利用していると減額されるケースが多いようです。普段からこのような暗証番号は使わないようにしておくといいでしょう。

 預金者保護法は、盗難の場合が対象であって、紛失の場合が対象かどうかは議論が分かれるところだそうですが、なくした時点では盗難か紛失か判断もしにくいでしょう。不正引き出しをさせないためにも、とにかく早く届け出てくださいとのことでした。

銀行の連絡先一覧を作っているので、是非利用してとのこと(全銀協より)

本人確認書類の紛失は、指定信用情報機関へ届け出

 運転免許証や健康保険証など、本人確認に利用できる書類を紛失した場合、それらを使って勝手にお金を借りられてしまうのではないか、と不安になることもあるでしょう。それを防ぐ効果のある方法が、指定信用情報機関の本人申告制度です。

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 そもそも指定信用情報機関とは何かというと、例えばクレジット会社に新規でカードを作りたいという申請があったとき、指定信用情報機関に照会をして、申し込みした人の支払い能力を調査します。

クレジット会社が指定信用情報機関に照会します(政府広報オンラインより)

 本人申告制度により、指定信用情報機関に「運転免許証を紛失しました」という情報を登録しておくと、クレジット会社から照会があった際に、紛失したという情報を付け加えて回答されます。そうなると、クレジット会社は提出されている本人確認書類が不正利用されたものかもしれないと判断することができます。クレジット会社だけでなく貸金業者にもこの仕組みが導入されていますので、本人申告をしておくと、勝手に借金をされてしまう可能性を下げられるのです。

 個人向けの指定信用情報機関は3社です。それぞれ加盟しているクレジット会社・貸金業者・銀行が異なるので、手間ではありますが、本人申告制度を利用する場合には3社それぞれに手続きした方が良いでしょう。

 ここでも、もちろん警察への届け出もしておきましょう。

 なお、再発行は、運転免許書は警察署や免許センター、健康保険証はサラリーマンの方なら会社の総務へ、国民健康保険の方は市役所のWebサイトに連絡先が書いてあるので、そこで手続きを確認してください。

 トラブルが起きないことが一番良いのですが、もし、紛失した本人確認書類などが不正利用され、覚えのない請求が届いたという場合は、消費生活センターにも相談できます。

高橋ホイコ

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