コラム

「個人の感想です」ならどんな広告でも許されるのか? 消費者庁が見解を発表(4/5 ページ)

消費者庁が考え方を発表。

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「個人の感想です」は、免罪符にならない

 体験談とともに表示される「※個人の感想です。効果には個人差があります」の打ち消し表示。健康食品や化粧品の広告でよく見かけるが、これは何のために表示されているのだろうか。この表示があるおかげで、景品表示法違反から逃れられるものなのだろうか。報告書はこの表示についても言及している。

 調査に用いたのは、架空のダイエットサプリの広告である。4つの体験談の横に「※個人の感想です。効果には個人差があります」と書いてある。

「※個人の感想です。効果には個人差があります」とある

 まず第一に、90%が打ち消し表示に気付かなかった。ダイエットサプリに興味がある人に限っても87%は見落としている。

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 体験談が消費者に与える影響は大きく、体験談を読んだ人の53%が「体験談と同じようなダイエット効果が得られる人がいる」と感じている。また、体験談を読んだ人は、読まなかった人よりも、自分にも効果があると感じ、購入したいと思う傾向があった。体験談というのは、宣伝の上で効果があるもののようだ。

体験談を読むと効果があると感じやすい

 さらに、打ち消し表示があることで、感想が変わるかどうかの調査もしている。打ち消し表示に気付かなかった人に、再度打ち消し表示に気付くようにして感想を聞いても、「効果がありそう」という認識は大きく変わることはなかった。「※個人の感想です~」という打ち消し表示は、当然のこと、よくあるものと捉えられており、消費者に与える影響がほとんどないと報告書は論じている。

効果に対する認識 打ち消し表示に気付く前 打ち消し表示を見た後
「『体験談と同じような効果』が得られる人がいる」と思う 55.0% 48.8%
「『大体の人』が効果を得られる」と思う 42.8% 36.6%
「自分に効果がある」と思う 41.5% 35.2%

 そのため、効果があったという体験談と打ち消し表示があった場合、打ち消し表示があるかどうかに関係なく、多くの消費者は大体の人に何らかの効果があると感じているのである。この調査結果を踏まえて、消費者庁は景品表示法上での考え方を示している。それは、「効果があるという体験談」と「打ち消し表示」のある広告を、効果が全く得られない人が相当数存在するような商品で行った場合、景品表示法上問題となる可能性があるというものである。

 「※個人の感想です~」は、免罪符にはならない。体験談を用いる場合は、被験者の数と体験談と同じ効果が得られた人数を明瞭に表示するべきとしている。

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