目は見えなくても原稿は超クオリティー テープ起こし専門集団「ブラインドライターズ」ライター&運営インタビュー(5/5 ページ)
お話を聞いてきました。
――最後にお2人に今後の目標を伺ってもよろしいでしょうか。
小林 もっと早く打てるようになって、とにかく実力を付けていきたいですね。やはり先輩の松田さんはすごいです。この前もNHKの番組に出た際に自己紹介でちゃんと「ブラインドライターです」と言っていて、さすがだなと思いました。順番的に私が先に自己紹介をしたんですが「(昌美ちゃんが言わないのに私が言えないな……)」と、しっかり「ブラインドライターです」とは言えませんでした。
和久井 気にしなくていいのに! ずっと思ってるけど、まちゃみ(松田さん)とみんなは上下関係ではなく、私はみんな同じだと思ってるから。
小林 一応代表というか。
和久井 そんなのなしなし。
小林 私も頑張ります……!
――和久井さんご自身はどうですか。
和久井 もともとあんまり、障がい者の人を支援しようみたいな、そういう美しい動機で始めたものでもありませんでした。私自身、とても仕事に苦労したんです。自分に何ができるか分からなかったし、仕事してもすぐクビになるし、世界一ダメな人間だって思っていました。そんなとき大変お世話になった方がいて、「あなたはクリエイティブの才能があるから、そっちに進みなさい」と言ってくれた。
それまで、自分にできることがあるなんて考えもしませんでした。だけどその言葉が、前向きになっていろんなことにチャレンジをする勇気を与えてくれました。コンプレックスにまみれて生きるのってつらいじゃないですか。誰だって人から必要とされたいですよね。私は「一般常識がわからない」けど「発想が面白かった」らしいんです。同じように「視力が弱い」と言うとマイナスだけど「聴覚がいい」と言えばプラスになる。そういう考え方で自分の個性を受け入れて仕事ができたら幸せです。
仕事に悩んでいる人を見ると、昔の自分を思い出して、私まで一緒に辛くなっちゃうんです。自分にできることで、なにかその人のお手伝いができたらいいですよね。
――本日はありがとうございました。
【追記】一部内容を修正しました。(8月14日9時26分)
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