コラム

「読書感想文を電子書籍で書くのはNG」ってどうして? 主催団体に聞いてみた(2/2 ページ)

紙媒体以外は応募できないことになっている理由は?

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読書感想文は漫画や図鑑、辞典で書いてもいいの?

 先に答えを言ってしまうと、地域によっては漫画や図鑑、辞典で書いても問題ないとのこと。「読書=たくさんの文章を読む」というイメージからは外れますが、写真集も禁止されていません。

 そもそも読書感想文には2部門あり、「課題読書」部門は指定の本以外だと応募できませんが、「自由読書」部門は比較的ゆるいルールになっています。雑誌、パンフレット類、読書会用テキスト類などは対象外とされているものの、本の内容にまで踏み込んだ条件はほとんど掲げられていません。実際、図鑑や辞典をテーマにしたものが、都道府県の代表に選ばれた事例もあるといいます。

「自由読書」部門は、おそらく一般的なイメージよりも自由(Webサイトより)

 ただし、読書感想文の審査は、学校、市区町村、都道府県、全国と段階的に行われる仕組みになっており、それぞれの地域で独自の決まりが設けられていることも。そのため、「全国ルールではOKでも、その前に審査を行うローカルルールでNG」というケースも存在します。あえて変わったジャンルの本でチャレンジしたい方は、先に学校の先生などに確認を取ったほうがいいかもしれません。

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 ちなみに、「自由読書」部門には、テーマにする作品の文字数に関する規定も設けられておらず、極論を言えば、星新一に代表されるショートショート作品(特に短い小説)でもいいことになっています。しかし、「青少年読書感想文全国コンクール」が読書振興を目的とした企画であることから、事務局は「ある程度の分量の本をじっくり読んでほしいという気持ちがある」としていました。

課題図書はどうやって決まるの?

 今度は「自由読書」ではなく、「課題読書」の話。同部門では、応募できる本が事前に課題図書として指定されており、そこから選択する形になります。

 この課題図書はどうやって選定されているのか尋ねると、「学校で読書指導にあたられている経験豊富な先生や、子どもの本の専門家などに選定委員になっていただいている」と事務局。さらに、明文化された「課題図書選定基準」に即して、前年に刊行された本の中から決定されるそうです。

 なお、「課題図書選定基準」では、本の内容が学生の年齢に合っていることなどに加え、「市販されており、通常の方法で入手可能なものであること」「増刷が可能なものであること」と、入手しやすさについても言及されています。あらためて考えてみると、課題図書に選ばれた本は売上が急増するはずなのに、「どこにも売ってなくて困った」という悩みを聞いたことがないような……?

われわれはあまり見る機会がない「課題図書選定基準」。ちなみに、「高価な図書」も対象外とされています(Webサイトより)

読んだ本がつまらなかったときは、どうしたらいい?

 「青少年読書感想文全国コンクール」のWebサイト上では、読書感想文の書き方について「本を読んで自分がどこに感動したのか、なぜ感動したのかを考えましょう」「どう書けば自分の心の動きにぴったりするか、それがうまく人に伝わるかを考えましょう」などと紹介されています。

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 たしかに、そういう風に考えれば書くことが見つかりそうですが……まったく心が動かなかったときはどうすればいいのでしょうか。事務局はこの質問に「感動した本で感想文を書いてほしいというのがコンクール主催者の願い」としつつも、「つまらない図書だったとしても、何が、どうつまらなかったのか(書いてあることに共感できなかった、そもそも理解できなかった)などを書いていただければ、それも一つの感想文」と回答。筆者は小学生のころ、なんとなく「学校に提出する作文はネガティブなことは書いてはいけない」と思っていましたが、どうしてもつまらないときは「つまらない」と素直に書いてしまってもよかったんですね。

 以前、Twitter上で話題になったエピソードに「読書感想文に『つまらん』とだけ書いたら、元国語教員の教頭先生に呼び出され、『つまらない理由を箇条書きにして』と言われた。その箇条書きを元に2人で文章をまとめ、完成させると『これが評論というものなんだよ』と教頭。それから、国語が好きになった」というものがあります。たとえ、自分とは相性が悪くおもしろみが分からない本でも、しっかり向き合えば貴重な読書経験になるものなのかもしれません。

Togetterにもまとめ記事が制作されています

 「本を読むと、心が豊かになる」とよく言われますが、事務局によると、読書感想文にはその本の世界を深めてくれる役割があるのだそうです。習慣的に行う場合は読書ノート、読書ブログなどに短くまとめるだけでも効果があるといいます。

 「青少年読書感想文全国コンクール」に応募できるのは高校生までですが、それ以降も本の感想を誰かに話したり、SNSに書いたりする機会がなくなるわけではありません。夏休みの宿題と聞くとつい身構えてしまいますが、広い意味での「読書感想文」は、よくある本の楽しみ方のひとつなのでは?

マッハ・キショ松

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