コラム

一度課金してしまった「ゲーム内通貨」は払い戻しできる? サービス終了したゲームはどうなる?

もう使っていないゲーム内課金、ありませんか?

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 オンラインゲーム内で有料で購入したものの、アイテムに変換することもなく放置してしまっているゲーム内通貨。この通貨は、払い戻してもらえるのでしょうか? 答えを言ってしまうと、原則としてゲームサービスが終了する時にしか払い戻しはできません。

 では、消費者はどうやってゲームサービス終了のお知らせを知ることができるのでしょうか? 実は、2016年の1年間で、173タイトルものゲームがサービス終了に伴った払い戻しをしています。それなのに、9割弱の人は、そうしたお知らせを見たことがないのです。

 ゲーム課金がどのような法律に基づき運用され、どのように払い戻しがされているのかを、以前国民生活センターで「ゲーム終了のお知らせ」をWebサイトに掲載する仕事をしていた筆者が説明します。

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2016年~2017年7月12日までに払い戻しを開始したゲーム名を並べてみた。目が痛い
2017年に払い戻しがあった商品券の種類を分類してみました(7月12日分まで)

ゲーム内通貨は「商品券」と同じ――原則払い戻しできない

 ゲーム内通貨は、一度課金すると原則として払い戻しができません。このルールがどこから来ているかというと「資金決済法」という法律です。この法律は、商品券やプリペイドカードも規制する法律です。ある会社が売っている商品を買う権利をあらかじめ前払いするという意味では、商品券もゲーム内通貨も同じなのです。

 この法律では、払い戻し金額が少額の場合や利用者にやむを得ない事情がある場合などに例外として払い戻しが認められていますが、廃止時以外の払い戻しは原則禁止されています。やむを得ない事情とは、発行元の判断となりますが、金融庁が出している事例では「地域限定の商品券で地域外に引っ越す場合」などがあげられています。

2010年の法改正以降、商品券の廃止も増えています(国民生活センターより)

ゲーム廃止の「お知らせ」は、どこに載っているのか

 ゲームサービスが終了となる場合、未使用分のゲーム内通貨は払い戻しをすることが義務付けられています。払い戻し期間は60日以上と定められています。

 ゲームサービス終了時にそのゲームを利用していれば気付くことができるのですが、多くの場合、利用せず放置していたり、アプリも消去してしまっていたりするでしょう。その場合、どこで情報を得ることができるのでしょうか。

 払い戻しにあたっては、日刊新聞紙に公告を出すことと、全ての営業所、加盟店等にポスター等を掲示することが法律で決まっています。商品券の払い戻しのことを考えると、このルールも理解できるでしょう。

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払い戻しの流れ(国民生活センターより)

 日刊新聞紙とは朝日、産経、日経、読売などの新聞のことです(全国紙限定ではなく、地域限定の商品券などは地域新聞が利用されます)。商品券発行会社が広告料を払って掲載するものなので、全紙に掲載されるわけではありませんし、どの新聞に掲載されるかも発行会社次第です。消費者側から見れば、全紙購読していなければ見逃すおそれがあるのです。

 さらに、インターネット上で提供しているサービスであれば、日刊新聞紙に変えて電子公告でも良いことになりました。これは、法務省の電子公告システムから見ることができます。システム上で「資金決済に関する法律」で検索すれば見ることができます。

電子公告の検索結果(法務省電子公告システム

 さらに、金融庁が情報を掲載するのが望ましいとしているのが、自社Webサイト、加盟店Webサイト、所属する業界団体等のWebサイト、認定資金決済事業者協会Webサイトや国民生活センターのWebサイトです。このようなことから、金融庁のWebサイト国民生活センターのWebサイト日本資金決済業協会のWebサイトには、情報が掲載されています。

 あちこちのWebサイトに情報は掲載されているのですが、どれも万人が日常的に見るようなサイトではないので、意識して情報を探そうとしていないと、払い戻しを受けるのは難しいのが現状です。

国民生活センターWebサイトに掲載されている払い戻し中のサービスリスト(2017年9月7日現在)

「払い戻しのお知らせ」は9割弱の人が見たことがない

 日本資金決済業協会の調査によると、「払い戻し」のお知らせを見たことがない人が9割弱となっています。これはゲーム課金だけではなく、商品券、プリペイドカードなど全てを含んでの統計ですので、ゲームだけに限定すれば、さらに見た経験は減ることが予想されます。

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 現状このような仕組みとなっていますので、使わなかったゲーム内通貨を取り戻すには根気と運が必要です。月並みなアドバイスとなりますが、ゲーム課金をする際は、使い切れる分だけ計画的に利用することをお勧めします。

多くの人が払い戻しの情報に出会えていない(日本資金決済業協会より)

高橋ホイコ

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