ニュース

視線入力で描いたALS患者による名画 Windowsの「ペイント」で描かれる

気鋭の分身ロボット研究者による、視線でPCを操作するシステムがそれを支えました。

advertisement

 カラダを動かせなくなったALS患者の榊浩行さんが、PCへの視線入力を使って描いた絵画が「あまりに美しい」と深い感動を与えています。

システムの開発者も「人類未踏の領域」と驚嘆

調和がとれた絵

 実はこれ、Windowsの標準ソフト「ペイント」で描かれたもの。健常者と変わらない速度でポインターを動かし、「拡大鏡」「ブラシ」「色の編集」などのコマンドをあざやかに使いこなします。

 絵の舞台は、かつて走ることが好きだった榊さんが「素晴らしいランニングコース」と表現する手賀沼の手賀大橋付近。もともと絵が得意であった素養を生かし、見事に描き上げました。

advertisement
榊さんが絵を描く様子。健常者と変わらない速度で絵を描いていく

 それを支えたのが、29歳にして気鋭のロボット研究者、オリィ研究所代表の吉藤健太朗さん(@origamicat)。彼が開発した視線でPCを操作できるシステム「OriHime eye」によって、眼の動きだけで「ペイント」を使うことが可能になりました。

 「視線の検出と、中心を見つめ続ける時間によって入力を行っています。『まばたき』は眼の疲労につながり、誤入力が多かったため現在は使っていません」(吉藤さん)

 OriHime eyeの「デジタル透明文字盤」により、目だけで文字の入力と読み上げが可能なため、会話やSNSでの交流もできます。

榊さんがスピーディーに文字を打ち込む様子

 榊さんは2014年の10月下旬、絵の舞台となった手賀大橋を2回渡る手賀沼エコマラソンを走り終えた直後に猛烈なけいれんが起こり、病のはじまりを実感したとか。「思えば、あの日が人生の折り返しだったのかもしれません」と語る榊さんは、この絵画に「折り返し」という題名を付けました。

 なお「折り返し」の前にも3作品を描き上げています。花を風合い豊かに表現した「Eyes Art」、自由自在に天を駆け廻る龍を描いた「天駆ける」、自らの資格試験合格への祈りを込めた「祈」、いずれもずっと眺めていたくなる、今の榊さんならではの繊細な世界観が表れた絵画です。

advertisement

バラの花を描き上げた、眼での記念すべき第1作「Eyes Art」

2作目は自由自在に天を駆け廻る、思いを込めた「天駆ける」

3作目は試験合格を祈願した「祈」

辰井裕紀

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  6. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  9. 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  10. 「セッ…ックス知育玩具」 省略する位置がとんでもないオモチャの名前にネットがざわつく