コラム

「毒の致死量」ってどうやって調べるの? 死ぬまで摂取してみるの?

どうやら危険な人体実験の結果……ではないらしい。

advertisement

 世の中にはさまざまな「毒」があり、それぞれに「これ以上は死ぬぞ」というラインである「致死量」が知られています。猛毒のシアン化カリウム(いわゆる青酸カリ)なら、致死量は成人で0.2~0.3グラムとされています。

 改めて考えてみると致死量を測るためには、毒を少しずつ与えて死に至ったときの投与量を得る必要があります。これを人に対してやったとしたら……考えるだけで恐ろしい話です。

 実際、第二次世界大戦時のドイツのデータなどは存在しますが、現代で公式に実験することは不可能でしょう。では、致死量は一体どのように測定しているのでしょうか。

advertisement

致死量は振れ幅が大きい

 そもそも大前提として、毒の効きやすさは動物の種類、体重、体質、体調……など、あらゆる要因によって変化します。つまり、青酸カリの致死量は前述の通り約0.3グラムとされていますが、人によっては0.5グラム飲んでも死なないかもしれないし、逆に0.1グラムだけで死に至ってしまう場合もあるのです。

 そこで、致死量を表すときには「ある動物の集団に一斉に与えたとき、半分が死に至る量」が用いられます。これを半数致死量といい、よく「LD50」と書かれます。英語で致死量を意味する「Lethal Dose」の頭文字、「50%」を使った略語。

さすがに人間では試せない

 LD50を測定するには一定数の動物を殺さなければいけないので、基本的に人間ではできません。人間のデータがない場合、マウスなどの実験動物のデータから、体重1キロ当たりの致死量をもとに推定することになります。

 人間と他の動物では毒の効き方は違うので、多くの致死量はあくまで参考ということになります。フィクション作品でよく見る「致死量ギリギリの毒を飲み続けてきたから毒は効かないぜ」ってやつ、素人はやらないほうが良さそうです(当たり前)。

あなたのそばにも致死量

 毒になるおそれがあるものに極力近づかないほうがいいのは当然ですが、少量の毒を有効活用している例もあります。

advertisement

 有名なケースでは、超猛毒のボツリヌストキシン(ボツリヌス菌が発する毒素)を数百倍に薄めた注射薬が、けいれんの治療や顔のシワ取りなどに用いられています。

 逆に、適量なら身体に有用な物質にも致死量が存在。例えば、コーヒーに含まれるカフェインは、3時間以内に1グラム(コーヒー換算10杯)以上摂取すると中毒が発生し、10グラム(コーヒー換算100杯)摂取すると死に至るとされています(※)。

 また、食塩は約200グラムが致死量。これはハッピーターン約3300個分の塩分量で、3時間で摂取しようとしたら3秒に1つのペースで食べ続けなければなりません。ちなみに、食塩中毒には確立された治療法がまだないそうな。恐ろしいというべきか、ピンと来ないというべきか……。

※コーヒー1杯に含まれるカフェインを約0.1グラムで計算


コーヒー(カフェイン)や塩にも致死量がある

 カフェインにしろ食塩にしろ普通なら達しない量ですが、一応気をつけましょう。概して推定量であり、個人差も大きいので、良い子のみんなは「致死量チキンレース」とかしちゃダメだぞ。

制作協力

QuizKnock

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
  2. ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
  3. 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
  4. 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  5. 「どういうことなの!?」 ハードオフで13万円で売っていたまさかの“希少品”に反響「すげえ値段ついてるなあ」 
  6. 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  7. 「衝撃すぎ」 NHK紅白歌合戦に41年ぶり出演のグループ→歌唱シーンに若年層から驚きの声 「てっきり……」
  8. 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  9. 知らない番号から電話→AIに応対させたら…… 通話相手も驚がくした最新技術に「ほんとこれ便利」「ちょっと可愛くて草」
  10. 「見間違いかと思った」 紅白歌合戦「ディズニー企画」で起きた“衝撃シーン”に騒然「笑った」「腹痛い」