水素水、バストアップ、関節に効く…健康食品に本当に効果はあるのか? 「商品テスト」から見る健康食品との付き合い方(3/3 ページ)
「健康被害」にあわないために。
健康食品による健康被害は起きている
国民生活センターの商品テストは、全国の消費生活センターに寄せられた相談も分析しながら行われている。前述の「プエラリア・ミリフィカ」は、月経不順や不正出血といった健康被害が報告されている。2014年の「キャンドルブッシュを含む健康茶」に関するテストでは下痢・腹痛等を伴う消化器障害の事例、2008年の「αーリポ酸を含む健康食品」のテストでは「不整脈が出た」「吐き気や腹痛がする」等の事例が紹介されている。
健康食品だけでなく、食品には多かれ少なかれ健康被害を起こすリスクがあるものだが、健康食品は、その食品中に害を及ぼすものが入っている場合はもちろんのこと、摂る量や摂り方に問題がある場合にも健康被害が起こることがある。
例えば前述の「キャンドルブッシュを含む健康茶」、これは「おなかがスッキリする」と触れ込みの健康茶だが、テストした銘柄のうち約半数は、カップに2、3杯の量を飲むことで医療用医薬品と同程度の量の下剤成分(センノシド)を摂取する可能性があった。人によっては激しい下痢や腹痛を起こす可能性があるため、摂取量に注意が必要と注意喚起している。
健康被害にあわないためには
食品安全委員会は2015年12月に「いわゆる「健康食品」に関するメッセージ」を出している。19項目にわたるこのメッセージは、健康食品による健康被害を防止することを目的として作られている。
19項目の中には「知っていると思っている健康情報は、本当に(科学的に)正しいものですか?」という項目がある。科学的に正しいかどうか、一般人が見抜くことは難しいかもしれない。しかし、ある程度の見分け方が紹介されている。
- 体験談は根拠にはならない
- 特定の研究者だけが主張している場合には、必ずしも証拠とはいえない
- 「動物実験で成功」という結果がそのまま人に当てはまるとは限らない
「科学的な方法で検討して明確になっていること」というのは、「動物ではなく、妥当な人数の人を対象に、適切な試験が行われていて、複数の研究機関により、客観的に評価されている」ということを言う。効果があったという体験談や一研究者の学会発表だけでは「科学的に確か」とは言えないと説明している。日常生活でこうした情報をそのまま信じてしまう経験は誰にでも思い当たる節があるのではないだろうか。
健康食品のために「健康被害」が出てしまっては、何のために費用をかけて「健康食品」を摂ったのか分からなくなってしまう。
「現在の日本人が通常の食事をしている限り、ビタミンやミネラルを食事以外からサプリメントによって摂る必要性を示すデータは今のところありません」
「体重を減らす効果をうたう食品(いわゆるダイエット用食品)は、人での安全性が実証されているものはほとんどありません」
このようにハッとさせられる内容を含んだ、この19項目のメッセージを知っているだけでも、冷静に健康食品と付き合えるだろう。
(高橋ホイコ)
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