コラム

“1000回遊べるRPG”を4000回遊んだ男 「SFCトルネコの大冒険」に挑み続けるプレイヤーが語る「不思議のダンジョンには、まだ不思議がある」(1/5 ページ)

求道者のごとく追い求める「トルネコ」の理論的限界。

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 1993年に登場したスーパーファミコン用ソフト「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」(チュンソフト/現スパイク・チュンソフト)。2018年に25周年を迎えるレトロゲームではありますが、遊んでいた方は今でも、あのキャッチコピーを覚えているのでは?

 「1000回遊べるRPG」

 主人公トルネコが挑む「不思議のダンジョン」は、入るたびにダンジョンの形状が変化。また、いくらレベルを上げても、地上に戻るとレベル1に戻ってしまうという不思議な性質がありました。これらのゲームシステムのおかげで、何度でも新鮮な気持ちで遊べることから、「1000回遊べるRPG」というコピーが採用されていました。

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 一見、大胆と思えるこの表現、実際には“謙虚すぎた”かもしれません。というのも、今回取材した秋川さんは、同作を実機で4000回以上プレイ。現在もダンジョンに潜っては、Web上にプレイ日記を公開しつづけています。しかも、その日記がめちゃくちゃ細かく、真剣さが伝わってくるのです。「この人、本当にダンジョンに潜っているのではないか」と思ってしまうくらい。

レベルやアイテムの状況から敵との交戦、取った行動、冒険後の反省までとにかくめちゃくちゃ細かい

 「トルネコの大冒険」の一体何が、彼をこれほどまでに熱中させているのでしょうか。「1000回遊べるRPG」が、1000回では遊び尽くせなかった理由を伺ってきました。

秋川さんと、エニックス(現スクウェア・エニックス)から発行された公式ガイドブック(1993年)
10年かけて鍛え続けた結果、数値がオーバーフローしてマイナスの表示になった最強アイテムたち

「1000回遊べるRPG」を、4000回プレイした男

―― 今まで「トルネコ」にどれくらい時間を使いましたか?

 私の場合、「もっと不思議のダンジョン」を1回クリアするのに、2~3時間かかるので……。

―― 少なくとも数千時間は費やした計算になりますね。

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 当時のSFCのソフトの定価が1万円くらいだったのですが、これくらい遊ぶと、1プレイあたり2円台で楽しんでいることになりますね(笑)

―― プレイ回数はどうやって把握しているんですか?

 「トルネコ」は、セーブデータにダンジョンに潜った回数が表示されるので、そこを見ています。

ロード画面のキャプチャー画像。プレイ回数はもちろん、20年超にわたって、データを保護している点もすごい

―― スーパーファミコンって、セーブデータが消えてしまうことがありますよね。データの保護はどうやって?

 私は部屋に本体を出しっぱなしにしてプレイしているのですが、データ紛失が怖いのでソフトは抜かないようにしています。「データ保持に使用されているカセット内の電池がダメになっても、本体を通電しておけば大丈夫」と聞いたことがあって。

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 でも、コントローラーはたまに買い替えていますよ。何年間も使っていると、ボタンが劣化してしまうので。

実機でプレイし続けているSFC版「トルネコの大冒険」。ラベルは、経年でやや色あせているようです
小型のプレイステーションとして発売された「PS one」に別売りの液晶モニターを接続してプレイ。人によっては、こちらも懐かしいはず

―― 「トルネコ」はランダム要素が強いゲームですが、4000回の中で印象に残っているプレイはありますか?

 いろいろありますが、最近だと攻撃が9回連続でミスしたことですかね。私が調べたデータでは、攻撃が外れる確率はトルネコ、モンスターともに8分の1。ここまで連続する確率は、約1億3422万分の1です。相手はさまようよろいだったのですが、HP全快の状態から瀕死に陥りました。

―― そこまで低確率だと「たった4000回のプレイで起こった奇跡」といいたくなりますね。

 ええ。運が良かったのか、悪かったのか……。20年くらいプレイしていると、こんなことも起こるんですね。

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リプレイ機能を使用した動画よりキャプチャーしたもの
「はずれてしまった」「はずれてしまった」「はずれてしまった」
何もできないまま、ガンガン削られていくHP
HP30になったあたりで、さまようよろいの攻撃も2連続ミス
トルネコ、10回目の攻撃がやっとヒット。……もう死にかけだよ!
このときのプレイ日記。9回連続で攻撃を外したあと、敵の止めの一撃まで外れてしまい、何とか生き延びたそうです。アツすぎる泥仕合(トルネコ日記より)

「パソコン少年」憧れの名作が、スーパーファミコンにやってきた

―― 「トルネコ」に出会ったきっかけは?

 私は現在45歳で、物心つくころには「月刊コロコロコミック」があって、インベーダーブームが起こって……という世代です。

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