これがプロの解説力! JAL整備士によるフリーペーパー「かなりマニアックな飛行機豆知識」の読み応えがすごい
高松空港で配布されている手書きのフリーペーパー。
高松空港(香川県)で配布されている「かなりマニアックな飛行機豆知識」をご存じですか? JALの整備士が手書きで制作した知る人ぞ知るフリーペーパー。“豆”知識というには読み応えたっぷりな内容から根強い人気を集めています。
「かなりマニアックな飛行機豆知識」は全16号にわたって、なかなか知る機会のない飛行機の仕組みを解説したもの。例えば、Vol.2では、音速に近い速度で飛行するジャンボ旅客機の安定性制御について取り上げています。「そもそも音はどうやって空気中を伝わるのか」という基礎的な内容から、機体が不安定になる「ダッチロール」「タックアンダー」といった現象、その対策として動翼(翼の後ろに付いている動く部分)などがどのように機能しているかまで説明しています。
「かなりマニアック」と自称するだけあって、誌面には手書きの文章やイラストがびっしり。やや難しい内容ではありますが、専門的な知識がなくても理解できるように書かれており、読み応えがありそうです。
Twitter上では数年前から「かなり面白い」「うわさに違わぬすさまじい情報量」とひそかな人気を獲得しており、2017年末にも「航空力学や、航空業界目指す方にオススメしたい」と紹介するツイートが話題になっていました。
発行元であるJALに話を伺ったところ、このフリーペーパーは、32年間務めているベテラン整備士がプライベートで自社機を利用したときの経験から生まれたもの。機体が駐機場から押し出されているとき、客席上部にあるエアコンの送風が止まることに気付き、不思議そうにしている乗客の姿を何度も目撃していたそうです。実際には「エンジンスタート中は、エアコンが止まるシステムになっている」のですが……飛行機の仕組みをそこまで理解している人なんて、ほとんどいないよなあ。
そこで、自分の知識を活用して「分かりやすく解説したら、『なるほど』と楽しんでもらえるのではないか」と、2011年9月にVol.1を発行しました。ちなみに、手書き形式になったのは、前年にJALが経営破綻しており、費用がかけられない状況だったため。厳しいなかで生まれたフリーペーパーだったものの、読者からの評判は非常によく、お礼のメールや手紙が送られてくることも多いそうです。
「かなりマニアックな飛行機豆知識」はJAL便の搭乗橋通路(出発搭乗口から飛行機につながるところ)に、3号分置かれています(対象号は数日ごとに入れ替え)。ここで一度に全号集めることはできませんが、取材に応じた広報担当者によれば「高松空港の弊社スタッフにお声をかけていただければ、Vol.1からVol.16までご希望の号数のものをお渡しできます」とのこと。興味のある方は、四国旅行のおみやげにゲットしてみてはいかがでしょうか。
(マッハ・キショ松)
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