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「“本当の〆切”なんてないです」 原稿を“催促する側”と“執筆する側”の攻防が特定クラスタの心に刺さる

自戒を込めて紹介します(筆者)。

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 博物館の日常を学芸員の視点で描く「学芸員の観察日記」が、近ごろTwitterで話題です。基本的にはほのぼのした漫画なのですが、資料用の原稿を「催促する側」と「執筆する側」のやりとりを描く「攻防」シリーズが、同業者や文筆家などにグサグサ刺さっているようです。あと、ぼく(筆者)にも。

あるあるすぎるやりとり

 滝登くらげ(@taki_kurage)さんが、Twitterとpixivで公開している漫画の1シリーズ。原稿を遅らせている田貫(たぬき)さんを軸に話は展開されます。〆切(締め切り)はとっくに過ぎているのですが、彼は催促されると堂々「全然できてない」と白状。「本当の〆切はいつかな?」と押し切ろうとします。

 ここで言う「本当の〆切」とは、「多少遅れてもどうにか間に合うだろう」と、書き手が勝手に思い込んでいる日程のこと。もちろん〆切に本物も偽物もありませんし、仮に原稿が遅れたのに出版が間に合ったとしても、それはデザイナーや印刷所が無理をしての話です。

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 その後も田貫さんの執筆は進んでいないようで、〆切からは約1週間が経過。それでも彼は、入稿後の校正や印刷といった工程にかかる時間を計算し、「あと3日は大丈夫」と勝手に判断してしまいます。そういうことすると、最終的に破綻しますよ……。

筆者の経験では、勝手に不正確な計算をされるよりはと、「間に合わないとマジで本が出なくなるデッドライン」が最初に伝えられるケースもあります

 筆者の経験上、田貫さんのようなタイプは〆切の日時を自分に都合良く解釈する傾向があるものです。例えば依頼者が「金曜日までに」と言う場合、「金曜日の営業時間中に」を意図しているはずなのですが、請ける側は文字通り「金曜日の24時まで」ととらえます。この思考はとても危険で、やがて「24時にできたとしても、編集側の作業は翌日になるだろう」「編集さんは土日休みだから、作業は結局週明けになるだろう」「つまり月曜朝までに書き上げればOK!」と発展し、自己判断で作業を遅らせてしまいます。

「仮の〆切」のようなものが生まれるプロセス

 依頼者は依頼者で、田貫さんがそう考えることを想定し、〆切を本来よりも早い「木曜正午厳守」と設定。こうした経緯で〆切が前倒しにされることもあるので、書き手は「本当の〆切」というものが存在すると考えてしまうわけです。元はと言えば自分のせいなのに。

どうにか入稿した田貫さんですが、作図が必要な表が入っていたためデザイナーさんに迷惑を掛けることに

 その後、資料は内覧会前日ギリギリでどうにか完成し、スタッフもホッとしたムード。大変な袋詰め作業も、田貫さんの頑張りもあって速やかに終わりました。ん、田貫さん、そんな場面で評価されていますけど、〆切さえきちんと守っていれば、袋詰めだって余裕を持ってできたんですよ? そもそも納品が間に合ったのも、デザイナーや印刷所へ迷惑を掛けた末の話なわけで……。

田貫さん、どうしてそういうときだけ手が早いの……

 シビアな話ばかりになってしまいましたが、「攻防」シリーズはこの漫画でも特異なエピソード。ほかでは博物館や学芸員にまつわる出来事がゆる~く描かれています。

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本来は気楽に読める漫画なんですよ!
画像提供:滝登くらげ(@taki_kurage)さん

(沓澤真二)

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