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ぬぉぉぉ、何だこのトンネルは! あの「氷川丸」の非公開エリアへ潜入、実はこんなにスゴい船だった(1/3 ページ)

ワレ 氷川丸 ノ ドン底 ニ 潜入 セリ。モトヨリ 生還 ヲ 期セズ。【写真170枚超】

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 皆さん「日本郵船 氷川丸(以下、氷川丸)」をご存じでしょうか。横浜・山下公園から見えるあの大きい船。実物、あるいはテレビや雑誌などで一度は目にしたこと、聞いたことがあるでしょう。


横浜港の特設桟橋に係留保存されている氷川丸

 氷川丸は1930年(昭和5年)に、横浜船渠(せんきょ)で竣工(しゅんこう)された日本郵船の貨客船です。横浜船渠は今の三菱重工業 横浜製作所に当たります。全長163.3メートル、総トン数1万1622トン、船速18.38ノットと、当時としては日本郵船 浅間丸型(1927年竣工、全長170.68メートル、総トン数1万6947トン、船速18ノット)に次ぐ大型客船として、日本の主要港と北米シアトルを結ぶ航路に就航しました。そして、太平洋戦争が始まる直前の1941年11月に海軍の病院船として従軍。触雷(機雷に触れてしまうこと)で3度も被害を受けたものの、沈没することなく生き残りました。

 戦後は「日本を代表する貨客船」として1953年からシアトル航路に返り咲きます。しかし、主要な移動手段が船から旅客機へ変わる時代の流れとともに、氷川丸は1960年にシアトル航路から退き、また、貨客船としても引退します。日本郵船は氷川丸をそのまま解体する予定でしたが、当時の横浜市長が係留保存した上で一般公開するように提案。こうして氷川丸は現在の山下公園の特設桟橋に係留され、また、内部も見学できる施設として活用されています。

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 なお公開当初は修学旅行生などを対象にした600人宿泊可能なユースホステルとして、さらには納涼イベントや船上結婚式など、観光施設としての利用が多かったそうです。2006年から2008年にかけて大規模な修復工事を行い、北米航路時代を再現する内装に仕立てたことで、史料価値の高い博物館としての役割を果たすようになりました。ちなみに国の重要文化財に指定されています。

今は国指定重要文化財として一般公開している

 こんな歴史的価値がある氷川丸。その所有者である日本郵船は去る2月15日、「氷川丸非公開エリアの見学会」を実施しました。通常は立ち入れない秘密のエリアを公開するとあって、多くの見学希望者が来場。筆者も参加してきました。


船内見学を待つ大行列

「北米航路全盛期の船旅時代」を再現した氷川丸の内部

 氷川丸は2018年現在、戦前の北米航路全盛期における客船の船旅を再現した内部を一般公開しています。その内容は、フランスのマルク・シモンによるアールデコ調の当時の内装を再現した公室や船室を中心に、操舵室や無線室、機関室、さらには船長室と、戦前に建造された大型貨客船として唯一現存する艤装(ぎそう:船として機能するために必要な設備や装置、またはそれを取り付ける工程)、舶用装置など貴重な史料をつぶさに見ることができます。

 公室は、一等食堂から一等社交室、一等読書室、一等喫煙室、そして一等児童室まで、上流階級の船客専用の「最も力を入れて内装を整えていたところ」です。船室は、一等特別室に一等客室、さらに、一般船客が利用する三等客室(現代の旅客機でいうところのエコノミーシート)を見学できます。

内装と色彩が竣工当時のまま保存されている一等食堂
男性だけでなく女性も利用することが多かった一等社交室
一等読書室には書見机を用意していた。レイアウトもほぼ図面通りに再現している
一等喫煙室は男性専用の談話室という位置づけだった。当時の欧米では食堂でディナーを終えたのち、男性は喫煙室で、女性は社交室にそれぞれ分かれて談話する習わしがあった
一等船客の子息だけを預かる一等児童室
氷川丸で最上級の船室となる一等特別室
一等客室
三等客室

 操舵室には、1950年(昭和30年)代までに開発された舶用機器があり、大きな舵輪や羅針盤、煙式の火災報知機といったものからレーダーまで幅広い時代の機器がそろっています。こういったところも設備好きにはたまりません。また、採用した船で現存するのは氷川丸だけという「リベット工法」(鉄板をつなぎ合わせるのに、溶接ではなく鋲を打つ工法)や建造当初のチーク材が一部残っている「木甲板」なども確認できます。

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氷川丸の操舵室
羅針盤と転輪羅針儀リピーター、舵角指示器と舵輪の組み合わせ。今ふうにいうと操船コックピット
無線方位測定用のループアンテナとレーダーマストトップに設置した水上見張りレーダー
N1デッキ天面から見えるリベット
同じくN1デッキ床面に敷き詰めてあるチーク材は、竣工当時(1930年)からあるもの
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