コラム

「宇宙文明が存在する数」は計算できる? 「ドレイク方程式」を解説してみる

人類がどこまで頑張れるか。

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 SFの名作映画には、「スター・ウォーズ」「アバター」「E.T.」など宇宙文明や地球外生命体が登場するものが少なくありません。SFの世界ではさも当たり前のように存在している宇宙文明ですが、現実にはどれほどの数が存在しているのでしょうか?


今回考えるのは、あくまで「人類と電波で交信できる」宇宙文明

「ドレイク方程式」とは?

 「地球以外に文明はあるだろうか? その文明に出会えるだろうか?」という問いに対して、初めて科学面から考察したのはコッコーニとモリソンによる1959年の論文でした。

 意外と最近に思われるかもしれませんが、これは人類にとって、電波天文学が発展したことで初めて「電波を使って地球外の宇宙文明と交信する」試みが可能になったからです。

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 そして実際にこの試みに乗り出したのが電波天文学者のドレイク。彼はアメリカ国立電波天文台の26メートルもあるパラボラアンテナを借りて、実際に「宇宙文明から発せられた電波」を探す観測計画「オズマ計画」を敢行しました。

 ドレイクが「オズマ計画」を実行するにあたって提案したのが、銀河系内の宇宙文明の数を算出する「ドレイク方程式」だったのです。

ドレイク方程式を読み解く

 まずはドレイク方程式を眺めてみましょう。長いので数式が苦手な人にはややこしいものに見えるかもしれません。でも落ち着いて見るとかけ算とわり算を組み合わせただけの式ですので、紅茶でも飲みながらのんびり眺めてみてくださいね。


この長い式にはどんな意味があるのかじっくり考えてみよう

N=Ns×R×fp×ne×fl×fi×fc×L÷Lg

N=銀河系内で電波で交信する文明を持つ惑星の数

Ns=銀河系の恒星の数

R=文明を持つ生命を生み出す条件を満たす恒星の割合

fp=その恒星が惑星系を持つ割合

ne=その惑星系で生命を生む環境がある惑星の数

fl=その惑星上で生命が誕生する確率

fi=生命を持つ惑星の中で知的生命が誕生する割合

fc=知的生命が宇宙に強い電波を出すようになる確率

L=その文明が存続する期間(つまり文明の寿命)

Lg=銀河系の寿命

実際の確率は?

 では実際にどんな数値が入っていくのか少しずつ見ていきましょう!

Ns=銀河系の恒星の数=1000億

 「星の数ほど」とはいいますが、私たちの太陽が位置する天の川銀河系内の恒星の数は約1000億個程度。ちなみにヒトの小脳内の神経細胞数と同じくらいです。

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R=文明を持つ生命を生み出す条件を満たす恒星の割合=0.1

 銀河系の星は、あたたかな日差しを与えてくれる太陽のような恒星ばかりではありません。実際には、暗く冷たくなってしまった褐色矮星や恒星の燃料である水素をほぼ使い果たしてしまった白色矮星なども数多く含まれています。

fp=その恒星が惑星系を持つ割合=0.1

ne=その惑星系で生命を生む環境がある惑星の数=1

 惑星で生命体が発生する可能性がある領域は「ハビタブルゾーン」と呼ばれています。これは液体の水が維持できる恒星からの距離で定義されています。

fl=その惑星上で生命が誕生する確率=1(?)

fi=生命を持つ惑星の中で知的生命が誕生する割合=1(?)

fc=知的生命が宇宙に強い電波を出すようになる確率=1(?)

 このあたりになるともはや正確な数値をあてはめることはできません。かなり楽観的に1としています。

L=その文明が存続する期間(つまり文明の寿命)

 これこそさっぱりわからず、推測することもできません。ここではLのままにしておきます。

Lg=銀河系の寿命=100億年

 何を銀河系の寿命とするかも難しいところですが、天の川銀河は50億年後くらいにはアンドロメダ銀河と衝突する可能性があることがわかっています。

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 さて、楽観的な推定値も含まれますがこれらの値をあてはめて計算すると、

N=銀河系内で電波で交信する文明を持つ惑星の数  =0.1L =0.1×文明の寿命

 となります。

宇宙文明の数は人類にかかっている?

 文明の寿命に関しては知る由もありません。われわれが唯一知る宇宙文明である人類すら、電波天文学に着手してから100年程度しか経っていないのです。

 仮にL=1万年とすると宇宙文明の数は1000個ほどとなりますが、はたして人類はこの先1万年以上も繁栄を維持することができるでしょうか?

 「宇宙文明の数」と「その宇宙文明と交信できるかどうか」は、ある意味で「私たち人類の文明がどこまで長く頑張れるか」にかかっているともいえるのかもしれませんね。

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いつか出会える日は来るだろうか

主要参考文献

『シリーズ現代の天文学 人類の住む宇宙』 岡村定矩他編

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