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「妥協は死」が社訓 「ポプテピ」で話題のCGアニメスタジオ・神風動画の社員はなぜ徹夜をしないのか(4/4 ページ)

死屍累々なスタジオかと思いきや……?

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――直球な質問で恐縮ですが、CG会社ってもうかるんですか?

佐々木:それ、たまに聞かれるんですが、いただいた予算はその作品の制作費として使い切っちゃうことが多いから……(笑)。むしろもうかってる会社さんにお聞きしたいですね。

水野:CGは準備が大変で。キャラクターを1体描くにしても、モデリングからキャラクターを造形して、テクスチャーを貼って、動かせるように骨を仕込んでと、工程がすごく多い。「CGでやればすぐでしょ」っていう認識を持たれている方がいまだにいますが、そこに至るまでにすごく時間をかけているんです。

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佐々木:ちなみに、われわれはあまり自分たちを「CG」や「アニメ」の会社と捉えていなくて、「映像制作会社」だと思っていたりします。だから表現に必要であれば、実写でもなんでもその都度取り入れます。

――「ポプテピ」も表現方法が多様で毎週圧倒されています。「ポプテピ」で活躍しているAC部(※)は、水野さんの「月影のトキオ」にも参加していましたよね。

※AC部はシュールで前衛的すぎる映像を作る唯一無二な映像ユニット

AC部の高速紙芝居「安全運転のしおり」。同作で第18回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査委員会推薦作品受賞した

水野:兄の影響もあって、僕がもともとAC部のファンだったんです。2007年にある結婚パーティでお見かけして、話しかけてみたのが初対面でした。翌年作ったオムニバス映画「東京オンリーピック」にAC部さんも参加していたので、それがきっかけで仲良くなりまして。AC部の2人と兄の4人で飲んだり、一緒に卓球やったり

――卓球!?

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「東京オンリーピック」は水野さんとAC部が偶然一緒に参加した、架空のスポーツが繰り広げられるオムニバス作品

水野:年に何回か会うようになって、2009年には映像ユニット「超常現象」を結成しました。本物のアーティストやミュージシャンが超能力者という設定で登場する怪しい実写映像なのですが。そんなご縁もあって、神風動画でもAC部とちょくちょくご一緒させてもらっています。

上坂すみれさんのファーストアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」のPVでも神風動画とAC部のコラボが見られる

――最後に、今後挑戦してみたいことを教えてください。

水野:バイクが好きなので、バイクのアニメーションを作ってみたいかなぁ。案外リアルなツーリングを描いた作品ってそんなにないですし。あとは「ラストピース」シリーズのように、低予算・少人数でできるものはもっと挑戦してみたいです。

――今回事前に「ラストピース」の本編を拝見させていただいたんですが、動きが本当に格好良いんですよね。

水野:絵はシンプルだけど、アニメーションとしてはしっかりしている――という形はもっとやり方があると思っています。通常はキャラクターを作り込んで、ちゃんと動かせるようになるまでに1~2か月かかりますが、このシリーズなら2日で1体つくれる(笑)。いつかこの手法で新しいものがつくれたらなと思います。

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――佐々木さんはどうですか。

佐々木:うーん、覚悟を持ってやりたいと言えば、やらせてくれる環境なので、既にやりたいことがやれているんですよね……。あ、ゆくゆくはロボット物をやってみたいなという野望はあります。

――会社としてはいかがでしょうか。

佐々木:スタッフは好きなものがみんな違っていて、映画が好きな人もいれば、アニメも見ないしゲームもやらないという人もいたりします。なので、会社としてこういう作品をやっていきましょうというよりは、ディレクター陣が作りたいものがその都度作れる環境にしていきたいですね。

 テレビシリーズや劇場版をやったからといって会社の方針がガラッと変わるものでもないので、これまで通り、世間やユーザーに刺さる、賞味期限が長い映像を作り続けていきます。

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(聞き手・構成:福田瑠千代、聞き手・撮影:Kikka)

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