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「子持ちのおじさんゲーマーにも夢を持ってほしい」 トッププロゲーマーを影で支え続ける“プロゲーマーの嫁”の内助の功(3/3 ページ)

「西のウメハラ」とも呼ばれたトッププレイヤーの妻であり、マネジャーでもあるakikiさん。私生活やeスポーツシーンについて話を聞きました。

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―― sakoさんはJeSU(日本eスポーツ連合)が認定したプロゲーマーの中では最年長と伺いましたが、年齢的な限界を感じることはあるんでしょうか?

akiki: 年齢では感じてないみたいですね。でも、引退に関してはsakoにも最年長としての責任感があるみたいです。sakoは38歳ですけど、これはもしかしたら世界最年長プロゲーマーなんじゃないかという年齢です。一応同年代のプロ格闘ゲーマーも居るんですけど、子どもまで居るのってsakoぐらいなんですよ。

 そうなると「sakoさんが第一線で頑張ってると“俺もまだまだいける!”って思えます!」ってファンの人からよく言われるんです。だから、年齢を理由にして引退しちゃうとみんながっかりしちゃいますし、“プロゲーマーの年齢的な限界”が決まっちゃうんですよ、「格闘ゲームは40歳までだな」みたいな。

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―― それは責任重大ですね。

akiki: 若い方が反応速度の面で有利とされていますが、だから「気軽に引退できないね」って話してますよ(笑)。同じプロゲーマーでも、子持ちで家庭があるとなると考え方が大きく変わりますから。だからこそ、できるだけ頑張って“既婚者で子持ちのゲーマー”に夢を持たせてあげたいですね。

スランプから脱出したきっかけは「楽しめば勝てる」と気づいたこと

―― あと、これはちょっと聞きづらいんですけど、離婚は考えたことありますか?

akiki: ゲームじゃない部分が原因でしたけど、ありますよ。プロゲーマーになる直前に大きなケンカをして、市役所に行って離婚届取ってきて私が全部書いて「はいどうぞ!」って。その後離婚は踏みとどまったんですけど、それだけの大喧嘩をしたので気まずい空気はあったんです。でも、お互い仲直りしたいタイミングでプロゲーマーのオファーがきて、「一緒に頑張ろう!」ってドタバタしてたら気まずいの忘れちゃってて(笑)。あの時、プロゲーマーのお話がなかったら結局離婚してたかもしれません。あのタイミングだったからこそ今があるので、本当にゲームに愛されている人だなぁ……と思います。

―― そういえば、以前ボンちゃんさんにインタビューしたとき「プロゲーマーはモテる」とおっしゃってましたが、やはりsakoさんもモテるんですか?

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akiki: いや、モテないです(即答)。でも、イベントとかで「いつも応援してます!」って言ってきてくれる人のおじさん率の高さはスゴイですよ(笑)。いや、モテなくていいんですけど!(笑)

そこは即答なんだ

―― sakoさんを見て「カッコイイな」と思ったりしないんですか?

akiki: え~……。基本、カッコイイよりカワイイキャラだと思ってるんで(笑)。あえて言うなら……ゲームのことを語っている瞬間は我が道を行く感じで良いですね。

―― 今はお子さんがいらっしゃるわけですが、子どもができてプレイの影響は出たりしたんですか?

akiki: ありました。酷かったですよ、全然勝てなくて。子どもができる前はゲーム中心の生活でしたけど、子どもができたらゲーム中心の生活は続けられないので、練習時間が10分の1くらいになったんです。「自分のやりたいようなプレイができなかった」とすごく落ち込んでました。どうしたらいいのか分からなくなってゲームをするのも楽しくなくなって、辛かったみたいです。

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―― そのスランプからはどうやって抜け出したんですか?

akiki: タイの大会に出たときに、久しぶりにチーム戦をやったんです。その時、チームメイトが昔の大会みたいに「いいよいいよー!!」みたいな声をかけてくれたりして、楽しかったし、優勝することもできた。そこで「思い出した。楽しんでれば勝てるんだ。楽しんだ方が強いんだ」ってなって……その年末に世界大会で優勝したんです。

プロゲーマーライセンス制度について

―― プロゲーマーライセンスについてもお聞きします。akikiさんの立場からみて、プロゲーマーライセンスの制度をどう思いますか。

akiki: どこ行ってもその話になるんですが……良いか悪いかはまだ分からない、ですね。

JeSUは2月1日に設立。sakoさんはカプコンからの推薦を経て2月2日にJeSU公認プロゲーマーとなった

―― この制度について、JeSUさんから説明はあったんですか?

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akiki: カプコンさん側がsakoを認定プロゲーマーに推薦してくれたので、JeSUさんではなくカプコンさんから説明を受けました。JeSUさんの人と直接話したことはないです。

―― これについては論点が多いと思うのですが、まずオリンピック競技化を目指していることについてはどう思いますか?

akiki: オリンピックの競技になることで、競技人口が増えるなら良いことだと思うんです。例えば、カーリングとかオリンピックで初めて知った人は多いはずですし、まずは知ってもらわないとプレイヤーは増えない。昔は格闘ゲームというジャンルが無くなってしまうかもしれないという時代もありましたし、sakoも対戦相手が居なくなったら嫌だから、自分のためにも人口を増やしたいと思ってるんです。だから、プレイヤーを増やすための手段としてならオリンピック競技にしても良いんじゃないかな、ということですね。

―― JeSUさんはオリンピック競技化をかなり推していますよね。でもオリンピック競技化を望んでるプレイヤーってakikiさんの周囲に居ますか?

akiki: それは居ないです。居ないし、オリンピック競技化できるのかも疑問ですね。sakoもオリンピックに興味はなくて「それで新しい格闘ゲームができてプレイヤーが増えるならいいなぁ」という考えみたいです。あの人はあくまでもプレイヤー目線なので。

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オリンピック競技化はJeSUが強く押している部分ですが、プレイヤーが強く希望しているというわけではないようです

―― 国内で賞金を受け取れるという点についてはどうですか?

akiki: もともと海外で賞金を受け取れているので変わらないんです。それに、プロゲーマーって自分の価値を認めてもらうために賞金を稼ぐことはあっても、お金のためにゲームをやってるわけではないんですよ。ウメハラさんも同じようなことを言ってましたけど、国内で賞金が出せるとか出せないとか興味がない。でも、大きな国内大会がなくなりプレイヤーの目標が無くなっていましたし、プロライセンスがきっかけになって大会も増えて、プレイヤーのモチベーションにつながるなら良いですよね。

ウメハラさんが行った座談会「ゲームと金」でも国内大会の賞金について議論されました(画像はYouTubeより)

―― あくまでゲーマーのためになるのなら、ということですね。

akiki: ただ、プロゲーマーがどれだけ「賞金はあってもなくても同じ」と言っても、非ゲーマーに対するアピール力は賞金の有無で大きく変わりますよ。ゲームしない人って「大会優勝」のすごさが分からないので、国内大会で賞金が出せればそれを分かりやすくさせる指標にはなりますよね。

 あと、この制度は実力はあるのにプロゲーマーになれない人にとっては、チャンスになるんじゃないかなと思います。今のプロゲーマーだって、たまたまチャンスをつかんでプロになれたという面もあると思うので。

―― では最後の質問ですが、長らく格闘ゲーム業界を見てきていると思うのですが、最近のeスポーツブームをどう思います?

akiki: なんか変な感じ(笑)。でも、賞金と同じように「eスポーツ」という名前があることでゲームの外にいる人達にも認めてもらいやすくなるでしょうね。「スポーツ」とついた名前をアイコンにした方が競技性があると分かりやすいですし。まぁ、周囲のコアゲーマーは「eスポーツって名前は慣れないし気持ち悪い」と言ってますけどね(笑)。

(聞き手/杉本吏・イッコウ 文/イッコウ

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