コラム

水とお湯で、注いだときの音が違う科学的な理由

不思議と聞き分けられる。

advertisement

 思い出してみてほしい。いつも使っているカップに水を注ぐ音、それから、同じカップにお湯を注ぐときの音を。

 きっと水と比べ、お湯を注ぐ音は少しこもったような低い音がすると思う。あえて擬音語にすれば、水は「シャー」、お湯は「ジョー」という感じだ(個人差あり)。

 これは主観的な違いではない。不思議なことに、温度が変わると本当に音が変化してしまうのだ。

advertisement

原因は「粘度」

 結論からいえば、鍵は「粘度(ねんど)」、要は粘り気だ。水はあたためると粘度が下がり、容器に注がれたときの挙動が変わる。その変化が、音にも現れるのだ。

 イメージしにくいかもしれないが、例えば、ボウルの中で卵をかき混ぜる音と、水をかき回す音はかなり違うだろう。それと似たようなことが、水とお湯でも起きているのだと考えてほしい。

48秒ごろから、注ぐ音の聞き分けクイズ

冷たい水の方が粘っこい

 粘度は流体力学(液体や気体などを扱う力学)で考えられる、流体の「粘りの度合い」を表す数値である。測定するには、流体が細い管を通るときの速度や、流体を満たした容器の中を球が落ちる速度から算出する。

 この「粘り」は、分子と分子の間に働く力(分子間力)から生まれる。

 細い管を流れる流体があったとしよう。流体は細かな分子から構成され、その分子は分子間力で互いに引き合っている。しかし、壁付近にある分子と、流れの中心にある分子とでは力のかかり方が異なるため、流体全体としての“流れ”にブレーキがかかる。このブレーキが、「粘り」のはたらきだ。

advertisement

分子それぞれが分子間力で互いに引き合い、ブレーキがかかる。粘度が高いほどゆっくり流れる
ぺんてるによる、身近な液体の粘度をまとめた画像。例えば、水とガムシロップの流れ方の違いは、視覚的にも分かりやすいはず

 温度が上がると分子の振動が激しくなり、分子同士の間隔が広がって分子間力が弱まるので、一般に液体の粘度は高温になるほど小さくなる。20℃の水の場合、粘度は1.002cP(センチポアズ)(※)で、100度になると0.282cPと約3分の1未満まで下がる。

※ cP(センチポアズ)は粘度の単位の1つ。また、mPa・s(ミリパスカル秒)が用いられることもある

 水の粘度の変化を、身近なところで視覚的に確認することは難しい。しかし、コップに注ぐという日常的な動作の中で、音の違いとして現れる。だから、われわれはたとえ理屈が分からなくても、何となく「水の音」「お湯の音」が区別できるのだろう。

製作協力

QuizKnock

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  2. パパに笑顔を見せる4カ月の赤ちゃん、ママの顔を見ると…… あるあるな反応に「なんで?!」「ママをすごく信頼してる証拠」とさまざまな声集まる
  3. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  4. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  5. 巨大ウサギのデカさを伝えるため、2Lペットボトルを横に置いてみたら…… 衝撃の比較結果に「えっ、500mlじゃないんですか」「マジで大きい」
  6. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  7. 実写「シティーハンター」、最後まで見るとあるはずの仕様がない配慮「わかってる」「粋なはからい」「いい判断」
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  10. 「こんな事あるのか」 マックでハンバーガー購入→“信じられない状態”に仰天 「逆に羨ましい」