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深さ3200メートルの海底で発見 「レキシントン」はこんなすごい船だったキャプテンながはまのマニアックすぎるシリーズ(1/2 ページ)

最初は空母ではなく「巡洋戦艦」でした。

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 先日、「沈んだ軍艦を探させたら世界一」のすごい人、ポール・アレン氏(マイクロソフトの共同創業者)が太平洋戦争で沈んだ米海軍空母「レキシントン(CV-2)」を発見しました(関連記事)

 「1925年に進水し、第二次世界大戦中(1942年5月)に珊瑚海で旧日本海軍と戦って沈没した」とサラリと説明されたレキシントンですが、いやぁこれがどうして、かなりすごい船だったのをご存じでしょうか。今回はレキシントンの歴史、その数奇な運命をじっくり深追いしてみましょう。


サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ下を航行するレキシントン。その船体の美しさから「レディ・レックス」と呼ばれ、全米が愛した空母だった

最初は空母ではなく「巡洋戦艦」だった

 レキシントンは、1921年に「巡洋戦艦」として建造が始まります。巡洋戦艦という艦種は読んで字のごとく「戦艦のように火力が強力で、しかも巡洋艦のように速い」いいとこ取りの軍艦として、第一次世界大戦のころに流行します。

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 ただし「装甲も巡洋艦並み」という場合が多く、第一次世界大戦で最も有名な「ジュトランド沖海戦(最近はユトランドと呼ぶようですが、おじさんたちにとってはジュトランドの方が硝煙立ち込める海戦らしくて好き)」では、装甲が薄い英海軍の巡洋戦艦がたくさん轟沈したために、「んー、巡洋戦艦って使えないかも~」みたいなムードにもなりつつありました。

 とはいえ、このブームに乗っかった米海軍と日本海軍は巡洋戦艦を含む大規模な建艦計画(米海軍は「ダニエルズ・プラン」、日本海軍は「八八艦隊」)を発動します。この計画で建造したのが“巡洋戦艦”レキシントン級の「レキシントン」と「サラトガ」でした。同じく日本では巡洋戦艦として天城型の「天城」と「赤城」を1920年に起工します。この4隻、いや天城は関東大震災で“亡くなって”しまいますので、正確にはこの3隻は、それぞれ似た数奇な運命をたどります。


最初は巡洋戦艦として設計されたレキシントン

その後、空母として設計し直されたレキシントン

国際通信社のボートウォーゲーム「アイアンボトムサウンド III」では、巡洋戦艦として完成した「レキシントン」と「赤城」がソロモン海で戦う「歴史のIF」を体験できる

 1922年に「戦艦と巡洋戦艦と空母の数を減らしましょう!」と米英日伊仏で約束した「ワシントン軍縮条約」によって、これらは巡洋戦艦から(新しい種類で、大きな艦がまだなかった)「空母」に生まれ変わります。

 日本の赤城(と、天城の代わりに空母に生まれ変わることになった「加賀」)は技巧と工夫を凝らした職人技的な「発着艦が同時にできる三段飛行甲板」という複雑な艦型を編み出したのに対し、レキシントン級は「デカい船体に、デカい飛行甲板を1枚ドーン」というシンプルな艦型を採用しました。

 完成後、赤城の三段飛行甲板は中段と下段がほぼ使い物にならず、後の近代化改装で結局「デカい飛行甲板を1枚ドーン」型に変更しますが、レキシントン級は使用実績が良好で、最後まで基本的な姿はそのままでした。この当たり、何か日本と米国の製造業とも似ているな、などと思いましたが本稿には関係ありません。

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 レキシントン級の先見性は「艦首の形」にも出ていました。当時の空母は、艦首と飛行甲板は分かれているのが普通。ところがレキシントン級の艦首は、艦首と飛行甲板をくっつけて一体化した「エンクローズド・バウ」を採用しています。実質的に艦首を大きくすることで、波の高い荒天の海でも耐えられるようにしたこの方式は、現代の多くの空母が採用するものです。海上自衛隊の護衛艦「いずも」もそうです。ただこの形は、甲板と船体を一体化することで艦内の密閉度が高くなる問題もありました。


建造中のレキシントン。エンクローズド・バウの特徴がよく分かる

 ともあれ、1927年12月14日に就役したレキシントンは、当時の米海軍で最も大きく、かつ、優雅な船体に巨大な煙突という他にはない組み合わせによって、「レディ・レックス」という愛称で、サラトガ(こちらの愛称は「サラ」)とともに人気のある軍艦となりました。

写真:Naval History and Heritage Command

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