北海道が流行域のエキノコックス症 愛知・知多半島の野犬から3例見つかる
適切に予防すれば人への感染の危険性はなし。
愛知県は3月28日、知多半島地域で捕獲した野犬から3例、寄生虫による感染症・エキノコックス症の陽性反応があったことを発表しました。引き続き感染状況の調査をするとともに、適切に予防すれば人への感染の危険性はないことを呼び掛けています。
エキノコックスとはもともと北海道のキタキツネにいる寄生虫の名前。流行地域は北海道で、主にキツネや犬を終宿主、野ネズミを中間宿主に生活環が広がっており、犬のみを対象とした感染症法に基づく獣医師の届け出対象となっています。
一方、エキノコックスに感染したキツネや犬の糞便で汚染された食物・水を偶然飲み込むことで、人にも感染することがあります。患者報告は毎年北海道で10~20人程度。症状が現れるのは一般的に感染してから10年前後で、人の体内には主に肝臓や肺に寄生し肝不全などの障害を引き起こすことがありますが、人から人への感染はありません。
愛知県では2014年4月、阿久比町内で捕獲された野犬1頭においてエキノコックス症を診断した旨の届け出を県内の獣医師から受けたことを発表しました。その後、知多半島地域で捕獲された野犬の糞便を使って感染はないか検査を続けていましたが、陽性例はなし。しかしこのたび愛知県衛生研究所が、国立感染症研究所との共同研究事業においてより精度の高い遺伝子検査を過去の検体に実施したところ、2018年3月27日付で捕獲犬3頭についてエキノコックス陽性が判明しました。
県は予防法として、野山に出かけ、帰ったときはよく手を洗うこと、犬などとの接触や虫卵に汚染した可能性のある水、山菜などの摂取を避けるよう呼び掛けています。今後は捕獲された野犬の糞便を用いて感染状況を調査するとともに、感染リスクのおそれがある犬の飼い主に対して、市町村及び関係機関と連携し、医療機関や動物病院への受診の勧奨、周知に努めるとしています。
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