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日本郵政グループに「違うそうじゃない」と総ツッコミ 正社員の住宅手当カットで非正規との待遇格差是正?

ネット上では他企業も同様の施策を取るのではと不安の声が。

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 日本郵政グループが2018年10月から、これまで正社員の内約5000人に支給していた住居手当を廃止することが分かりました。該当社員は最大で年間32万4000円の大幅減収となるため反発の声も聞かれますが、同グループはねとらぼ編集部の取材について「正社員の待遇を引き下げて、正社員と非正規社員の待遇格差を是正するとの考えは全くない」との考えを明かしました。

日本郵政グループ(グループ公式サイトより)

 一部手当の廃止が決定したきっかけは日本郵政グループの労働組合が春闘で求めた正社員と非正規社員との待遇格差是正要求。同グループの社員は約半数が非正規社員で、これまで正社員だけに認められてきた「住居手当」「年末年始勤務手当」「寒冷地手当」「隔遠地手当」「扶養手当」の5つを非正規社員にも支給するように求めました。

 これに対して同グループは組合側に「年始勤務手当」については非正規社員への支給を認めたものの、その他については次のような提案をし、決定されました。

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  • 住居手当……転居を伴い転勤がない正社員への支給を廃止。非正規社員には従来通り支給せず。
  • 年末年始勤務手当……年末手当を廃止。年始手当は正社員・非正規社員ともに支給。
  • 寒冷地手当……支給額を削減。非正規社員には従来通り支給せず。
  • 隔遠地手当……支給額を削減。非正規社員には従来通り支給せず。
  • 扶養手当……今後も継続して協議する。

 例えば「住居手当」については現状、転居を伴う転勤のない正社員(2万人)のうち約5000人に対して、借家の場合最大で2万7000円、持ち家の場合は購入から5年間に限り、購入額に応じて6200~7200円が支給されていましたが、これがカットされることとなります。

 今回の決定についてネット上では「『同一労働同一賃金』を曲解した暴挙」「非正規の待遇が低いのが問題なのであって、正社員の待遇が高すぎるわけではない」「『違うそうじゃない』を最悪の形で実現した最悪の例の一つになりそう」など批判の声が相次いでいます。

 こうした状況について日本郵政グループは、次のような見解を示しました。

  • 正社員の待遇を引き下げて、正社員と非正規社員の待遇格差を是正するとの考えは全くない。
  • 今回の春闘でJP労組から要求のあった手当・休暇(住居手当、年末年始勤務手当、寒冷地手当、隔遠地手当、扶養手当、夏期・冬期休暇、病気休暇)が非正規社員に適用されていないことについては、正社員と非正規社員との間の職務内容と働き方の違いや、それぞれの手当・休暇の趣旨を踏まえ、非正規社員には適用していないものであり、正社員と非正規社員との間の不合理な労働条件の差異を禁じた労働契約法との関係では問題ないものと考えている。
  • 一方で、既存の制度については、社会環境の変化を踏まえて絶えず見直しを行っていく必要があり、今回の春闘で労使で真摯に交渉した結果、一部の手当・休暇の見直しを行うことで合意に達したものである。
  • こうした既存制度の見直しにより一部の正社員には不利益変更となることから、手厚い経過措置を設けるとともに、正社員については賞与の支給月数の引上げや一般職(※)等の初任給の引上げを、非正規社員については賞与の引上げ、年始手当の新設、夏期冬期休暇(各1日)の新設等により、正社員も非正規社員も共に処遇改善を図り、全社員がより高い士気をもって励むことができるようにした。

(※)一般職……主として標準的な業務に従事して、担当業務を効率的に遂行し、安定的かつ継続的な組織運営に貢献することが期待される社員区分(郵便局の窓口・配達・区分業務など)。原則として勤務地は転居を伴う転勤がない範囲。担当者として、役職者にはならない。


 安倍政権が進めてきた「働き方改革」関連法案の大きな柱である「同一労働同一賃金」について政府は、非正規社員の待遇が正社員の待遇に引き上げられることを想定していますが、今回の日本郵政グループの決定では正社員の待遇が引き下げられるというまさかの展開に。今後も他企業が同様の施策を取る可能性があるのではと不安の声や厳しい意見があがっています。

(Kikka)

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