メディアドゥが「海賊版サイトの影響」で業績下方修正 海賊版サイトの影響示すデータも公開
海賊版サイトの利用者数が増加したとされる「2017年秋」を境に、複数のデータが減少傾向に転じていることを示しています。
電子書籍流通事業などを手掛けるメディアドゥホールディングスは4月13日、海賊版サイトによるマンガ業界への被害状況をまとめた4つの資料(いずれもメディアドゥをサイトで公開しました。また合わせて、海賊版サイトの影響により、2018年2月期(2017年3月1日~2018年2月28日)の業績が予想を下回ったことも発表しています。
最初の資料は、ある若年層向け電子書店の売上を示したもの。それまでは前年同月比で140~150%の成長を維持していましたが、海賊版サイトの利用者数が増加したとされる2017年9月以降はグラフが落ち込み、11月以降は前年同月比で110%程度の増加にとどまっています。
資料2は、ある電子書店における「ある大手漫画出版社A」の売上額推移をグラフにしたもの。2016年以降、多少の波はあるものの拡大傾向にあったA社でしたが、やはり2017年9月を境に減少傾向に。最新の2018年2月の数字を見ると、2年前の水準にまで低下しています。また資料3では別の出版社Bの電子漫画売上(前年同月比)を月別にグラフ化していますが、ここでもやはり2017年7月ごろから売上が低下。2017年10月以降は前年を下回るなど、より減少傾向が顕著となっています。
最後の資料4では、ある人気タイトルの最新刊とその前巻の売上を年齢別に比較。全体では約20%強の減少となっているほか、年齢別で見ると15~19歳と、50歳以上で特に落ち込み幅が大きい(30%以上)という結果に。中でも読者絶対数の多い「15~24歳」における最新刊売上への影響が顕著であるとし、「若年層に向けた著作権教育の重要性が高い」と指摘しています。
もちろん、売上の増減には海賊サイト以外にもさまざまな要因が絡んでくるため、これらが全て「海賊サイトの影響」と断定するのは早計です(例えば単行本は通常、巻数を重ねるほど売上は下がる傾向があり、どこまでが海賊サイトの影響による減少なのか、これだけで測定することは不可能)。ただ、とはいえ電子書籍の売上は近年安定した成長傾向にあり、それが(少なくとも提示されたデータを見る限りでは)2017年秋を境に一斉に減少傾向に転じているというのは興味深い事実です。
併せて、同日公開された業績報告でも、やはり「電子書籍事業のマンガ配信において海賊版サイトの多大な影響を受け、伸び率が鈍化する結果となりました」と説明。同社は現状について「海賊版サイトは運営管理者の特定が困難であり、侵害コンテンツの削除要請ができないことから、閉鎖や無効化に向けた有効な手立てが不足している状況」と説明しつつ、根絶に向けて関係者との協議を重ね、対策を検討しているとコメントしています。
関連記事
「二度と掛けてくるな」 “漫画村”広告主への取材一部始終、広告は取材後に消滅
広告元は取材に対して「二度と掛けてくるな」。「身を引き裂かれるような思い」 ちばてつや氏、海賊版サイトブロッキングに断腸の声明
ブロッキングは「諸刃の剣になりかねない」とも危惧しつつ、同時にそんな手段すら検討せざるを得ない「海賊版サイト」の存在にあらためて「強い憤りを感じる」とも。海賊サイト対策会議、一部議事録に「なぜ非公開?」の声 事務局側の説明は
非公開を決定した内閣府の知的財産戦略推進事務局に取材しました。講談社、政府の海賊サイト対策決定を受け緊急声明 「この状態が続けば立ち行かなくなる」
コンテンツビジネス発展のために、ISPや流通事業者などの協力は不可欠と主張しています。海賊サイトブロッキング、対象は「漫画村」「Anitube」「Miomio」の3サイト 法整備に伴い“静止画ダウンロード違法化”も視野に
「Anitube」はTwitterのトレンドワードにも入るなど話題に。政府、海賊サイト問題で緊急対策を正式決定 「漫画村」「Anitube」「Miomio」へのブロッキング進める方針
一部では憲法違反との指摘もあり、果たして適切な対応だったのか今後問われていく形となりそうです。【対象サイト追記】海賊版サイトのブロッキング要請は「断じて許されない」 日本インターネットプロバイダー協会が見解
「現行法上許容されるとは考えられません」と主張しています。「漫画村」著作権侵害でGoogle検索から消える 一部では“閉鎖説”も
現在アクセスできない状態が続いていますが、関連は不明です。漫画海賊サイト大手「YouBook」が閉鎖 「月額2000円で読み放題」うたう
昨年問題視された「フリーブックス」の移転先ではないかと推測する声もありました。コナンの犯人が“映画泥棒”に!? 日中韓三カ国による「知的財産を守ろう」協同キャンペーンがスタート
啓発動画は、3月24日からYouTubeをはじめとした動画サイトにて配信予定。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.