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東京駅の自販機で「売り切れ」続々発生も「頑張れ!」「もっとやれ」の声 背景にサントリーグループの残業代未払い問題

ブラック企業ユニオンや、順法闘争に参加しているジャパンビバレッジの社員にも話を聞きました。

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 東京駅構内の自動販売機で現在「売り切れ」が続々と発生中――というツイートが話題になっています。ツイートを投稿したのは「ブラック企業ユニオン」に所属する坂倉昇平(@magazine_posse)さん。「売り切れ続出」の背景には、サントリーのグループ企業「ジャパンビバレッジ東京」の残業代未払い問題がありました。

 同社ではこれまで、外回りの営業社員に対し「事業場外みなし労働時間制」を適用しており、営業の社員が外回りで何時間働いても実際の給料は「7.5時間分」しか支払われない仕組みになっていました。しかし商品の補充や棚卸し、賞味期限の管理といった業務は非常に時間がかかり、7.5時間で終わることはほぼなく、実際には10~12時間の労働が当たり前になっていたといいます。また本来それぞれの業務には厳密なマニュアルがありますが、過密労働のため現場では無視されることも多かったそうです。

 こうした実情を踏まえ、「休憩1時間取得」「残業拒否」「マニュアルの厳守」を徹底しようというのが今回の取り組み(ジャパンビバレッジ東京に勤務するブラック企業ユニオン組合員14人が参加)。いずれもごく当たり前のことに見えますが、皮肉にもこの「当たり前」を徹底したことによって、自販機への供給が追い付かなくなり、売り切れが相次いでいる――というのが現在の状況のようです。

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半分以上が「売切」「準備中」状態に
通常は残業をしなければ補充が追い付かない状態だとブラック企業ユニオン側は説明します

 ブラック企業ユニオン側に取材したところ、実は12月の時点で労働基準監督署からジャパンビバレッジに対し是正勧告が出ていたものの、ジャパンビバレッジ側はその後、「未払いの残業代を支払う」のではなく、それとは別の「少額の金銭を支払う」という形で事態を収めようとしていたとのこと。また今回の動きを主導した一部の社員を懲戒処分にしようとする動きもあり、こうした背景を踏まえて今回の“順法闘争”に踏み切ったとしています。

東京駅前で長時間労働是正と残業代不払いを訴えるブラック企業ユニオン

 また併せて、今回の動きを主導したという社員A氏(仮名)からも話をうかがうことができました。

―― 今回は東京駅の取り組みが話題になっていますが、Aさんも東京駅で働いていたのでしょうか。

A氏:いえ、私が働いていたのは足立区の足立支店でした。ただ、環境で言えば東京駅よりももっとひどかったと思います。

―― 具体的には?

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A氏:ジャパンビバレッジでは昨年12月まで「事業場外みなし労働時間制」という制度が適用されていたのですが、これは要するに、外回りでどれだけ働いても実働時間は7時間45分と計算されてしまうというものです。この制度を悪用して、従業員に長時間労働を強いていました。

―― 実際の勤務時間はどれくらいだったのでしょう。

A氏:毎日10時間~12時間の労働は当たり前になっていました。朝7時45分から仕事を始めて、休憩一切なしで、終わるのは夜の11時という時もありました。

―― それでも給料は7時間45分で計算されてしまうわけですね。具体的に、どんな業務を行っていたのでしょうか。

A氏:分かりやすいのは各地の自販機の補充です。簡単そうに聞こえるかもしれませんが、単に補充するだけでなく、どの自販機に何本のジュースが入っているかの棚卸しや、賞味期限の管理なども並行して行う必要があり、実際にはものすごく時間がかかります。他にも、ホットとコールドの切り替えなども時間のかかる作業の1つです。

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実はかなり時間がかかるという「ホットとコールドの切り替え」

―― 今回の活動を通じて、どのようなことを訴えたいと思っていますか。

A氏:「事業場外みなし労働時間制」というのは労働基準法が定める制度の1つですが、あくまで労働時間の算定が困難なときにのみ適用されるものです。しかし何をもって「算定困難」で、どういう状況であれば「算定可能」とするかはあいまいで、私たちの業務の場合、具体的な算定は十分に可能だと思っています。そもそも「事業場外みなし労働時間制」という制度自体にも問題が多く、当事者が実際に声をあげて違反申告していかなければ違法のまま放置されてしまうのでは、といった懸念もあり、今回の活動に踏み切りました。


 ブラック企業ユニオンによれば、今回の活動期限は“無期限”とのこと。Twitterではこのツイートに対し、「応援します!」「いいぞもっとやれ」など、活動を支持する声も多くあがっています。



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