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マグネットボールの誤飲で幼児の内臓に穴があく事故 国民生活センターが販売者や行政に管理と指導を呼びかけ

磁力が強力なため、複数を誤飲した場合は体内で引き合って内臓を貫通するケースが。

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 玩具として販売されている「マグネットボール」について、国民生活センターが誤飲した際の危険性を呼びかけています。複数を誤飲した幼児の内臓に穴があく事故が2件報告されたとのこと。なお、マグネットボールは開腹手術などにより摘出されています。

マグネットボールの例。小さな磁石を組み合わせて立体を作るパズルとして販売されている

 当該製品は球形または立方体の小型磁石が200個ほど同梱されたもので、主に通販サイトで立体パズルとして販売されています。一般的なフェライト磁石の10倍以上の磁力を持つとされる、ネオジム磁石が使用されており、複数で手指を挟むと引き合って留まるほどに強力です。

手指を挟んだ留まるほどに、磁力は強力

 同センターに寄せられた1つの事例では、3歳児が5個を誤飲し、保護者が気付いて受診。2個が胃に、3個が腸に留まり、互いに引き合って壁を穿通(せんつう)していたといいます。1歳9カ月の幼児が誤飲したケースでは、小腸内3カ所に分散した全37個の磁石が引き合い、圧迫壊死(えし)を起こしていたとのこと。

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3歳児の事例。複数を飲み込んだ場合、胃と腸を挟んで磁石が引き合い、内臓を傷つける危険性がある

 報告を受けて、同センターは3月に事故品と類似製品を調査。ネット通販サイト32件の販売表示を確認したところ、大半は知育玩具を印象づける表示があり、30のサイトで子どもの誤飲などに関する注意表示がなかったとのことです。

 調査したサイトで販売されていた製品のうち、事故品と大きさや形状が類似していた7銘柄については詳細に検証。個々の大きさは直径3ミリか5ミリの球体、もしくは1辺5ミリの立方体で、複数個同時に誤飲する可能性が確認されました。

テスト対象の7製品と、比較用のフェライト磁石

 2個を近づける実験では、最短で約13ミリ、最長では約22ミリの距離でも引き合ってくっつくほど強い磁力が確認されました。複数個が連なった場合は、より強力となる結果も出ています。磁束指数の測定では、全テスト対象がST基準(※)の上限値をオーバー。全てのパッケージにSTマークはなく、製造者名や警告表示も記載されていなかったといいます。

※日本玩具協会が定めた玩具の安全基準

 同センターは検証結果を踏まえ、マグネットボールを誤飲した場合は体内に留まる危険性が高いとして、消費者に注意を喚起。販売者へは製品が子ども向けの玩具として販売されないよう管理を要請し、行政にはリスクの周知や指導を要望しています。

 事態を受けて、ヤフーはYahoo!ショッピングやヤフオク!におけるマグネットボールの取り扱いに関し、「誤飲の危険があるため、お子様には与えないでください」「小さなお子様の手に届かない場所に保管してください」といった注意文による対応を表明。また、Amazon.co.jpや楽天市場の商品ページでも、同様の注意文が確認されています。

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画像は国民生活センターの資料より

(沓澤真二)

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