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彼氏はコミケの女性向けブースで売り子できるか問題 「ヲタクに恋は難しい」3話(1/2 ページ)

【ネタバレあり】リミッター外れるからね、コミケは。

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(C)ふじた/一迅社

 趣味人には「好き」がたくさんある。それが足を引っ張ることもあれば、人とつながるきっかけにもなる。

 アニメ放送中のマンガ「ヲタクに恋は難しい」は、好きなものがある人間たちの、恋なのかなんなのかわからないモヤっとした感情を描いたラブコメディー。ヲタクのみならず、いろんな若い人の背中を押してくれます。

「進捗いかがですか」

 コミケパートは、ヲタクライフあるあるのオンパレード。特に女性ヲタクで本を出している側を、マンガではメインに描いています。

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 BL同人作家の桃瀬成海。普段は擬態してヲタクを隠していますが、幼馴染の二藤宏嵩にはバレバレ。気を使わなくていい相手同士、ということで付き合うことになった二人だからこそ、コミケ前になったら相手の動向はよくわかるもんです。

こういうのは経験者じゃないとわからないですね(1巻)

 「進捗」という単語は、コミケ前の同人作家にとっては恐怖の言葉。本どのくらいまで描き進んでいますか? 間に合うんですか? 間に合わないのなら落とし(本が出せないこと)ますか、それとも完成させるためにスケジュールを組み直しますか?

 大抵の場合は「なんとか完成させる」をチョイスするのですが、そうなると「誰かに手伝ってもらわないといけない」「徹夜確定」と、ハードコアな生活が始まります。もっと早くからなんとかしておけば、というのはそうなんだけども。

ヲタクはコミケでエナジーを吸収する

 そんなにきついなら出さなきゃいいじゃん、と言われたら、そうなんだ実際。でもね、成海が体中からエネルギーを吸収している様子を見て欲しい。

コミケには心からの笑顔を感動があります(1巻)

 コミケは過酷な場所です、ましてや作家側は今までの疲労も緊張もあって、体力ゲージは真っ赤です。けれども、精神ゲージはもりもりたまって元気いっぱいになります。

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 自分が作ったものを人に読んでもらえる。好きなものを共有できる相手が、価値を感じてくれる。こんな幸せなことはない。

 ネットでいつも見ている作家さんに出会える。直接「大好きです」と言える。生きていく力、みなぎります。

 彼女がイキイキしているのに対して、宏嵩が嫉妬するのは、まだ付き合い始めたばかりだからこそのシーン。もっとも、即売会での時間がすぎるにつれて、彼も成海の幸せをフォローする側に回り始めます。

神か(1巻)

 成海が同人誌を買いに行けなかったと嘆いていたとき、売り子を変わって彼女を買いに行かせる宏嵩。男前すぎる……ここ女性向けBLブースなのに、やりおる……。このページを見るとアホっぽいけど、宏嵩のセリフはキラッキラに輝いてありがたみ感じるのは、コミケ参加経験ある人ならわかるはず。

 コミケでの二人の、どのくらいまで踏み込んでいいか、どこからは手を差し伸べられるか、自分の好きなものをどこまでさらけ出せるかの距離感は、宏嵩の家のゲーム会での会話につながっていきます。

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あいつは男だし私は女だ

 頻繁に一緒に飲みに行っている二人。彼氏彼女というよりは、今まで通り「何でも話せる友人」のままのようです。

 ところがある日、飲みに行く場所として宏嵩が「じゃあ俺んちね」と言ったからさあ大変。成海がとっさに考えたのは今日の下着でした。

 社会人同士の恋愛だけれども、全く性的な方向に思いが行っていなかった二人。お互いが「ヲタクとしての共有」ができることを最優先にして「付き合う」という線引をしたのだとしたら、性的な仲が「いや」なんじゃなくて「今がちょうどいいから、それは後回し」くらいだったのかも。

とっさの瞬間に下着の色を思い出す女、成海(1巻)

 でも一度意識してしまうと、もう止まらない。ここからは成海視点でのドギマギタイムが始まります。

 男女恋人同士が二人で家にいるってことは何が起きてもおかしくない。ってか幼馴染だからって「そんな気も度胸もない」なんて甘すぎるにも程がある気もしますが。

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 取りあえずここは成海の勘違いで、未遂でした。それどころか、宏嵩は同僚の樺倉太郎小柳花子(どちらもヲタク友達)を家に呼ぶ有様。ああっ、夜戦回避

 かくして宏嵩ハウスはゲーム大会と化しました。手を出されても出されなくても落ち着かない。成海は行き場のないイライラに襲われます。

 ところが友達が全然いなかった宏嵩が「こんなに賑やかにゲームするの初めてだから 今 すごい楽しい」と告白したときは、さすがに成海も涙。宏嵩は、何から何まで不器用なんです。そこがかわいくない?

「好き」のはじまり

 成海はマイペースなところや不器用な部分を含めて、なんでも話せて聞いてくれて、引かない宏嵩に好意を抱いています。彼女は「いつのまにか仲よくなってた」と言っていました。

 しかし、今回のゲームお泊まり会で、いつのまにかじゃなかったことが明らかに。

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片方がだけが覚えていたっていう、やっちまったパターン(1巻)

 幼少期、宏嵩は成海に話しかけられて、バトルえんぴつ的なやつを交換していました。そのときから、彼は成海に好意を持ち始めていた。宏嵩はしっかり覚えていて、当時のグッズを大事に保管していました。成海は、全然覚えてないし、グッズもどこにやったか覚えていない。

 宏嵩「成海は俺と違って 友達も趣味も昔から多かったし 大事なものがほかにもたくさんあったんだから 覚えてなくても仕方ないよ」

 成海の「好き」は、人間に対しても、趣味に対しても、同じに見える。だからちょっとモヤッとするけど、「仕方ない」ですませている。支えてあげたいなとも感じている。これが、コミケ回での彼の嫉妬と、手伝いにつながるんでしょう。

 それを知った成海。「宏嵩にだけは飾ったり我慢したりしたくないし してほしくもないの!」「なのに仕方ないって諦められると 寂しいっていうか 悔しいじゃん」

きたこれ(1巻)

 フェアとかフェアじゃないとか、悔しいとかどうとかはわからないけれども。「ヲタク趣味」の好き嫌いを隠さずオープンにするのと同じで、人間関係の好き嫌いもオープンでありたい。仕方ないって言い合いたくない。

 ここでのはじめてのキスは、性格的にも趣味的にも自分を明かし、本当の意味で二人が恋愛に踏み出す一歩になる、はず。……さてニヤニヤする準備はできたぞー。

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