ニュース

魔王様に「世界の半分」をもらったとしたらどうなるか?

最も良い世界の半分はどこ?

advertisement

 ゲームや漫画でありがちなシチュエーションの1つに、魔王的なキャラが「ワシに従うなら世界の半分をくれてやろう……」と持ちかけてくる、みたいなのがありますね。某RPGでは「はい」を選択するととても残念な結果になってしまうわけですが……。

 でも、現実に世界の半分をもらえるとなっても、本当にそれほど良い話なのでしょうか?

「世界の半分」を支配するとは

 魔王の話しぶりからして、おそらく「世界の半分をお前に支配させてやろう」ということなのでしょう。

advertisement

 では、魔王は世界をどう支配しているのか。何かしら強大な力をもって、反乱があったりしても、魔力をチラつかせて脅せば大抵の人は従うという寸法だと仮定するしかありません。


魔王は強大な力によって世界を支配していると考えられます。

 もちろん、一般の人間にはそんな離れ業は不可能。魔力なんてありません。

 かといって、何もしないでいては「どうしてお前が支配者なんだ」と市民が憤り、革命が起きかねません。せっかくもらった世界の半分は無に帰します。

 どうすればいいのかと現実の世界を見てみると、ある国や地域を統治する政府は、税金を徴収し、それを元手にさまざまなサービスを運営しています。ある地域を支配するには、いわゆる「予算」を組んで政治を行い、国内の諸事をうまく回していかなければなりません。

 つまるところ、お金がかかるのです……。

advertisement

 現実の世界のほとんどの政府は税金を集めていますが、魔王に支配されていた人々に「税金を払う」という考え方があるかどうかは不明です。「世界の半分」を支配するには、徴収できるとアテにせず、自腹を切らなければいけないかも。

「世界の半分」とはどこか?

 お金がかかるとしても、やっぱり広い地域を支配するというのは、誰しも抱くロマンです。

 どうしてもお金が必要というのなら、「世界の半分」をどういう形でもらい受ければ一番安上がりで済むのでしょうか。

世界の国の予算は?

 IMFのデータに数字がある188カ国の2016年度の歳出を合計すると、およそ26兆6千億ドル。

 単純計算でこれの半分とすると、世界の半分をやりくりするには13兆ドル(およそ1500兆円)が必要です。

advertisement

 やばい。

水半球をもらうと……

 アメリカ、中国、日本といったような経済大国は国家予算も大きくなっています。一方で、国土の小さい都市国家や太平洋の島国などの国家予算は小さいです。こうした地域による違いをうまく活用して、なんとか都合の良い「世界の半分」のくくりを作り出したいところ。

 例えば、なるべく海の面積の割合が大きくなるような半分をもらい受けるとどうなるでしょうか。

 この、海の面積の割合が最も大きくなる半球を「水半球」と呼んでいます。

 この半球に入ってくるのは、オーストラリアやニュージーランド、東南アジアの一部と、太平洋に浮かぶ小さな島国くらいです。この範囲の予算規模はどうなるでしょうか。

advertisement

 南極大陸はどこの国も領有していないことになっているのでひとまず放置、一部のみが含まれる国についても保留として、全域が含まれる国のみの歳出を合計すると、およそ1兆ドル

 10分の1以下にはなりましたが、まだ話にならない水準です。それにしても、本来これだけお金がかかる範囲を黙らせている魔王の魔力は相当なものですね。

「●●●●は世界の半分」

 世界史を勉強したことがある方はひょっとしたら思い浮かべたかもしれません。かつて、その繁栄ぶりから「世界の半分」といわれた都市のことを……!

 現在はイランの都市であるイスファハーンは、17世紀ごろにサファヴィー朝の首都としてイスラム世界の中心となり、「イスファハーンは世界の半分」とまでいわれる繁栄ぶりを見せました。

 そこで、です。「イスファハーンだけでも世界の半分になる!」という詭弁を使えば、必要なお金は少なくなるのではないでしょうか!

advertisement

 2000年時点でのイスファハーン市の歳出は、イランの国家歳出のおよそ6.5%とのこと。これは国家予算の話をしているのか、自治体全部の合計の話をしているのか不明ですが、ひとまず前者ととっておくとしましょう。

 イランの歳出がおよそ790億ドルなので、その6.5%をとると、イスファハーンの歳出はおよそ51億ドル(およそ5500億円)。

 岡山市の平成30年度予算総額が大体このくらいでした。


世界の半分・イスファハーンと肩を並べる岡山

 水半球と比べると格段に少額ではありますが、それでも個人で出せる額ではありません。

おわりに

 結論としては、世界の半分を頂いたところで、安定的に支配するのは無理でした!

 例えば世界の半分の「土地」がもらえるとしたら、活用してガッポリもうけることもできそう。しかし、魔王の話しぶりからすると世界の半分の「支配権」でしょうから、結局、提案はお断りするしたほうが良さそうです。

 こんなとき、5000兆円を持っていたりしたら話は別なのですが……。やっぱり5000兆円ほしい。

制作協力

QuizKnock

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】