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酔っぱらいでマイペースでだらしないお姉さんは好きですか? 「落ちてるふたり」女子大生明石さんの魔性あのキャラに花束を

こういう年上女子に、少年は弱いんだよなあ…。

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 雑で、だらしなくて、自由すぎる20代女性キャラって、ほんとずるい。心底めんどくさい相手なのに、一回の笑顔でかわいく見えてしまう。実際昨今の漫画・アニメでは「酔っぱらい女子キャラ」がプチブーム中。男心がくすぐられるツボが、間違いなくあります。

表紙にだまされろ! (C)Rika Nishihara 2018/講談社

 1巻が発売された西原梨花「落ちてるふたり」は、高校生の少年と、隣の部屋に住む女子大生の話。甘酸っぱい恋というより、どっちかというと酒臭い。距離を置くべきかもしれないけど、心がふわふわしてしまう男の子心、わかって。

お隣さんは女子大生

 高校生の少年・鹿島くん。彼の隣の部屋には、大学3年生の女性・明石さんが住んでいる。ベランダ越しに会話するくらいには仲がいい。

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 極端にズボラな彼女。お酒の空き缶が山のようにあり、生活空間は強度の汚部屋。鹿島いわく「大学生の成れの果てなのかもしれない」。キラキラ感は皆無です。でも、早朝にラフな格好でベランダにいる女性に気さくに話しかけられたら、思春期の少年ならコロッといっちゃうでしょ。ずるいわ。

ベランダ越しにお姉さんと会話したい人生だった(1巻P6)

 鹿島は非常に真面目でマメな子です。きちんと学校に通い、忙しく働く母のために、家事をこなしている。そんな彼の生活を乱すのが、明石。起きられないからか目覚まし時計を何個もかけていて、やたらうるさい。黒いのが部屋に出たからと騒ぎ立て、退治させられる

 そして泥酔して絡まれる。これが一番厄介。

ああもうこれだから酔っぱらいは(1巻P14)

 鍵を無くした明石は、カバンの中をひっくり返しながら大騒ぎ。しかも思い出したら思い出したで「ああ~!」と深夜に叫びだす。あと酒と生ゴミ臭い。もう面倒くさいったらない。

 でもほんと困ったことに、こういう少し年上の女性のダメなところって、少年をにしてしまうもの。自分の色気を知っているタイプのお姉さんが持つ魔性と、別種の魔性の持ち主です。この作品の中で、明石は自由奔放な飲んだくれのまま、一切成長していません。悩んだり苦しんだりという一面もほとんど見せない。一応「留年した」という悩みはあるものの、逆に言えばその程度。本人もその後ケロッとしたもんです。

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これで恋に落ちるなって方が無理(1巻P26)

 酔っぱらい女子が人気な理由の1つは、自分には全てをさらけ出してくれているという安心感でしょう。酔った時に話す言葉には、ウソがない。その姿を気軽に見せるってことは、信頼してくれているということ。明石の酔った姿を見る度に、鹿島はついつい世話をしてしまいます。

 気付かないうちに、あなたのこと信頼してるよとばらまく女子大生。しかも彼女、ちゃんと覚えている上で、彼を頼っている。

一緒に献血にいきたい系女子(1巻P32)

 今の所、明石の心理は具体的には描かれていません。何考えてるのかよくわかりません。でももしかしたら、鹿島のことを本当に普段から頼っている、のかもしれない。好意は持ってそう。そう考えたら「面倒くさい」よりも「好きだ」が先にくるのも、無理はないよー、ずるいよー。

 男女ともに愛される天真らんまんさを持っていると同時に、男女ともにめんどくさくてドン引きするレベルのだらしなさを兼ね備えている彼女。こういう子ほど、ガチ恋してしまうと抜けられない。

年上の彼女はぼくの前でいつも笑顔だから

 酒癖が悪いの(っていうかわいさ)をさっぴいたとしても、おそらく鹿島は明石のことを好きになっていたであろう描写満載。

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あーこの女子大生はーっ!(1巻P68)

 汚部屋描写と泥酔描写が本当にひどいのでドン引きする読者も多いはず。冗談抜きで、好きな人なのに部屋に入りたくないほど、汚い。けれどもそれを補って余りあるほど、明石の距離感の詰め方が強烈。この作品は鹿島の一人称視点で進んでいるため、鹿島のテリトリーに急に入り込んできてくつろぐ明石の迫力がすごい。犬っぽくもあり、猛獣っぽくすらある。

 この作品、ストーリーらしいストーリーはほとんどありません。鹿島少年が過ごす日々の中で、急に明石が自由気ままに行動するのを見てしまい、ほんとこの人はとあきれながらも惹かれてしまう、というシチュエーションの繰り返し。かといってずっと明石のことばかり考えているわけでもなく、他の人とのコミュニケーションも描かれます。あくまでも鹿島少年の生活を描くことに終始しているからこそ、女子大生・明石という異物に翻弄されてしまう。

男子高校生には刺激が強すぎる。でもこれLOVEじゃないんだよなあ…(1巻P169)

 明石のコミュニケーションやスキンシップは、姉と弟のそれに近いんでしょう。とはいえ鹿島には刺激があまりにも強すぎる。惑わされる。

 途中、クラスメイトで映画の趣味がばっちりあう少女・洲本と意気投合するシーンもあります。映画オタクの洲本と二人きりで早口で語り合う様子を見ていると、むしろ普通はこっちにほれるんじゃないの? って気がしてならない。でもそこに恋が1ミリたりとも生まれないのが、明石の魔性引力の壮絶な強さ。鹿島君、今後どう転ぼうとも、ダメお姉さん属性は一生性癖として引きずるわ。

あっ、好きだ……(1巻P52)

 「鹿島が明石を助けてあげている」状態として描かれている作品ですが、実は真面目すぎて少しネガティブ気味な鹿島を明石が救い出している話とも読めます。

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 本編では一切描かれない明石の心理が、番外編でちょっとだけ描かれます。ん? これはひょっとして。

 ただ、1巻の時点では明石さんに落ちる読者が多いのはわかった上で言います。今後洲本派が増える

(C)Rika Nishihara 2018/講談社

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