心臓がギュッとなる 夢の中でしか会えなくなった父と娘を描いた漫画に「泣いた」の声(1/2 ページ)
1人じゃないと教えてくれるのは、人ではないかもしれない。
突然交通事故で父を亡くしてしまったことから心が壊れるほど寂しくなってしまった少女と、夢の中で彼女を励ます父親を描いた漫画「千の夏と夢」が感動的だと話題を呼んでいます。作者はTwitterユーザーの鯨庭(@KUJIRABA)さん。
ある夏の日、小学生の千夏は父親を交通事故で亡くしてしまい、祖母の家で暮らすことになりました。母は父の死を受け入れることができず、夜になっても泣き叫んでいて千夏のことなど構っていられる状態ではありません。父の遺骨はひとまず龍神の掛け軸のある部屋に安置して、千夏もそこで寝ることにしました。
その日の夜、夢に父が出てきたので、死を受け入れられない千夏は「行かないでお父さん! 置いて行かないで」と泣きながら請うと、「毎晩会いに行くから、だから泣くな」と言ってくれました。夢の中で会うと約束してくれたので、お骨の埋葬はしないでしばらくは一緒にいることに。
転校先の学校で早速授業参観が行われることになりましたが、悲しみ続ける母にも忙しくて疲れている祖母にも言い出せない千夏。そしてもちろん父にも……。千夏は寂しさで潰れそうな気持ちを隠したまま夢の中の父親に「大丈夫だよ」と笑って見せるのでした。
授業参観当日、クラスメイトに親は来るのか尋ねられますが、父親がいないという寂しさを隠したくて、ちゃんと答えられません。しかし同じ日に転校してきた今野くんは「来ないよ。俺、親いないんだ」と、千夏とは正反対にあっさりと答えました。今野くんは父親を亡くして母親も病気になり、今は施設で暮らしているそう。「寂しそうにしてるとみんな気を使ってくれるじゃん。ありがたいけどさ、もっと辛くなるんだよね」と、本音を吐露します。
その晩千夏は、まだ父が生きており、親子3人で仲良く過ごす夢を見ます。しかし、そこに現れたのは今野くん。突然狐に変貌して千夏を襲おうとしますが、今度は父親が掛け軸に描かれた龍神の姿になって狐から千夏を守ってくれました。
狐は、今にも心が壊れそうな千夏を食べようとしていましたが、龍神はそのたくらみを看破。「千夏は我が娘だ」と、狐をひと飲みして事なきを得ました。
夢の中で千夏に会っていたのは父ではなく龍神で、千夏が生まれた日から掛け軸の中で彼女を見守ってきていました。父親を亡くした千夏がふびんで、父親のフリをしていたのです。
龍神は、千夏に語ります。父は千夏が1人でもしっかり生きていけると確信し、すでに成仏していたことを。そして、化けて現れるのは一度きりにしようと思っていたが、ふびんで何度も出てきてしまったことを。全てを語ると、「だましてすまなかった」と最後の言葉を残し、消えてしまいました。
翌朝、今野くんは、クラスメイトの記憶からも消えていました。すべてを受け入れた千夏は、お骨をお墓に埋葬することを決意。「このままだとお父さん、ちゃんと眠れないから」掛け軸の龍神に笑顔で報告をしました。千夏は初めて、夢の中の父親としてではなく、龍神へ声をかけ話は終わります。
Twitterとpixivでは、「引き込まれました」「心臓がギュッとなりました」など、ストーリーに圧倒される人が続出しています。掛け軸の絵として見守ってきた龍神が娘同様に思ってきた千夏を救済するストーリーだけではなく、緻密に描かれた龍の迫力も圧巻でした。
100年経た道具には精霊が宿り、付喪神になるという伝承があります。もしかしたらこの掛け軸にも精霊が宿っていて、龍神として助けてくれたのかもしれません。千夏ちゃんが掛け軸を大切にしてくれたら、これからも龍神が父親代わりになって守ってくれるかもしれませんね。
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