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「自分の好きなものをやりたいだけ」 「水曜日のダウンタウン」の企画がヤバいのは演出の藤井健太郎がヤバいから説(1/4 ページ)

「笑える番組って基本的には攻めてるものじゃないですか?」

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 TBSで毎週水曜日22時から放送されている「水曜日のダウンタウン」。「裏付けや科学的な根拠の無い説を検証する」という趣旨のこの番組は、攻めた企画や悪意を感じさせるナレーションなど、その独自性が好評を得ることも多いが、反対にしばしば批判の的となることがある。

TBSの人気番組「水曜日のダウンタウン」

 芸人がゴミ屋敷の住人に激怒されたり、元アイドルがガチ説教されるドッキリを仕掛けてターゲットと仕掛け人の双方が号泣したりという内容は、誰からも愛される番組とは程遠い。しかし、「徳川慶喜を生で見た事がある人 まだギリこの世にいる説」では徳川慶喜を生で見たことがある人を本当に発見し、「日本の有名人知名度ランキングTOP100」では全国各地で大規模な調査を行って「日本一有名な人」がタモリさんであると結論付けるなど、アカデミックな価値を提供することも多い。「先生のモノマネ、プロがやったら死ぬほど子供にウケる説」ではネット上でも“神回”として話題となり、徳川慶喜の説に続いてギャラクシー賞月間賞を受賞した。

司会のダウンタウンの二人

 ネット上の影響を見ても、Twitterでは番組放送の度にトレンドの上位に入ってくる他、安田大サーカスのクロちゃんのウソを暴く「リアルクロちゃん」が放送された直後には、クロちゃんのTwitterフォロワー数が激増。現在でもそのアカウントでツイートが投稿されると、数千回のRTを叩き出す。

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 良くも悪くも、見た人に抜群のインパクトを与える「水曜日のダウンタウン」の企画はどうやって生まれているのか。同番組で演出を担当する他、「クイズ☆正解は一年後」や「オールスター後夜祭」等も手掛ける藤井健太郎さんに話を聞いてみた。なお、若干クロちゃんの話が多いがご容赦いただきたい。

藤井健太郎さん

放送しなかったものもいっぱいある

―― 「水曜日のダウンタウン」で記憶に残るほど大変だった企画とかあります?

藤井健太郎(以下、「藤井」): なんだろうな……まあ、いない可能性の高い人を探すのは大変ですかね。 例えば「0人説」(※)って、基本「いた」で終わることが多いんですけど、当然、見つけられないこともあるじゃないですか。でも、ただ「見つかりませんでした」じゃ終われない。

【0人説】

「水曜日のダウンタウン」でたむらけんじさんがプレゼンする名物企画。「アパートに住んでるフェラーリオーナー、マジで0人説」「外見の自己評価『上の上』って言う女子0人説」「SADSの『忘却の空』サビを一発で聞き取れる人0人説」などを検証してきた。

―― 「0人説」の場合だと、こだわり続けたらいつまでも終わりは来ないものですよね。そういう場合はどこを終了の目安にするんですか?

藤井: 対象の人が見つかるか、見つからなくても別の面白いオチが見つかるか、ですかね。目的とする人はいなかったけどこんな面白い人がいたとか、オチになる要素が見つかったら成立かなと。だから、何も起きなかったので放送しなかったものもいっぱいありますよね。

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―― あ、やっぱりあるんですね。

藤井: もちろん。例えば、この夏めちゃくちゃ暑かったじゃないですか。「右腕だけ別人のように焼けてるトラック運転手、多発している説」ってので、片腕だけ日焼けした人を探してたんですけど、「いた」以上のことがあんまりなかったんです。黒人のトラック運転手がいたりもしたんですけど、「ちょっと足んないかなー」と。

―― 10月3日には水曜日のダウンタウンのスペシャルをやるんですよね。そこではどういった企画を?

藤井: スペシャルでは、テラスハウス的なシェアハウスにクロちゃんが住む「モンスターハウス」という連載企画が始まります。「イケてる男女5人+クロちゃん」で行う恋愛リアリティショーですね。「キラキラした若者の中に1人だけオジサンがいる」って構図の面白さだったり、映像の質感とのギャップだったりを見せる企画なんですけど、「こうだから面白いんだ」という細かい計算があるというよりも、クロちゃんの個人技みたいなところはありますよね

 クロちゃんは良くも悪くも予想以上のことをやってくるんですよね。スペシャルでは、その手前に「クロちゃんのベッドの下、ギリ人も住める説」という説もあって、そのままモンスターハウスになだれ込むんですけど、隠れてどうやって食事をするかとか、クロちゃんが部屋から出なかったらどうしようとか、ベッドの下で生活する人の目線で見ていくものになる予定だったのに、結局クロちゃんの話になってきて……(クロちゃんは)なんかいろいろするんで、勝手に

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※「水曜日のダウンタウンSP」10月3日21時から(「2018世界バレー女子『日本×カメルーン』」が延長の場合は時間変更)

―― (笑)

藤井: すごいですよね。“山ほど撮影した中から見つけたウソ”じゃなくて、普通に1日撮ったらその1日の中にしっかりウソやらなにやらが詰まってるので。

「水曜日のダウンタウン」の企画をきっかけに“ウソつきキャラ”が定着してしまったクロちゃん。食べ物や体重など、ダイエットに関わるウソツイートが多い

―― なんか逆にクロちゃんへの信頼を感じますね。

藤井: そうですね。「どうせ見てたらなんかするでしょ」みたいな。もちろん、クロちゃんが何もしなくても成立するようにはしているんですよ。ベッドの上にいるのがどんな人間であっても、下に人間がいること自体が異常だし、こっそりトイレ行ったり食事したりというのを描けば成立するんですけど、プラスアルファをやってくるんで面白いですね。

「(クロちゃんは)昔は面白い人じゃなかったじゃないですか」

―― 「リアルクロちゃん」のようにTwitterとの連動企画もありますよね。「水曜日のダウンタウン」はもしかしたらネット受けを意識しているんじゃないかと思うんですが、実際どうですか?

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Twitterでも話題を呼んだ「リアルクロちゃん」。ウソツイート監視企画でクロちゃんのツイートと実際の行動の隔たりを暴いた

藤井: いや、ネット受けとかは別に意識してないです。ただ、普段自分も自然にネットに接しているわけで、自分の面白いと思うものには当然ネットの中のものも入ってるじゃないですか。「ネットだから」という隔てかたはしていないというか、自分が面白いと思ったものをシンプルにっていうだけかと。今どき普通ですもんね。「ネットの人が面白がっている」と言っても「ネットの人」っていう特別な存在がいるわけじゃないし。

―― 特段意識していないとはいえ、ネットへの影響力は大きいですよね。クロちゃんのTwitterのフォロワー数が大幅に増えたのは明らかに「水曜日のダウンタウン」がきっかけですし。クロちゃんのああいう面白さが世間で注目されるとは思わなかったですね。

藤井: (フォロワー数が増えたのは)まぁそうでしょうね。クロちゃんは昔から何か球を投げた時に面白い当たり方、面白い打ち返し方をする人だったんですけど、世間はそこをあまり見ていなかったというか。本人のやりたいことと面白いところが違っているので、(クロちゃんは)昔は面白い人じゃなかったじゃないですか、少なくとも世間的には。

―― (笑)

藤井: 僕が最初にその面白さを意識したのは「クイズ☆タレント名鑑」で「モノマネされるまで帰れません!バスツアー」という企画をやったときですね。街でモノマネしてもらえたので帰れることになったクロちゃんと、バスの中の淳さんとの中継のやり取りが面白かったんですよね。「嬉しいですか?」とかの流れで、淳さんが「将来の夢は?」って質問したら、「えっ、今が将来じゃなくて……?」とか。まあ、淳さんのパスが見事だったりするんですけど。

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 本人がどこまで意図的にやっているか分からないんですけど、困り方とか、切り返しの早さとか……そういうとこが面白くて。そこから、ちょこちょこ「テベ・コンヒーロ」とか「チーム有吉」とかにも出てもらって、「こういう風にしたら面白くなるな」というノウハウが積みあがっていった結果、現在の状況にたどり着いた感じです。

 あと、ウソとかに関しては、僕らもそこを目指してやってたわけじゃないのに偶然そういうとこ見ちゃったから(笑)。「じゃあそっち掘ってみようか」ってやってみたらすんごいいっぱい出てきたっていう。

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