歴代プリキュア55人+αが勢ぞろい HUGプリ第37話「奇跡のBパート」で何が起きたのか:サラリーマン、プリキュアを語る(3/3 ページ)
僕はその日、確かに「奇跡」を見たのです。
2018年10月21日8時43分に、何が起きたのか?
2018年10月21日8時43分。伝説の「第37話Bパート」が始まります。
Aパートのラストで、暴走するトラウムロボが放つ闇に捕らわれてしまった「HUGっと!プリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」「魔法つかいプリキュア!」「ふたりはプリキュア」のプリキュアとキュアピーチ、キュアドリームたち。闇の中では動くことができません。
「これで終わりなのかな……」と絶望するキュアエール。しかし、右手のブレスレットを見て「それは……ちょっと……やだな……」と思い立ち、叫びます。
「フレフレ! 私! フレフレ! みんな」。
その声に呼応するプリキュアたち。はぐたんを始めとした妖精たちからの応援も受け、闇を振り払い立ち上がります。
しかし、そこに暴走トラウムが発生させた大量のオシマイダーとザケンナーなど歴代プリキュアの敵キャラたちが襲い掛かります。「これは……多すぎでしょ!」。絶体絶命のピンチ!
しかしキュアエールは叫びます。「フレフレ! 私! フレフレ! プリキュア!」。
そのとき「奇跡」が起こるのです。キュアエールの声に呼応するように闇を割いて「Go!プリンセスプリキュア」の4人が空から登場! BGMも当時のまま! キュアフローラが花びらを舞わせながらのジャンプキックを放ちオシマイダーを蹴散らします。「お覚悟はよろしくて?」。フローラは名乗りを上げた後「私だけじゃないよ!」とほほ笑みます。と、同時にラブリービームを放ちながらキュアラブリーら「ハピネスチャージプリキュア」の4人が現れます。
残りのプリキュアたちも時代を超え、シリーズの壁を越え、歴代のプリキュア全員が駆け付けます。あまりの光景にびっくりして「これもはぐたんが?」とつぶやくハリハム・ハリーに対して妖精タルトは言います。「いや、これはプリキュアたちみんなの奇跡や~!」。
そして……プリキュアオールスターズ55人で決めポーズ!
それと同時にBGMが「ふたりはプリキュア」の主題歌「DAZEN!ふたりはプリキュア」へと変わります(プリキュアファンはこの曲が流れると「これで勝てる!」と確信します)。
ここからは、プリキュア55人による怒涛(どとう)の連続攻撃が始まります。キュアブラックのアッパー、キュアホワイト恒例の回転攻撃がオシマイダーをなぎ倒し、青色プリキュア(キュアアクア、キュアマリン、キュアマーメイド、キュアダイヤモンド、キュアマーメイド、キュアジェラート)の全員同時の氷結攻撃がオシマイダーを凍らせて倒します。
キュアフォーチュンの急降下からのスターバーストで吹き飛ばしたオシマイダーを黄色プリキュア(キュアエトワール、キュアトゥインクル、キュアミューズ)の星エフェクト攻撃で撃退。キュアフォーチュンを含めた星つながりプリキュアで決めポーズ。……からの、キュアレモネード、キュアパイン、キュアピース、キュアカスタードの黄色プリキュアがオシマイダーから逃げるコントが場を和ませます。
キュアベリーの「ベリーソードは囮」からのキュアソード、キュアビューティの「ソード持ちプリキュア」の超カッコイイ斬撃が決まり、キュアベリー、キュアソードの決めポーズ。
場面が変わり、「フレッシュプリキュア!」のOPに出てきたナケワメーケ風オシマイダーに対し、キュアハート、キュアピーチ、キュアメロディのハート系プリキュア3人が挑みます。キュアピーチ、キュアメロディはそれぞれのOPの攻撃を披露、キュアハートは「ドキドキ!プリキュア」第30話のメラン戦で見せたパンチで撃退、3人で決めポーズ。
空中から球技系の技を持つキュアルージュ、キュアサニー、キュアマーチが決め技を放ち、多数のオシマイダーを一斉撃破するも、煙の中から「ハートキャッチプリキュア!」のデザートデビルが出現。
デザートデビルが放つ6本のエネルギー砲。しかし、それをバリア持ちプリキュア(シャイニールミナス、キュアミント、キュアサンシャイン、キュアロゼッタ、キュアアンジュ)の「バリア同時5枚展開」で防ぎます。
そのデザートデビルに対するは川村敏江さんデザインのピンクプリキュア3姉妹(キュアドリーム、キュアハッピー、キュアエール)。それぞれの決め技を同時攻撃で放ち倒します。空中から着地して3人で決めポーズ……といきたいところでしたがキュアハッピーだけ着地に失敗し頭から落ちてしまいます。
場面が変わり、キュアホイップがホイップデコレーションで拘束した「フレッシュプリキュア!」のソレワターセをおいしそうに見つめるキュアハニー、感心して見ているキュアリズム。スイーツ(食べ物)関連プリキュアの共闘です。
ソレワターセがその拘束を解くものの、キュアブロッサム、キュアフローラ2人の「花キュア」の共演で粉砕。花びらが舞い散る中、キュアフローラの「ごきげんよう」が響き渡ります。
そんな中、なぜか空中に投げ飛ばされるオシマイダーたち。1体、2体、多くのオシマイダーが吹き飛ばされていきます。その中心では、大人のお姉さんプリキュア(キュアムーンライト、キュアエース、キュアマカロン、キュアショコラ)が余裕の表情でオシマイダーを投げ飛ばしていました。
それを見ていたキュアパルフェが「なんか……あそこだけオーラが違うわね……」と言ったと同時に隣にいたミルキィローズの「クレーターパンチ」が地面を割り、オシマイダーを吹き飛ばしキュアパルフェとキュアフェリーチェの合体技でトドメをさします。この3人は元妖精つながりでもありますね。
一方、空中ではフォームチェンジするプリキュア、スプラッシュスター組(キュアブルーム、キュアイーグレット)、「ハピネスチャージプリキュア!」組(キュアラブリー、キュアプリンセス)、「魔法つかいプリキュア!」(キュアミラクル、キュアマジカル)組が、「スマイルプリキュア!」第36話に出てきた「ワルブッターアカンベエ」と対峙。それぞれ「全てのフォーム」に変身するファンサービスで倒します。
暴走トラウムのもとへと走るキュアエールとキュアブラック。しかし、倒しても倒してもキリがありません。そんなとき「では、私たちにおまかせを!」と弦楽器持ちプリキュア(キュアパッション、キュアビート、キュアスカーレット、キュアアムール、キュアマシェリ)がキュアビートの「髪の毛ギュイーン」を合図に、楽器による同時攻撃を放ちます(くしくもこの内キュアマシェリを除く4人は「元敵幹部」という共通点もありました)。
大きなハートとなった光線は、大量のオシマイダーを吹き飛ばすとともに大爆発を起こします。その爆発を(ファンにはうれしい)ピンクプリキュアたちによる「爆発から横方向にジャンプ」(通称YBMB Your Best!My Best!:「DANZENふたりはプリキュア」歌詞由来)を披露した後、怒涛の「1カットで送るプリキュアたちの連続攻撃」が始まります(Twitterなどによると、このパートがおそらく板岡さんの作画担当カットです)。
空中にいる暴走トラウムに対し、キュアブラックがジャンプパンチを放った後、キュアドリーム、キュアミラクルが上空からのダブルプリキュアキックをお見舞いしますが暴走トラウムの大きな手で防がれます。
振り下ろした暴走トラウムのパンチをキュアブルームが持ち上げ、キュアハートが真下から「ドキドキ!プリキュア」の最終決戦で見せた通称「パルテノンキック」を放ち、上空に放り上げます。上空からはキュアハッピーの頭突き、キュアブロッサムおしりパンチの同時攻撃で上下から挟みます。
ひるまない暴走トラウム。巨大なパンチを振り下ろすも、キュアラブリーがラブリーパンチングパンチを放ちそれを防ぎ、キュアメロディがトーンのリングで暴走トラウムの手を、キュアホイップがホイップエネルギーで全身を拘束。ラブリーパンチングパンチのこぶし中からキュアピーチ、キュアフローラが現れ、至近距離からの攻撃で暴走トラウムにダメージを与え、ラストはキュアエールの超上空からの垂直落下パンチでトドメを刺します(ここでバックで流れていた「DANZENふたりはプリキュア」は終了します)。
しかし、倒したかと思われたが暴走トラウムは再度復活し、地球を超えるサイズにまで膨れ上がります。「こんなの……どうすれば……」と絶望するキュアエールに対し、キュアブラックが励まします。「大丈夫、自分を信じて、仲間を信じて」。キュアエールは言います。「そうだよ……私たちはプリキュアだもん」。キュアホワイト「こんなときだって、私たちは」。キュアブラック&キュアホワイト「絶対に諦めない!!」。
キュアエールの右手のブレスレットが光り始めます。歴代のプリキュア全員に励まされる「HUGっと!プリキュア」の5人。
「笑顔を作る大好きな気持ち」。
「手を取り合って、奏でる思い」。
「愛する心と幸せの花!」。
「夢に向かって羽ばたく強さ!」。
そして「希望!」。
キュアホワイト「プリキュアの美しき魂が」。
キュアブラック「邪悪な心を打ち砕く!」。
キュアエール「そして輝く未来を…切り開く!」。
「HUGっと!プリキュア」5人のブレスレットが「プリキュアミライブレス」へと変化し、決め技「プリキキュア・オール・フォー・ユー」を放ちます。
オール・フォー・ユーの光は地球を越え宇宙まで届き、その光は妖精ペコリンを「キュアペコリン」に、モフルンを「キュアモフルン」に(モフルンは足だけの出演でしたが)変身させ、プリキュアへ思いを届けます。
シーンが代わり、光に包まれた景色の中、「ふたりはプリキュアスSplash☆Star」で共闘した「満と薫」も手を掲げプリキュアに力を送ります。
またオール・フォー・ユーの光に包まれ、「ハートキャッチプリキュア!」の「キュアフラワー」、「スマイルプリキュア!」の「ロイヤルキャンディ」、「ハピネスチャージプリキュア!」の「キュアテンダー」「キュアサンセット」「キュアウェーブ」、「キラキラ☆プリキュアアラモード」から「人間体ピカリオ」(ファンの通称:キュアワッフル)がそれぞれ手を掲げ、プリキュアに力を送ります。
レジーナ(ドキドキ!プリキュア)、ビブリー(キラキラ☆プリキュアアラモード)、七瀬ゆい(Go!プリンセスプリキュア)、サウラー、ウエスター(フレッシュプリキュア!)、音吉さん(スイートプリキュア♪)、校長先生(魔法つかいプリキュア!)も登場。それぞれの特徴が良く出たポーズでプリキュアに力を送ります。
そして最後に……プリキュアファンがずっと待っていた、「映画プリキュアNewStage」シリーズ」の「キュアエコー」が祈りながら、プリキュアに思いを届けます。
「私たちの思い! 全部持ってって!」。
プリキュア55人だけではなく、ともに戦った仲間たちの思いを乗せた「プリキュア・オール・フォー・ユー」は銀河系規模のハートを展開、ついに暴走トラウムを浄化したのです(その後、ルールーとトラウムの形而上の会話へとつながっていきます)。
――これは劇場版? と思うほどのアツい展開でした。ファンならば思わずうなるシーンの連続に加え、BGMも歴代のものが随所に使われ、それでいて過去作を知らない人にも十分にそのすごさが伝わる演出。
プリキュアファンにとっては「オールスターを越えたオールスターの競演」、55人のプリキュアだけではなく、ファンの思い入れのあるたくさんのサブキャラクターまでをも網羅した、まさに「奇跡」を超える「奇跡」が2018年10月21日、日曜日の朝に繰り広げられたのです。
ああ、もう思い出しただけで泣けてくる……。
子どもたちに、ありがとう
プリキュアというコンテンツは2018年までで15年もの間続いています。
かつてプリキュアを見ていた子どもたちそして、今もプリキュアを見ている子どもたち。そんな子どもたちの応援が、そしてかつての子どもたちが今でもプリキュアを好きでいてくれたおかげで、プリキュアというコンテンツは15年もの間ずっと続いているのです。
2018年10月21日に横浜で行われたプリキュアのパレードにもたくさんの子どもたちが集まったと聞きます。プリキュア映画にも毎年たくさんの子どもが駆け付け、ミラクルライトを振っています。プリキュアはそんな子どもたちに支えられ、続いているコンテンツなのです。
大人のいちプリキュアファンとしては、そんな子どもたちに感謝しかありません。プリキュアをいつも応援してくれている子どもたち、そしてかつてプリキュアを応援してくれていた子どもたちへ。プリキュアをずっと好きでいてくれて、ありがとうございます。
みんながずっとプリキュアを応援してくれたおかげで、今のプリキュアのピンチに過去のプリキュアたちが駆け付けてくれる。そんな奇跡が起きたのです。
この第37話のラストはプリキュア全員、声をそろえての「みんな、ありがとう!」でした。それこそがプリキュアが子どもたちに最も言いたかったことなのではないかと僕は思うのです。
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション
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