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人体切断や空中浮遊で「戦う」! “ヤバい人たち”が集うマジックの世界大会では何が起こっているのか?(1/4 ページ)

「ステージで蝶を出したマジシャンがいたんですよ。そしたら……」

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 マジックに世界大会があると言うことをご存じですか?

 「マジックで戦う」とは一体どういうことなのか。大会で出会った“ヤバい”マジシャンたちの存在とは。

 競技マジックの世界について、現在IT企業に勤めるかたわら世界各国の大会に出場しているマジシャン、菰原裕(こもはら・ゆう)さんに教えてもらいました。

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日本代表として、マジックの世界大会「FISM」のアジア予選を戦う菰原さん

人体切断や空中浮遊で“戦う”

――マジックの世界大会とはどんなものですか?

菰原: 3年に1度行われる世界大会「FISM」は、マジックのオリンピックと呼ばれています。2018年はちょうど開催年にあたり、韓国・釜山で大会が行われました。プロアマ問わず自分の腕を試したい人が集まって、1週間近くに渡りいろんな競技が行われます。

 期間中はコンテストだけでなく、世界トップのマジシャンによる勉強会が開催されたり、各国のマジックショップが集まってグッズを販売したり、お祭りのような雰囲気です。


2018年は韓国で開催された「FISM」

FISMのマジックグッズブース。会場がお祭りのような雰囲気だ

――どうやったら世界大会へ出場できるのですか?

 日本の場合、まず国内選考会があります。前回は東京で2回、三重で1回ありました。そのうちどれかの選考会で通過すると、日本代表に選ばれて、地域予選(アジア予選)にエントリーできます。

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 この地域予選である程度以上の成績を残せば、ついに本戦への参加が認められます。今回は日本から、あわせて10人くらい本戦に参加しました。

――世界大会ではどういうマジックで戦うのですか?

 ステージマジッククロースアップマジックの部門に大きく分かれており、それぞれの中でさらに細かな部門があります。

 ステージマジックでイメージしやすいのは、イリュージョン部門でしょうか。人体切断空中浮遊といった、大仕掛けのマジックで技を競います。あとは鳩出しとかもステージ部門ですね。

 クロースアップマジックは、テーブルを使って見せる、少人数を対象にしたマジックですね。カードマジックの部門などがあります。

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――その中で菰原さんはどの部門に?

 ステージマジックのジェネラルマジック部門です。ステージには先ほど挙げたイリュージョン部門に加え、指先の技の巧みさを競うマニュピレーション部門、笑いを取り入れたコメディ部門などがあるのですが、ジェネラルマジック部門は、自分ならではの表現や雰囲気、世界観を見せたい人がやることが多いですね。

 だから強いキャラクターを持っている人や、ストーリーで勝負したい人がジェネラルをやることが多いです。例えば今回のジェネラルマジック部門の1位は、通常皆さんが想像するようなマジシャン像からはかけ離れていて、仙人のような格好で水晶玉を水から取り出していく、アーティスティックな方でした。

「紙コップは安いんです」

――菰原さんは大会でどんなマジックをしているんですか?

 紙コップと、四つ玉と呼ばれるボールを使ったマジックを行っています。四つ玉は定番の道具ですが、紙コップという素材をステージでここまで使った人間は僕くらいじゃないでしょうか(笑)。

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――なぜ紙コップを選んだのでしょう?

 紙コップは何より「安い」んです! 競技マジックの道具って、ほとんどはオリジナルで作るんですね。紙コップなら制作に失敗してもお金の心配がないし、薄くて加工しやすい。道具をなくしてもすぐに作り直せる。みんな紙コップでマジックをすればいいと思っています。


紙コップと四つ球を使ったマジック

――その紙コップのマジックで、世界各国の大会で受賞をしています。

 1位を3回、2位を6回獲っています。タイ、台湾、中国、韓国で各1回、イタリアで2回、2位をとりました。

――2位がお好きなんですか?

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 嫌いです。大嫌いです。

――2位じゃダメなんですか。

 1位が取れなそうなときは「2位だったらおいしいな」と考えてしまう自分が嫌いです。

――大会に出ると稼げますか?

 僕は稼げていないです。稼げている人もいるかもしれませんが、大会だけでは厳しいのではないでしょうか。日本だと一番いい大会でも賞金は数十万円で、年1回ですから。

大会に出没する“ヤバい”マジシャンたち

――今回の世界大会で「この人はヤバいな」と思ったマジシャンはいますか?

 リード・チャンという韓国のマジシャンですね。時計と煙を使うマジックで、ジェネラルマジック部門の2位を獲りました。詳しくは言えないのですが、あらゆるものが消えるんです。

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