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「天才とはイっちゃってる人」「プロは思考を言語化しない」 『アオアシ』小林有吾×棋士・広瀬章人が語る、自分の世界を広げる方法(5/6 ページ)

将棋とサッカーと漫画、ジャンルを飛び越えて「世界を広げる方法」を探る。

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おまけ:アオアシ本編ネタバレトーク「あのときのこと、教えてください」

(以下、アオアシ本編の重大なネタバレを含みます)

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――広瀬八段が、アオアシで一番印象に残っているシーンを教えてください。

広瀬:そうですね、シーンとしてはやっぱりあの、6巻終わりでDFに転向するところは、一番衝撃的だったくらいのインパクトがありましたね。あれはいつ頃から決めていたんですか?

小林:主人公の名前が決まるよりも前に、ポジションはDFというのは決まっていました。取材・原案協力の上野直彦さんと初めて会ったとき「これからの時代はサイドバック」と熱く語ってくれたんです。

 上野さんは、一線のスポーツライターとして、またサッカーを心底愛する人間として、強い実感としてそれを話してくれた。なので、最初から主人公はDF、それもサイドバックでいこうと。

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 でも、冒頭から主人公がDFで、ユースとは何かを描いて、アシトがどれだけがんばって……っていうのを1話目から乗っけていったら、しっちゃかめっちゃかで分からないですよね。

 だから最初は、読者のことも考えて、点を取ろうっていう目的が分かりやすいFWってことにして。それでFWとしてある程度腰を据えてからDFにしようという、そういう予定だったんですね。

広瀬:実際にユースぐらいの年代だと、ポジション替えろっていうことも結構あるんですかね?

小林:そうですね、コンバートは多いみたいですね。取材した中だと、ユースに入るような子はみんな身体能力が高いので、子どものころはFWをやらされることが多い。でもそれよりももっと点を取れるすごい人間がどんどん周囲に現れてきて、だんだんポジションが後ろに下がっていくという事情があるみたいです。

広瀬:これからの時代はサイドバックだというのは、やっぱりサッカー界的には常識なんですかね?

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 世界のクラブとかを見ていると(サイドバックでも)点が取れなきゃいけないし、一見軽視されがちですけど重要なポジションだと思っていて。将棋界ではサッカーの戦術的な話をする機会があまりなくて、そういったトレンドには興味があるのですが。

小林:先ほどの上野さんが、そのことは強く主張していました。自分たちもそれを聞いてなるほどと納得する中で、DFが主人公のサッカー漫画はなかったのと、僕は愛媛出身なので、同郷の長友(佑都)選手がいて、そういうところで自分に重ねやすいと思って決めていきました。

――週刊連載だと、早めに結果を残さなければいけないというプレッシャーもあったと思うのですが、その中であの展開を6巻まで引っ張れたというのはすごいですね。

小林:もっと早くできたら良かったのかもしれませんけど。たしか最初は、担当さんの方では「3巻くらいで」って言われていて。でも、やってたら「FWのアシトの話」でも十分みんなが喜んでくれていたんですよ。だからもうちょっと腰据えてできるのかなと。

 それで反応が悪かったら、急いで「こういう話なんですよ」って明かしたかもしれないですけど。その前の時点でみんながおもしろいって言ってくれてたんで、それなら本筋に入ったらもっといけるのかな、って思ってた記憶がありますね。

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――作中でポジションコンバートを告げられたときの、読者からの反響はどうでしたか?

小林:(担当編集さんの方を見て)めっちゃ叩かれてたよね?

担当編集:2ちゃんねるとかはわりと好意的で、その時点でいけると僕は思ってました。

小林:そうでしたっけ? なんか「終わったやろ、絶対そんな地味な、気をてらって変なことしやがって」って言われてた記憶があるんだけど(笑)。一応、1話からちゃんと伏線は張ってるんですけどね。

広瀬:私は初めて読んだときはまったく気づかなくて、本当に驚きました。その後再読して、やっぱりおもしろかったです。一気に読むとまた良いですよね。

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