教えて、賢い人! 論文、特許から考える「缶入りコーンポタージュをコーン残さず飲みきる方法」
あのモヤモヤ感のない缶コンポタが飲みたい。
自販機で売られている缶入りのコーンポタージュは手軽に飲めるけれど、つぶつぶのコーンが中に残ってしまう点が悩みどころ。誰もが一度は、飲み口をのぞきこんで、もう少しで出そう(だけど出ない)なコーンにヤキモキした経験があるのでは?
何とかして、コーンまで残さず飲むことはできないのでしょうか。今回は論文などの情報をもとに「賢い人たちが考えた“最強の缶入りコーンポタージュの飲み方”」をご紹介します。
コーンが出ないなら、飲み口の段差をなくせばいいじゃない
2016年、新潟国際情報大学では「缶入りコーンポタージュの粒コーン飲み干しに関する研究」という論文が発表されました。同大学経営情報学部の教授・上西園武良氏らによるもので、内容はタイトル通り、「どうしたらコーンを残さず飲み干せるのか、実験で明らかにしよう」というものです。
コーンポタージュの粘性などを再現した透明な液体などを用いて、以下の2パターンの飲み方をシミュレーションしています。
- A:缶を大きく傾けて、少ない回数で飲みきる
- B:缶をあまり傾けず、多い回数で飲みきる
Aで残ったコーンが平均8.4個だったのに対し、Bは平均12.6個。この差について「(Bのように傾ける角度が小さいと)流速が小さくなってしまい、粒コーンが飲み口の段差で引っ掛かりやすい」と考察しています。
しかし、視点を変えると、これは「流速が違ったとしても、そもそも飲み口の段差が無ければコーンは出てくる」ということ。飲み口の段差を削った缶を使うと、A、Bともに残ったコーンの個数は平均1個強まで減ったといいます。なーんだ、缶の形状をちょっと変えるだけで解決するんじゃないですか。
ただし、同論文によると、あのコーンが引っ掛かる飲み口の段差部分は「缶の上と側面の接合部となっているため、完全に無くすことは難しい」とのこと。そのため、飲み口ではなく缶の側面を加工して「実質的に段差がない状態」を作るべきだと結論づけています。
飲み口の段差が邪魔なら、缶の内側に出っ張りを付ければいいじゃない
では、「側面の加工により、飲み口の段差が“実質的にない”缶」とは、どのようなものなのか。上西園氏の論文が公開される約10年前、坂根環境デザイン事務所(広島県)は、まさにこのアイデアを実現したかのような特許を出願しています。
公開特許公報によると「缶の飲み口付近の内側に出っ張りを設ける」という仕掛け。こうすることで「(コーンなどが)段差に引っ掛からないで飲食できる、飲みやすい飲料水缶」が実現できるとしています。
確かに特殊な構造の缶を使えば、コーンが残らないコーンポタージュは作れるかもしれません。では、何となく自販機で購入したものが、普通の缶だったらどうすればいいのでしょうか。実はそんなときに役立ちそうなライフハックが、2012年にネット上で話題を集めたことがあります。
「内側に凸」が必要なら「外側から凹」でいいじゃない
話題になったツイートは「飲み口の下を少しつぶしておくと、コーンまで残さず飲める」というもの。投稿者は、ある流体力学の先生の話を又聞きしてチャレンジしたそうですが、本当に効果があったとのこと。ねとらぼ編集部でも検証を行ったところ、コーンは一粒も残りませんでした。
先に取り上げた論文や特許を踏まえるなら、このやり方は「段差を無効化する『内側の出っ張り』を作るために、『外側からへこませる』アプローチ」ということができそうです。
もうちょっとで飲めそうなんだけど……と飲み口に引っ掛かったコーンとにらめっこする、あのモヤモヤ感を味わいたくないときは、試してみる価値がありそうです。
主要参考文献
- 【豆知識】コーンポタージュ缶のコーンを残さず飲みきる方法がすごい
- 缶入りコーンポタージュの粒コーン飲み干しに関する研究(新潟国際情報大学機関リポジトリ/上西園武良氏、小柳孝治氏)
- 飲みやすい固形物入り飲料水缶(J-PlatPat/特開2007-153441)
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