可愛い子が急に「ちんちん」とか言い出したら君は耐えられるか 「かぐや様は告らせたい」7話(1/2 ページ)
「ちんちん」を通じて描かれる女子二人の結びつき。
恋愛は告白した方が負け! 「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」(原作/アニメ)は、相手から自分に告白させるためにあらゆる知力体力を用いて戦うエリートたちを描いたラブコメディー。とっても愛しくてとっても面倒くさい少年少女の、青春の無駄遣い物語。
伝説のちんちん回
財閥の令嬢にして生徒会副会長、四宮(しのみや)かぐや。努力家の生徒会会長、白銀御行(しろがね・みゆき)。2人は自らの意地とプライドにかけて、自分からは告白しない、相手に告白させる、と心に決めて戦い続けている間柄。
なかなか一歩進めないとはいえ、かぐやと御行の関係は良好になりつつあります。その一方で、かぐやが極めて雑に扱っているのが、藤原書記。何を起こすかわからないバランスブレイカーな彼女は、完璧(だと本人は思っている)なかぐやの行動を次々破壊してしまう。
何を考えているかわからない藤原書記ではありますが、基本はめちゃくちゃ良い子……のはず。
少なくとも、彼女はかぐやのことが大好きです。思ったことをすぐに言葉で発する彼女は、抵抗なくかぐやへのラブを語ります。
かぐや「私を怖がって離れていく人たちの中で 藤原さんだけが側に残ってくれた……もう少し大事にしてあげなきゃね……」
めちゃくちゃしがちな藤原書記だけれども、かぐやが孤立していた中学生の時も、唯一の友人であり続けてくれた。藤原書記が心から自分を大切に思ってくれているのは、かぐやでもわかっているようです。
藤原書記の夢は、ゲラゲラ笑ってるかぐやを見ること。いい友人じゃないか。
それは一瞬でかないました。
藤原書記「すっごいんですよ ペスのちんちん」
シモネタじゃないよ、犬の芸だよ。「かぐや様は告らせたい」は健全な作品だよ。
でもこれかぐやじゃなくても吹くんじゃないかなあ。キュートな女の子の口から唐突にちんちん。
問題は、今までそこまで笑ったことがないかぐやが、ちんちんでツボってしまったこと。よりによって。
アニメ3話で、かぐやは初体験のことをキスだと思い込み、大恥をかいたことがありました。あまりにも性知識がなさすぎたかぐや、その後勉強して性知識を学んだ様子。ただ、スラングは教科書では学ばないもの。「うんこ」レベルで笑う子供の段階にようやく到達してしまったがゆえの爆笑だった様子。
子供がうんこやらなんやらで大喜びするのは、自我が芽生えて、タブーを犯す感覚が芽生えるから。やっちゃいけないこと、恥ずかしいこと、というのを理解しているからこその笑いです。
今まで抑圧され続け、倫理的にはみ出すことなんて考えたこともない、っていうか知らないかぐや。「藤原書記のような子が、言ってはいけない隠語を言う」というシチュエーションの解放感たるや。たぶん一般的な人間が通過してきた下ネタの笑いより、反動が大きいはず。
まあそうじゃなくても、藤原書記がちんちん連呼していたら、視聴者側だって実況で「ちんちん草」とかSNS書き込みたくなる。正直、御行が「ちんちん」と言うシチュエーションが成立したら、普段絶対言わないだけにめちゃくちゃ面白い。
かぐやのスイッチを入れるべく、手でアレする藤原書記の姿は、少々汚れた大人のハートに響きますね。
この回本当にどうしようもなくちんちん連呼するひどい回(絶賛しています)なのですが、実は友情を描いた素敵な回です。
藤原書記がなぜちんちん遊びするかというと、大好きなかぐやが心の底から笑ってくれるからです。「うれしさに満ちた藤原が止められる筈がない!!」というナレーションの通り。友人のゲラゲラ笑いを見るのが夢だなんて、いい子じゃないですか。
かぐやは、ちんちんで藤原の夢が叶うとか嫌すぎるからこの攻勢に抵抗しました。自分のプライドもあるけれども、藤原書記の願いが頭に浮かぶかぐやは、割と真剣に藤原書記との関係に向き合っているようです。
早坂愛の憂鬱(主に藤原書記)
もっとも、御行絡みの話になると、かぐやにとって藤原書記が邪魔なのも事実。アニメ1話で、自分ができなかった「御行の手作り弁当を食べる」行為をしれっとやってのけた時、彼女の嫉妬は恐ろしいものでした。あれは藤原書記が悪いわけじゃないけど、タイミングは最悪でした。
そこで活躍するのが、かぐやの近侍(ヴァレット)早坂愛です。
今回はかぐやが早坂に指示を出し、御行の飲んだコーヒーをすり替え(注・カフェインレスにしただけなので犯罪ではない)、熟睡させるという行動に出ました。毒や睡眠薬をもったわけではないのでセーフとはいえ、時々こういう手段を選ばない思考になるかぐやは、かなり怖い人物。
それを命じられて、やすやすとこなすのが早坂。その後「生徒会室に何人たりとも入れさせては駄目」という無茶ぶりに、NOをいえない早坂。
かぐやの命令は、多少の無茶でもこなせるのが早坂。しかし対象F(フジワラ)だけは、脅威。鋭い予測で先手にまわって封じるのは、早坂の得意とするところ。でも藤原書記は何を考えているかわからず、連鎖的に場を乱すので、全く予測できない。彼女によって早坂は、かぐやのミッションを失敗したことがあるというほど。
おそらく、早坂の先手読みは、相手が思考するから通用する技術なはず。この作品は「天才たちの恋愛頭脳戦」です。天才であるがゆえに、物事を理知的に考える。かぐやも御行も、感情を成立させるために、筋道をきっちり立てて行動します。
でも藤原書記は、本当に何も考えていない。というか「早坂が心理を理解できない=藤原書記には裏はない」という立証ができるんじゃないか。
かぐやに送った「鳥葬なう」を見ると、藤原書記の奇才っぷりをひしひしと感じさせられます。彼女の親指と人差し指と小指を立てているサインが、本来のアイラブユーの意味(メロイックサインにも見えるけど)だとしたら、なかなかウィットに富んでいらっしゃる。
なお「いつも人に変な画像送りつける」というこの発言、後にかぐやが画像を大切にしている伏線にもなっています。藤原書記とかぐやの微妙だけど崩れない距離感は、この作品の恋愛とは別の大事な柱です。友情と呼んでいいのかどうかは、読んでいるこちらの捉え方次第。
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