オタクの終活 まんだらけのコレクター向け「生前見積」サービス、運用3年間の手応えは
まんだらけに企画意図や現状を聞きました。
コレクターが亡くなったとき、玩具や漫画といったコレクションの価値を遺族は理解できず、雑に処分してしまうのでは――。しばしば取り沙汰される懸念に応えたまんだらけのサービス「生前見積」が、このごろTwitterで注目を集めています。
生前見積は2016年3月に始まったサービス。自分の死期を悟ってコレクションの整理を意識している人のために、まんだらけが生前に無料で見積もり査定を行うものです。発行された見積もり書が手元にあれば、予期せぬ事態が訪れたときも、遺族がコレクションを整理する際、同社の協力の下にスムーズな取引ができるわけです。
開始以来、「オタク向け終活」として幾度も話題となり、2019年で3周年。節目となるこの時期に、あらためて企画意図や利用者の声などをまんだらけに聞いてみました。
「今までコレクションに理解を示していなかった家族が査定額を見て喜んでくれた」
―― あらためて「生前見積」という取り組みの企画意図を教えてください
まんだらけ 昔からまんだらけに通われるお客様に高齢のかたが増え、亡くなったあとのコレクション整理や行く末についてのご相談をいただくことが増えてきました。
「もしも」のことがあっても、まんだらけが発行した見積もり書を持っていることで、大事にしてきた品物の価値をご家族が理解して、捨てられることなく次のコレクターに渡る――そういった窓口がありますよと伝えたい思いから、このサービスを始めました。
―― この3年間の手応えはいかがでしたか
まんだらけ ここ数年「終活」が注目されることで、さまざまな媒体にとりあげていただいており、お客様からの問い合わせも増えております。今後もコレクターのかたにこのサービスを継続利用していただけるように努力を続けていきたいと考えております。
―― 利用者数はどのくらいですか?
まんだらけ 月平均で3~4件程度です。メディアなどにとりあげられた時期は、問い合わせが倍増することがあります。
―― 見積もりを依頼されるグッズに傾向はありますか?
まんだらけ 例えば、漫画ならば貸本や古いマンガ雑誌といったビンテージ品、オモチャであればブリキ玩具や怪獣のソフトビニール人形、プラモデル、超合金など、市場価値が高いコレクターズアイテムが中心です。
ちなみに、品物は1回につき100点まで査定できるのですが、「ひとまず」と点数を10~20点程度に絞ってお試しになられる方が多いです。
―― 通常の見積もりに比べて、利用者に特に喜ばれているのはどういった点でしょうか
まんだらけ 現在の価値を査定した見積もり書が無料で発行されるため、もしものときにもご家族や周囲のかたにコレクションの価値が伝わるという安心感が得られるところです。
―― ほかにも、利用者や遺族からの反応があればお聞かせください
まんだらけ 「高い査定結果を見せたことで、今までコレクションに理解を示していなかった家族が喜んでくれた」「見積もり結果に満足したのですぐに整理したい(売りたい)」など、お声を頂戴しております。
思えば、代表的なアニメ作品を振り返るだけでも、「鉄腕アトム」の放送開始が1963年、「宇宙戦艦ヤマト」は1974年、「機動戦士ガンダム」は1980年。年季の入ったオタクは老境に入りつつあり、同サービスの存在は今後ますます重要になると思われます。
まんだらけの担当者は最後に、「コレクターであれば誰もが自分が集めたコレクションの行く末を考えます。『万が一の時にどうしたらよいか』と悩んだときに、選択肢の1つとしてまんだらけの生前見積があることを思い出してご利用いただけるとうれしいです」と語りました。
関連記事
オタクは日頃から片付けをしておこう! オタク仲間のお葬式での教訓を描いたちょっと切ない漫画
推しグッズも、エロマンガも、一緒に火葬。落とした単位を追悼する「単位のお墓」がワンフェスに登場 「今学期は死ぬなよ…」など弔いのコメント
就活より終活。死んだらこの女性に送りだしてほしい「供養女子コンテスト」とは “終活”しに行ってきました
供養のプロたちの真面目なコンテストです。誰にとってもひとごとではない「孤独死」「ごみ屋敷」 壮絶なミニチュアで知る“実情”
誰にでも起こる可能性がある。「涙が滝のように流れる」 “幽霊が見える葬儀屋さん”が家族の思いをつなぐ漫画が感動呼ぶ
相手を思いやる優しい人たちのお話。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.