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「あの有名アニメ会社に脱税疑惑」報道で「それな」と思ったこと

現金はいいものだ……?

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 アニメ制作会社「ユーフォーテーブル」(ufotable)に脱税の疑いが持ち上がり、東京国税局がガサ入れ調査に入ったと「週刊文春デジタル」が3月28日に報じています。劇場版「Fate」シリーズなど人気作品を手がける制作会社だけに、Twitterはこの日の朝から大騒ぎになっています。

 報道の真偽や脱税の有無は現時点では不明ですが、週刊文春デジタルの記事中の「同社はアニメ関連グッズの販売などを手掛けているが、在庫数や販売数の管理は杜撰」で、店舗によっては売り上げた現金を銀行に入金せず、「社長自らが現金の束を回収するという悪質な所得隠しとも考えられる会計処理」をしていたというところで「へえ」と思いました(有料版には具体的に生々しいことが書いてあります)。


ufotableが2018年12月に参加したコミケの物販情報=Webサイトより

 ご多分にもれず、私も夏と冬のコミックマーケットに参加することがあるのですが、物販をする企業ブース、特に人気タイトルのグッズを販売する企業ブースの盛況ぶり(というか、行列ぶり)に驚くとともに、「現金の処理って大変だろうな」と思っていました。

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 ごく簡単に言うと、税金は、

売り上げ金額(商品やサービスを販売するなどして入ってきたお金)ーかかった経費(商品の仕入れ額や人件費など)=「課税所得」

 という式の、「課税所得」に対してかかります。この式から分かる通り、経費を増やせば課税所得が減り、ひいては税金を減らせますので、フリーランスや自営業の人はきちんと経費を計上していきます。よく自営業の人が「領収書は大切です」(経費の証拠になるので)などというのはこのためです。企業、個人とも、証拠にひも付く形で売り上げや経費を記帳して(簿記ですね)、その金額を国に申告をして、そこから算出された税金を収めるという流れです。

 払う側からすると税金は少ないほうがいいに決まってますから、あの手この手で経費を積むことになります。といっても何でもかんでも経費として認められるものではなく、限界はあります。

 なので、「どうしても税金を払いたくないんじゃ!」という人の中には、上記の式をつらつらと眺め、「だったら売り上げを圧縮しちゃえばいいんじゃね?」とひらめいてしまったりする人もいます。「100万円売れたのに50万円しか売れてないことにする」というやつで、売り上げを隠して過少に申告する、悪質で典型的な脱税の始まりです。

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 ただ、企業の場合、取引は伝票や口座振り込みなど記録の残る形で行われたり、商店などが商品を売る際もきちんとレジを打つなどして記録を残すのが普通ですから、多額の売り上げをごまかすのは難しいものです。ですが、例えば大きなイベントで物販をして、現金が飛ぶようにジャバジャバ入ってくるような場合なら……。もちろん売れた物品の数を把握し、入ってきた現金と突き合わせ、銀行に即入金して記録として残し、記帳し……といった具合に正直にやってる会社がほとんどのはずです(まともな会社であれば、隠して得することはあまりないと分かっているはずなので)。しかし、多額の現金を前にしてよこしまな考えを抱く人がいたりしたら……。


税金はちゃんと納めよう

 コミケでは過去「複数のゴミ袋に1000円札をぎゅうぎゅうに詰め込んで撤収したサークル」の話などが真偽不明の伝説として語られていたりしますが、本当だとしたら現金をその後どう処理していたのだろうかと思います。同人作家さんのもとにある日突然、「税金払ってね♪」という国税庁からのラブレターが届いた、なんて報告を時々耳にしますが、これは書店委託で足が付くのではないかと言われています。委託書店は売れた本の冊数を正確に記録し、口座振り込みで同人作家さんに入金しますから、国税庁も補足しやすいというわけです。過去には、結構な金額を売り上げているにもかかわらず確定申告をしていなかった同人作家さんが多かった時代があり、一時期は国税庁から狙い撃ちにされていたなんてうわさもありました。

 週刊文春デジタルの記事(有料版)では、「イベントでの現金売り上げが封筒に入れられたまま金庫に放置されていた」といった生々しい話が出てきますが、真偽は不明です。大きな売り上げのある会社が国税庁の目をごまかし続けることは難しいもので、真相は分かりませんが、いずれ明らかになるのではないでしょうか。

 余談ですが、給料天引きでごまかしようのないサラリーマンのみなさんは、もうちょっとこういう話に怒ってもいいのではないかと思います。

観音崎FP

ファイナンシャルプランナー資格を持つ古参のほうのオタク。AFP(日本FP協会認定)。オタクとお金のことに関心があります。好きなアイドルは土屋亜子ちゃん。

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