「何でも正解を教えてくれる機械」で成功する漫画 主人公が最期に放つ言葉が考えさせられる
僕らはなんのために生きるのだろう。
何でも教えてくれる機械を手に入れたことで大きな成功を収めた老人の一生を描いた漫画「地獄でなぜ悪い」が、人生の意味を深く考えさせられます。作者は猫オルガン(@applebeesong2)さんです。
ある日、5歳の男の子は一目見て地球のものではないと分かる珍しい機械を拾います。そのとき迷子になっていた彼ですが、機械が指し示す場所に行くとはぐれた母親と会えました。
それからというもの、人生に迷ったときには機械に聞き、自分が好きなものや望むものでなくても、仕事、友達、恋愛、結婚など全て機械の言う通りにします。一度、機械とは違う選択をしたときに不幸に見舞われてしまい、それ以降は10分ごとに機械の選択を仰ぐようになり、食事、読む本など全てを決めてもらいました。
そして時が過ぎ、男は広い家、すてきな家族、白い犬、お金が全てそろった、何一つ不自由のない晩年を迎えていました。しかし、あるときふと思うのです。「私は成功者だ。しかしでもなぜだろう、最近になって私はなにかとんでもなく大きな失敗をしたような気がしてしかたない。だがそれが何か全くわからないのだ」と。
機械の言う通りに生きてきた男の人生には、自分で悩んだり決断したり、努力をしたりということもなければ、失敗したこともないのでしょう。だからこそ、男は何が失敗だったか、ひいては失敗とは何かも知らずに死んでいくのかもしれません。私たちは何のために生きるのでしょう。幸せとは何なのでしょう。「人生とは何か」を考えさせられる漫画です。
漫画を読んだ読者からは「自分の人生を生きたって言えるのか」「考えることをやめたものはどんな人生を進むのかと考えさせられる」、「成功=幸せ」なのか問う声など、それぞれの人生観を見つめ直すコメントが寄せられています。
作者の猫オルガン(@applebeesong2)さんは、現代、未来、国を超えた設定の中で考えさせられる漫画を発表しています。その独特の世界観もとても魅力的です。
画像提供:猫オルガン(@applebeesong2)さん
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