レビュー

二階堂ふみ「ストロベリーナイト・サーガ」 女子高生とのバトルにシビれた4話「売春して何が悪い、クスリもあげただけ」「あんたも人殺しよ!」

姫川玲子の過去。「必死で抵抗したにしては傷が少ない。本当は合意の上の性交渉だったのでは?」ひどい。

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 竹内結子版と同じ原作でここまで雰囲気が変えられるのか! 主人公「姫川玲子」を二階堂ふみが演じる 「ストロベリーナイト・サーガ」 (フジテレビ系列・木曜よる10時~ )。第4話の原作は誉田哲也の小説「右では殴らない」姫川玲子シリーズ3作目「シンメトリー」に収録)。第1話「ストロベリーナイト」、第2~3話「ソウルケイジ」に続き、第4話の「右では殴らない」も前作(竹内結子主演)でもドラマ化されたストーリーだ。

亀梨和也(菊田)の活躍がいよいよ始まる予感! イラスト/まつもとりえこ

原作を真摯に解釈した印象

 『ストロベリーナイト』『ソウルケイジ』は長編小説だが、今回の「右では殴らない」は短編小説。前作(竹内版)ではソーシャルゲーム、ヤクザの抗争、仲間の殉職などが新たに書き加えられ、スピーディな展開にドキドキした。

 対して「サーガ」(二階堂版)では小説『ストロベリーナイト』から姫川玲子(二階堂ふみ)の過去エピソードを挿し込み、本筋に絡めた構成。玲子が女子高生・下坂に激怒する理由が明確になり、二階堂ふみを中心に女優たちの演技がガツンと響いた。明確になったぶん登場人物が絞られ、場面転換も減り、地味にはなったが、原作を真摯に解釈した印象。文句をつけるとするならばドラマの癒やし的存在、井岡(今野浩喜)の出番がなくて寂しかったよぉ~ってことぐらい。

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第4話「右では殴らない」あらすじ

 玲子は女子高校生のころ見知らぬ男にレイプされた。脇腹を刺されたこともあり、事件後入院。心を閉ざした玲子(高校生時代の玲子役は八木優希)を心配し、足しげくお見舞いに来てくれたのが佐田刑事(吉谷彩子)だ。佐田のおかげで玲子は笑顔を取り戻していく。しかし佐田は玲子を襲った犯人を逮捕する際に殉職……。

 その後、玲子は裁判で証言台に立つ。犯人の弁護士は「必死で抵抗したにしてはあなたの擦過傷は少ない。本当は合意の上の性交渉だったのでは?」と言い放つ。ひどい(そういえば現実でも、2019年3月静岡地裁の山田直之裁判長、福岡地裁久留米支部の西崎健児裁判長、4月名古屋地裁岡崎支部の鵜飼祐充裁判長が担当した性暴力事件で犯人の男性側が無罪になるということがありましたよね……)。玲子は佐田の「自分で戦って勝ち取るの。あなたの人生を」という言葉を思い出し、弁護士に抗議する。

 「ナイフで脅された後また刺されて殺されるんじゃないかって抵抗を諦めたのがどうして合意になるんですか」「だったら命がけでその人を捕まえた佐田さんも殺される覚悟をしてた、だから死んで当然だったってことですか?」

 傍聴席の刑事たちが一斉に立ち上がり、玲子の中に生きる佐田に敬礼をする。玲子が刑事を目指すきっかけはこの光景だった。

玲子(二階堂ふみ)の強い感情に、菊田(亀梨和也)とノリ(葉山奨之)も圧倒されていた。井岡(今野浩喜)の出番がなくて寂しかった…… イラスト/まつもとりえこ

いつになく感情的な玲子

 今回の容疑者は女子高生の下坂美樹(山田杏奈)。売春して何が悪い、もらったクスリを人にあげただけ、私はクスリをやってないから悪くないと開き直り、挑発的な態度を崩さない。女子高校生で加害者、世間を舐めきっている下坂と、女子高生の頃に被害者になり必死に努力して立ち直った玲子。対照的だ。取調室での玲子はいつになく感情的。クスリを渡してきた宇田川を「ただの人殺し」と笑う下坂に「あんたも人殺しよ!」と玲子はブチギレる

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 「言ってやる! 女の刑事に暴力振るわれたって」「菊田!あんた私が暴力振るったとこ見た?」「……いえ、自分はなにも」「ノリ、あんたは?」「僕も、なにも見てません」

 脅迫したり、胸ぐらを掴んだりと玲子の取り調べ方法は警察的にはアウト。しかし菊田(亀梨和也)とノリ(葉山奨之)は玲子側についた。玲子への忠誠心・リスペクトを感じたシーンだった。

まずまず関係が深まっていくに違いない姫川班。ドラマ相関図 イラスト/まつもとりえこ

1話見どころ

2話見どころ

3話見どころ

まつもとりえこ

イラストレーター&ライター。今野浩喜ファン。

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