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寺脇康文の父性に泣いた「ストロベリーナイト・サーガ」3話 「犯人と近い思考回路をもっている」姫川玲子の才能と苦しみ

事件を解決することとは、犯人に共感することなのか、それはやはりタブーなのか。

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 主人公「姫川玲子」を二階堂ふみが演じる 「ストロベリーナイト・サーガ」 (フジテレビ系列・木曜よる10時〜 )。第2話〜3話「ソウルケイジ」では3通りの父性が描かれた。(原作は誉田哲也の小説・姫川玲子シリーズ2作目の同名小説)。

 


ストロベリーナイト・サーガ 秘めた闇を表現する二階堂ふみの玲子。亀梨和也(菊田)の活躍は今後に期待して吉。原作はそうだ イラスト/まつもとりえこ

ようやく登場、玲子の両親

 まず被害者・高岡賢一(寺脇康文)。自分の息子と、三島耕介(堀井新太)を守るために自分を犠牲にした父性。左手首を切り落とすシーンで流れる耕介との回想と(左手で耕介の手を引いたり、肩を叩いたり、仕事を教えたり……)、最期右手に握られていた耕介との遊園地の写真が悲しかった。

 2番目が警察サイドの父性。日下警部補(神保悟志)も保っつあん(石倉保巡査部長/宍戸開)も息子のことで悩んでいる。特に日下の息子は登校拒否、いじめかもしれないという状況。仕事を理由に家に帰らないでいるがとりかえしのつかないことになるんじゃないかと内心怯えている。仕事では理路整然とした日下も家庭では不器用なの父親だ。

 そして、3話でようやく登場、玲子の父親。玲子は昔、父親がキッチンで包丁を握りしめながら「玲子、ごめんな。あいつを殺してやりたいけど俺できないよ」と泣く姿を目にしている。娘をレイプした犯人を想像のなかでも殺すことができなくて苦しむ。優しい父親だ。玲子が刑事になった今も「玲子になにかあったら助けにいけない」と酒を飲むことを控えている。

 同じく3話で登場した母親(菊池桃子)も、玲子の仕事に理解があり優しい。しかしどこか気を使いすぎている感じも漂わせる。原作・前作では「心配だから玲子には早く結婚して欲しい」とお見合いを口うるさく勧める母親だった。このキャラ変更は時代設定を現代にしたからだろう(出版は2007年。10歳差での親世代の結婚に対する感覚はかなり違う)。余談だが玲子の実家は原作によると埼玉県南浦和。二階堂ふみ、主演の映画「翔んで埼玉」といい埼玉に縁が続いているなぁ。現バディの今野浩喜も埼玉出身だし(注/井岡は東京出身設定)、「翔んで埼玉」の脚本家・徳永友一は「ストロベリーナイト・サーガ」も手がけているし。


ストロベリーナイト・サーガ 姫川班VS.日下班のドラマ相関図 イラスト/まつもとりえこ

「理解できるし同情もできるが共感はできない」

 1話の事件解決後、ガンテツ(江口洋介)は玲子に「ろくな根拠もなしにホシを言い当てたり行動を読んだりできるのはホシと極めて近い思考回路を持ってるからだ」と言っている。そしてその指摘どおり玲子は3話の終盤、高岡工務店で事件の様子をリアルにイメージし、高岡の居場所を探り当てる。玲子の「ホシと極めて近い思考回路」が表現されたシーンだった。

 保っつあん(宍戸開)に「(高岡を)父親としてどう思いますか」と聞かれた日下は「寝たきりの息子と父を亡くした三島耕介を助けたいと思ってしたことは理解できるし、それが戸部殺しにつながった点は同情する。でも共感はできない」「子供をまっすぐに育てたいなら親もまっすぐに生きるべきだ」と答える。「理解」「同情」「共感」、似ているようで違う言葉。戸部(波岡一喜)のように「理解」も「同情」も「共感」もできない犯罪者もいるが、高岡のような犯罪者もいる。玲子の「ホシと極めて近い思考回路」は共感力が高いからじゃないだろうか。犯人に共感することはそんなにいけないんだろうか。(……オープニング映像で玲子が猟奇的に笑う意味は「犯罪者と近い思考回路」を表している?)


ストロベリーナイト・サーガ 整理しました「ソウルケイジ」事件相関図。波岡一喜の悪い顔は天下一品。 イラスト/まつもとりえこ

 さて、W主演のはずの菊田和男(亀梨和也)はまだ出番が少ない(前回も書いたがこれは原作どおり)。が、番組公式Twitterのツイートに注目。

 「#ストロベリーナイト・サーガ で初めて映像化するあの作品や、そしてあの作品を…早くお伝えしたいです!!」

 前作で見て知ってる話だから見〜ない、と決めてしまうのはもったいない。原作の『ストロベリーナイト』『ソウルケイジ』にあってドラマではまだ描かれていないあのシーンもこのシーンも4話以降に配されるはず……(あ、未読の人はドラマが全て終わってから読むほうが良いかも)。今夜4話。


ストロベリーナイト・サーガ 前回描いたスルメポケットのシーンが生きた! イラスト/まつもとりえこ


ストロベリーナイト・サーガ 前回描いたスルメシーン イラスト/まつもとりえこ

まつもとりえこ

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