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仙狐さん、その小さなおみ足で踏んでいただいてもよろしいでしょうか…… 「世話やきキツネの仙狐さん」7話

仙狐さん、マッサージさせていただいてもよろしいでしょうか……。

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(C)2019 リムコロ/KADOKAWA/世話やきキツネの仙狐さん製作委員会

 癒やされたい。肯定されたい。「世話やきキツネの仙狐さん」(原作アニメは、ブラック企業に勤める男性が、神使の狐に何もかも全て癒やされていく、人間全肯定アニメ。優しい空間が覆いかぶさってくる、ある意味現代日本を象徴するような作品です。

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クセになってもいいんだよ

 世話やきたがりの仙狐さん。基本常識人の中の常識人ですが、時々お世話対象である中野がびっくりすることを言います。今回の発言はこれ。

え、足なの(2巻)

 身体がこったという中野に対して、「わらわが踏んでやるのじゃ!」。手で揉むんじゃないの!? Sっけのあるキャラなら「踏む」は割と定番の言動ですが、普段はそういうのが微塵もない仙狐さんなので、だいぶびっくり。

 ここでいう「そっちの気」というのは、おそらくM的な意味でしょう。社畜だからM、みたいなジョーク、仙狐さんも言うんですね。

 本当のところ、中野のことを仙狐さんはどう見ているか……というのが次のコマ。

見える。(2巻)

 心当たりはいろいろあるらしい。

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 彼は極度のモフニスト。基本仙狐さんにわがままは言いませんが、しっぽやら耳やらをモフモフ触りたがる欲求だけはセーブできません。二人きりで過ごす家の中、ことあるごとにニヤニヤしてしっぽをモフモフするのは、正直特殊な趣味だと言われてもしかたない。それを許容しているのは仙狐さんの慈愛ゆえ。

 マッサージや耳かきは「リラックス」の代表的に語られることが多いですが、これは双方の信頼関係があるからこそです。乱暴な人にマッサージされたら、身体を痛めてしまうでしょう。不器用な人に耳かきさせたら、鼓膜が危険でまず落ち着かない。

仙狐さんちっちゃいなあ(2巻)

 身体をほぐすために「踏んでもらう」。身体をほぐすために「踏んであげる」。どちらも信頼関係なしにはできません。背中を踏まれる=安心して身体を預ける、ということ。

 「踏み」も、子供体重だとちょうどいい。仙狐さんの足のサイズと体重は、ジャストだったようです。加えて普段と異なり、裸足なのもいい。なんて素敵なスキンシップ。

 逆に、中野が仙狐さんの身体をマッサージするシーンもあります。「両手にすっぽり収まってしまう小さな腰回り…」。中野は恐る恐る、壊れそうな小さな体をほぐします。胴体の華奢さは、子供か、あるいは猫を抱いているような柔らかさ。

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敏感なとこ!(2巻)

 もっとも、身体の感じやすさは大人のもののようです。これはしっぽの付け根を触った時の反応。男子の手も止まる。モフニスト中野としては触りたいだろうに(お風呂回ではしっぽの付け根チェックをしていた彼です)。

 それにしても、いい声を出せとばかりにお互いマッサージしあうこの関係、隣の高円寺が聞いたら、どう思うかは想像に難くない。仙狐さんは自分を、一応は母であり妻だと言っていますが、下手するとそれ以上に仲むつまじい。いくら世話やきの仙狐さんでも、このキャッキャは中野にしかしないんじゃないかな……。

本当に愛はあるの?

 イチャイチャを存分に堪能した後はシロのターン。極めて鋭いところに切り込んでいきます。

 今は幸せあふれる仲良しな二人。ですが、その感情って、神使と人間の「世話をやく・やかれる」中で生まれた、まがい物なのでは?

鋭い(2巻)

 シロ「セン(仙狐さん)はナカノに先祖の姿を重ねているだけで あなた自身を見てないかもしれないって ナカノはそれでいいの?」

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 もともと仙狐さんは、疲れ切った男性の世話をする目的でやってきました。一話では中野のもとにきた理由を「わらわ好みの色男だったのじゃ」「まあ神の気まぐれみたいなものじゃ」とだけ、ふわっと語っています。

 仙狐さんは、現時点では自分の過去の話をほとんど話していません。中野に話したのは「中野の先祖に恩がある」という点だけ。

 仙狐さん側はあらゆるものを肯定し、ほぼ無条件に甘やかしまくっています。ありがたいことです。でも、見せかけの幸せを、本当の幸せと勘違いしてたりしない? 大丈夫?

幸せの波動に目覚めた中野(2巻)

 中野「理由やきっかけがどうであれ 仙狐さんと過ごす今が幸せだから」

 仙狐さんが来る前の、未来の見えない社畜状態では、幸せについて考える余裕もなかった。でも今彼は、何が自分の幸せなのかに気づいています。自分の今の感情を、シロに照れること無くはっきりと言葉にして伝えられています。なんて大きな成長。

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 中野はシロの「勘違い説」を否定しません。そうかもしれないと受け入れています。でも、自分は幸せだ。少なくとも仙狐さんも笑顔だ。その二つだけで十分です。

 余計なことを考えて悩まなくていい。仙狐さんが常々言っていることを、彼は自分でできるようになりました。

 シロが中野のセリフを聞いた時の顔が素敵。彼女も感化されているよう。幸せは伝染します。

これが幸せじゃないはずがない(2巻)

 仙狐さんの目は自分を見ているのか、先祖を見ているのか。わからないけれども、少なくとも彼女は今、待っていてくれていた。心から笑顔で迎えてくれている。しっぽを振ってるんだから、うれしいのに間違いないのでは。

 なおこの後中野は、許可を取らずに仙狐さんのしっぽを触って怒られます。行き過ぎた領域のモフフェチ……お堅い中野がついしっぽを触ってしまうのは、中野が仙狐さんに心を許して甘えている、二人の間でしか起こらない愛の表現のようです。

たまごまご

<前回までのお話>

(C)2019 リムコロ/KADOKAWA/世話やきキツネの仙狐さん製作委員会

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