「月50万円で生きがいない生活か、30万円で仕事が楽しい生活か」 物議醸した阪急電鉄の広告が中止に
企画を中止し、広告を全撤去に。
「毎月50万円もらって生きがいのない生活、30万円だけど仕事が楽しい生活、どっちがいいか」――こんな内容の広告が批判を受けていた阪急電鉄の広告ジャック企画「ハタコトレイン」が中止となることが分かりました。
ハタコトレインは、企業ブランディングを手掛けるパラドックスと阪急電鉄のコラボ企画。パラドックスが企業ヒアリングの中で出てきた言葉をまとめた書籍『はたらく言葉たち』から選んだ言葉を車内広告として掲出するものです。問題となった「毎月50万」の他、「アフリカに中古車を販売してお礼の写真を受け取ったときに自分の仕事の価値を知った」という自動車流通業の営業担当の言葉などが広告として掲出されていました。
批判を集めたのは「毎月50万円もらって毎日生き甲斐のない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか」という80代の研究機関の研究者の言葉を載せた広告。これに対して「やりがい搾取」「若い世代の給与を知らないのか」などSNSで批判が集まり、「月50万」がTwitterのトレンド入りするほど話題になりました。
編集部がパラドックスに問い合わせたところ、下記のような回答がありました。
―― はたらく言葉たちの中から当該の言葉を掲出の対象として選んだ理由は
数字はあくまでも具体例で用いているだけで、給与の高さよりも仕事のやりがいを大事にするという価値観もあるということを伝えたい言葉の意図で選出しました。この数字によって、不快な思いを感じさせてしまうこととなり、大変申し訳なく感じております。
―― ネットでの反応についてどう受け止めているか
はたらくことについて、色々な意見が出てくるのは当然だと思います。これをきっかけにはたらくことに対しての様々な議論が生まれるといいと考えておりましたが、ご不快な思いをおかけしたことについては、申し訳なく考えています。
―― 差し替えなどの予定は
書籍『はたらく言葉たち』に掲出された様々な業界・世代の言葉の紹介を通じて、働く人々を応援したいという趣旨のもと、企画を行っておりましたが、一部誤解を招く不適切な言葉の掲出があったため、6月11日以降「ハタコトレイン」の運行を中止することといたしました。
読み手への配慮が足りず、一つひとつの言葉に対する事前チェックが不十分であったが故に、ご不快な思いをおかけしたことについては反省しております。今後、このような事態を招かぬ様、再発の防止に努めます。
また、今回の決定は否定的なご意見を理由に中止を判断したのではなく、多様なご意見を頂戴する中で、一部誤解を招く不適切な言葉の掲出があり、企画の趣旨に反する状況に至ったと判断したため、中止とさせていただいております。
全撤去に至った理由としましては、一部誤解を招く不適切なものと判断した言葉以外についても、自社として一つひとつの言葉に対する事前チェックが不十分であったこと、人の捉え方によっては不快に感じられる可能性があることを踏まえて、全撤去とさせていただきました。
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