「電子書籍に反対していた宝島社が電子化を解禁」 その理由を聞いた
著者からの要望が増えたことを受けて。
「電子書籍に反対していた宝島社が、自社の書籍の電子化に踏み切った」として一部ネットで話題になっています。宝島社に理由を聞きました。
宝島社は2010年にノンフィクション書籍『電子書籍の正体』の新聞広告を掲載した際、「本屋のない町で私たちは幸せだろうか?」「宝島社は、電子書籍に反対です」との文言を記していました。
このように電子書籍に反対する姿勢を打ち出していた同社が、2019年5月末に『チーム・バチスタの栄光』など海堂尊さんの書籍を電子配信。6月下旬には『響け! ユーフォニアム』シリーズ(武田綾乃さん)や『異世界居酒屋「のぶ」』(蝉川夏哉さん)も配信されます。
ネットでは「ついに」という声も「ようやく」という声もあり、また「VOWの電子化を」「別冊宝島も電子にしてほしい」など他の書籍の電子化を望む声も寄せられています。
どのような理由で電子化に踏み切ったのか、宝島社に聞いたところ、「著作権者である著者の方からの電子版発売の要望も増え、それに応える形で開始しました」とのこと。全面的な電子化というわけではなく、著作権者の意向を元に一部の作品で実施していくとしています。また、従来通り、書店での販売に最大限の力を入れているとも述べています。
宝島社の回答全文
企業理念“人と社会を楽しく元気に”するコンテンツを生み出すため、新しい才能を発掘し、育成するのが、弊社の使命であると考えております。その権利を守ることも重要な責務であり、著作権者である著者の方からの電子版発売の要望も増え、それに応える形で開始しました。全面的な電子化というわけではなく、著作権者の意向を元に一部の作品で実施していきます。
また、海外ライツにおいては弊社のコンテンツのニーズが急速に高まっており、その中で電子版での依頼も多くいただいているため、海外でも電子化を進めていきます。
一方で、従来どおり、弊社は書店での販売に最大限の力を入れております。「書店を応援」という方針はまったく変わりません。さらに、書店へはマルチメディア商品など新しい形態の商品を積極的に提供し、雑誌も含めて電子化が出来ない付録つき商品の開発に力を注いでおります。より高品質で多様な商品を提供していくことで、さらに書店の売上に貢献したいと考えています。
関連記事
仕事が全てなくなった漫画家が再起した体験つづった漫画に反響 諦めず頑張る様子に励まされる人多数
必死に頑張った結果、道が開けたそうです。漫画家が「自費出版してみた」漫画が参考になる 単行本に入らない読み切り「だったら自分で出しちゃえばいいんじゃない!?」
漫画家にも読者にもうれしい。出版社における電子化の課題、1位は「権利処理の手間」 日本電子出版協会がアンケート結果を発表
電子化を反対する著者には「電子書籍では頭に入らない」といった意見も。かつて電子書籍は「自分で吸い出す」ものだった 失われる前に書き留めておきたい、かーず式「自炊」完全マニュアル
まず裸になります(半分本当)。懐かしい厚紙の昔話絵本が電子書籍化 小学館が「育児絵本・保育絵本」をデジタル復刻
戦後から90年代まで販売されていた絵本「桃太郎」や「一寸法師」など一挙36冊ラインアップ。当時の価格そのままで購入できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.